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仮想化の特性を生かしたバックアップ製品「PlateSpin Forge」

1台でバックアップ+BCPサイト構築!ノベルに聞いてきた

2014年06月11日 14時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 ノベルの「PlateSpin Forge」は、物理/仮想を問わず複数のサーバー/PCを1台で集中バックアップできるアプライアンス製品だ。内蔵した仮想化環境(VMware ESX)を活用することで、1台でBCP(事業継続)サイトを構築できる。ユニークなこの製品の仕組みについて、セミナーで詳しく聞いてきた。

セミナーで登壇したネットアイキュー テクニカルセールス・スペシャリスト NetIQ製品担当マネージャーの甲斐逸郎氏

P2V/V2Vマイグレーション技術と仮想化環境を内包した製品

 ノベルがPlateSpinブランドで展開する製品群には、仮想化計画のためのアセスメントツール「PlateSpin Recon」や、マルチベンダーの物理/仮想環境間マイグレーション(P2V/V2V/V2P/P2P)を実現する「PlateSpin Migrate」、そしてForgeがある。

 このうちMigrateは、異なるベンダーの物理サーバー/PC、仮想化プラットフォーム(VMware、Xen、Hyper-V)に対応した、Windows/Linuxシステムのマイグレーションツールである。マイグレーション処理の中で、移行先の物理/仮想プラットフォームの構成に合わせて自動的にドライバやカーネルの変更を行うため、幅広い環境においてシームレスな移行が実現する。

 このMigrateと、VMware ESX仮想環境を組み合わせたバックアップ/BCPアプライアンスが、今回取り上げているPlateSpin Forgeだ。

 Forgeのバックアップでは、データだけではなく、OS+アプリケーション+データ(以下、これをまとめて「ワークロード」と呼ぶ)を、ESXで起動したバックアップ用の仮想マシン(VM)にコピーし、VMイメージとして保存する。ここには前述のMigrateと同じ技術が使われているので、幅広い物理サーバーや仮想サーバからP2V、V2Vができる。平常時は、こうしたバックアップを定期的に実行する(初回のみフルバックアップ、2回目以降は増分バックアップ)。

 大規模災害や障害などで本番サイトがダウンした場合、BCPサイトのForgeはまず「仮復旧(縮退運用)環境」として動作する。バックアップしておいたワークロードのVMイメージをESX上で立ち上げ、短時間でサービスを復旧できる。このようにして、本番サイトの障害が解消する前に、縮退環境で最低限のサービスを維持することができる。

 本番サイトの障害が解消したら、縮退運用を続けながら、ForgeのV2PやV2Vの機能を使って本番環境のリストアを実行すればよい。このときの本番環境は、障害前とは異なる構成になっていてもよい。前述したとおり、Migrateの技術がV2P/V2V時に環境ごとの差異を吸収するからだ。

PlateSpin Forgeを使用したBCP対策(概念図)。仮復旧環境を内蔵しているため、短時間でサービスを復旧、継続しながら本番環境のリストアを進められる

 バックアップの設定や本番環境へのリストアなどの操作は、専門的な知識がなくともWebインタフェースから簡単にできるようになっている。また、バックアップしたワークロードの起動テストも、Forgeが内蔵するESXの仮想環境を使っていつでも実行できる。

Forge1台で、従来のストレージレプリケーション型バックアップ/BCPが必要としていた複数の機器を置き換え、シンプルな構成となる

 搭載CPUはクアッドコアの「Xeon E5-2609」×2つで、メモリ容量は32GB、内蔵ストレージ容量は論理4.0TB(外部ストレージ接続可)。1台のForgeで、最大25ワークロードのバックアップに対応する。現行バージョンのForge(バージョン4.x)では、Windows Server 2012/R2のバックアップは未対応となっているが、今夏リリース予定の次期バージョンではサポートされる。

 価格はオープンプライスだが、ノベルによる市場推定価格(初年度サポート付き)は、最大10ワークロードまでを保護するPlateSpin Forge 510が551万3400円、最大25ワークロードまでの同520が865万7400円となっている。

「一日一回で十分」なバックアップを統合

 このように、PlateSpin Forgeのバックアップ/BCP手法はユニークなものとなっている。ノベルでは、これまでコストが障害となってバックアップ/BCPの対象にできなかった領域のシステムを、このForgeでカバーしていく狙いだ。

 セミナーを担当したネットアイキュー テクニカルセールス・スペシャリストの甲斐逸郎氏は、TCO(総所有コスト)、RPO(目標復旧地点)、RTO(目標復旧時間)といった観点からForgeと従来のバックアップ/BCP手法とを比較し、PlateSpin Forgeが適した用途について説明した。

 たとえば「テープバックアップ」やストレージの「リモートレプリケーション」では、データのみが保護対象となることが多く、障害発生後のサービス復旧までの時間(RTO)がかかりすぎる。また、本番サイトと同一のBCPサイトを構築してレプリケーションを行う「システム二重化」は、RTOは非常に優秀(即時サービスを復旧できる)ものの、構築コストや運用コストが非常に高くつく。そして、いずれの手法でも、サービスを復旧して事業継続を図るには、専門知識を持ったエンジニアが必須となる。

 Forgeの場合、すぐに起動可能なワークロードのVMイメージをバックアップ時点で作成しており、仮復旧環境も内蔵しているので、RTOは長くとも数時間単位に収まる。コストは、システム二重化やリモートレプリケーションよりはずっと安い。また、専門知識のないスタッフでも、数クリックで仮復旧環境でのサービス復旧や、本番環境へのリカバリの操作ができる。

従来方式とForgeをBCPの確実性やコストで比較した図。仮想化とマイグレーション技術によって、新たな特徴を持つ手法を提供している

 一方で、Forgeの手法にも短所(制約)はある。リアルタイムのレプリケーションではなく、最短でも1時間ごとのバックアップ設定しか取れないため、障害発生前のどの時点に戻せるかを示すRPOは大きなものとなる(論理的には最大1時間だが、サイト間を結ぶWANの帯域幅やワークロードの増分容量などの要素によりさらに大きくなる)。

 甲斐氏は、こうした特徴から、Forgeがターゲットとするのはミッションクリティカルな業務アプリケーション(基幹システムなど)ではなく、これまで「1日1回のバックアップで十分」とされてきた層、具体的にはメールサーバー、グループウェア、ファイルサーバーなどだと説明した。この層のアプリケーションは、テープやディスクへの単純なデータバックアップで済まされていることが多く、Forgeを使った集中的なワークロードバックアップの導入効果が大きいからだ。

Forgeは、これまでシステム二重化(クラスタ化)で対応してきた層ではなく、テープやディスクで単純なバックアップをしてきた層のシステムのバックアップ統合に適していると、甲斐氏は説明した

 Forgeの導入に適した顧客として、甲斐氏はBCP対策にかけられるIT予算が限られていたり、BCPサイトにIT人員を配備できない顧客だと説明した。なお、実際の導入顧客が利用しているWAN回線について尋ねたところ、保護対象のシステムによりまちまちだが、100Mbps/ベストエフォートクラスの回線が中心だという。

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