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iOS開発者に向けられた新しいApp Storeの解析サービス

2014年06月07日 07時00分更新

文● Dan Rowinski via ReadWrite

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iTunes Connect 3では、iOS App Storeでの分析に役立つ新しいポータルが提供されるだろう。

iOS開発者に向けられた新しいApp Storeの解析サービス

アップルは間もなく、開発者の利益に結びつく新しいツールを提供するだろう。

月曜日に開催されたWorldwide Developer Conference(WWDC)で、アップルは iTunes Connectのアップデートを発表した。新しいダッシュボードは、アプリや広告キャンペーン、バグのテスト、取引、アプリ内購入等の管理に役立つものとなるだろう。アップルは今年の後半にiTunes Connectのアップデートを行い、デザインの変更に加えて、訪問ユーザー数やダウンロード数を追跡できる新しい解析ダッシュボードを提供する予定だ。

「最も重要なのは、様々な解析機能が追加されている点です」と、アップルの上級副社長アンドレアス・ウェンカーはWWDCでの演説で語った。「この解析機能によって、App Storeのあなたのページを訪れた人数が分かるようになります。何人のユーザーが訪れてあなたのアプリを購入したのか、時間が経ってもアクティブなアプリはどれくらいか。素晴らしいことに、こうした情報は自動的にiOSに表示されるのです。分析を行うために、特別なライブラリーを使ったりコードを書いたりする必要はありません」

ウェンカーの発表はWWDCに集まった開発者達から喝采を浴びており、これまでのiTunes Connectがいかに分析機能に欠けたものであったかを示していた。多くのアプリ開発者、制作会社、マーケター、発行者が自分たちのアプリにサードパーティ製の解析ツール(大抵はちょっとしたソフトウェア開発キットやライブラリ)を実装していたのだ。だがアップルの新しいApp Storeが登場しても、こうしたサードパーティ製の解析ツールに置き換わることはなさそうだ。こうしたツールは、アプリ内でのユーザーの振る舞いや相互作用を、プラットフォームの枠を超えて追跡してくれるからである。

2008年にApp Storeが誕生して以来、FlurryやLocalytics、MixPanel、New Relic、Apsalar、Upsight (旧社名は Kontangent/PlayHaven) 等の企業は、ユーザーの確保や保持について開発者やマーケターに報告する優良なアプリ解析ビジネスを展開してきた。

「これは、アプリ解析とは言えません」と、Localyticsの共同設立者でありCTOのヘンリー・チポラは言う。「これはストア上におけるアプリのパフォーマンスしか見ていません。App StoreのSEOを最適化したり、どのアプリが一番儲かっているかを理解したいユーザーには役立つでしょう。ただ、アプリ解析というのは、アプリ内でユーザーが何をしているのかを知り、ユーザーにマッチしたツールを提供することなのです。App Storeでの分析で分かるのは、ユーザーがアプリをダウンロードする前に何をしているか、という点にすぎません」

Google Playと肩を並べられるか

iTunes Connectはアップルの開発者ポータルで、アプリ開発者が事業を運営するために必要なバックグラウンド機能を提供する。App Storeにアプリを申請するのも、銀行口座への支払いを設定するのも、iTunes Connectで行われる。だがアップルのApp Storeは最大かつ一流のストアであったにも関わらず、iTunes Connectは長らく、いかにもお役所的で希薄なサービスしか提供してこなかった。アプリをストアに申請し、支払を設定し、簡単な解析を行う以外に、iTunes Connectの使い道はなかったのである。

「今回の発表は、自分のストアページの改良に取り組んでいる開発者にとっては朗報となるでしょう」とチポラは言う。「これまで知ることができなかった多くの有用な情報を取得できるようになるはずです。ただし、自分のアプリをクロス・プラットフォーム・サービスであると捉えている開発者は、クロス・プラットフォームなデータを取得するためにApp AnnieやDistimoといったサービスを必要とすることになるでしょう」。

グーグルが過去二年間にわたり、同社の I/O デベロッパー・カンファレンスにおいてGoogle Play開発者コンソールをどのように改良してきたかに比べたら、その差は歴然である。プロダクト責任者のエリー・パワーズ、ディレクターのプルニマ・コチカーらに率いられたGoogle Playチームは、Google Playの開発者コンソールに堅牢な解析機能を統合し、開発者が特定の地域に向けた言語もターゲットとできるように、人の手が介在する翻訳などの機能も提供している。I/O 2013では、開発者がアプリを最適化して各国での収益性を高められることを目指し、最適化のコツ、アルファ版・ベータ版の配布(アップルも同様のサービスTestFlightを発表した)、リファラル追跡などが追加された。6月の終わりにはI/O 2014が開催される。グーグルが次はGoogle Play開発者コンソールにどんな機能を追加してくれるのか、楽しみにしていよう。

Dan Rowinski
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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