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マイクロソフト・トゥディ 第97回

Windows Phone国内投入の足音—開発者向けイベント「de:code」でサプライズ!

2014年06月05日 11時00分更新

文● 大河原克行

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様々な開発者が参加したイベントとなった

 日本マイクロソフトが、5月29日、30日の2日間、東京・芝公園のザ・プリンス パークタワー東京で開催した開発者向けイベント「de:code」(デコード)は、サプライズの連続だった。

 それは初日に行なわれた日本マイクロソフトの樋口泰行社長の基調講演に凝縮されていたといっていい。

開発者により身近に感じてもらう

 まず、登壇した樋口社長の服装。これまであまり見せたことがない“ジーンズ”姿で、走りながら登壇。カジュアルな雰囲気を演出しながら、いつも以上に身振り手振りを交えて講演した姿が印象的だった。

シャツとジーンズというカジュアルな服装で登壇した日本マイクロソフトの樋口泰行社長

サティア・ナデラ氏風の衣装は今後のお楽しみ?

 「開発者により身近に感じてもらうための演出」だと、同社では説明する。

 一部には、新CEOのサティア・ナデラ(Satya Nadella)氏は意識した衣装で登壇するという案もあったようだが、まだその印象が定着していないということで見送られたという逸話もある。

マイクロソフトの問題意識と反省

 ふたつ目は、そのカジュアルな服装に合致するうように、樋口社長が赤裸々にマイクロソフトの問題を指摘してみせた点だ。

 「Windowsの高いシェアがあったため、マイクロソフトには“何か新しいものをつけたら売れる”という間違った意識があった」。

 「売ったあとに使ってもらっているのか。ユーセージでは追いついていなかったという反省がある」。

 「9型未満のWindowsデバイス向けやIoT分野向けのWindowsは、無償で提供することを決定した。これは“目には目を”という捨て身の戦略。Windowsの担当者は、我々の給料はどこから出るのかといっているが、そんなことは言っていられない」。

 こんな言葉が相次いで口をついて出た。

 そして、社内では、「自分でサインアップできないような製品は出荷するな」という号令がかかっていることも明らかにした。

「笑い」にもこだわった基調講演

 そして3つ目には、プレゼンテーションの達人と言われる日本マイクロソフトのエバンジェリスト、西脇資哲氏によるデモストレーションに、過去最大といっていいほど樋口社長が絡んだことだ。

 2人の軽快なやりとりは、会場からの大きな笑いに何度もつながった。海外のイベントならばまだしも、日本の企業が主催するイベントの基調講演で、これだけ多くの笑いが出たのは異例のことだといっていい。

 西脇氏が当日、「L'Arc〜en〜Ciel」(ラルク アン シェル)のコンサートチケットを手に入れ、それが無駄になることについて、「君、今日のマイクロソフトのイベントの予定を知らなかったの?」とツッコミを入れたり、スマートフォン向けのパーソナルアシスタント「Cortana」(コルタナ)のデモストレーションでは「君のそんな英語でも大丈夫なんだ?」と発言。こういったノリは関西出身の樋口社長ならではのもの。

 実は、事前の社内打ち合わせの際にも、樋口社長の部屋からは何度も笑い声が聞かれていたという。それだけ、「笑い」にもこだわった基調講演だったようだ。

Word Flow(ワードフロー)キーボードをデモストレーションする樋口社長

日本マイクロソフト エバンジェリストの西脇資哲氏は「L'Arc〜en〜Ciel」の入力に挑戦

“DevOps”の広がり

 さらに、日本マイクロソフトが開発者向けイベントを開催するのは、「Windows Developer Days」以来、2年ぶりであり、参加対象者はアプリケーション開発者、Web開発者、インタラクティブデザイナー、IT技術者、ITアーキテクトなどとしたが、IT Proと呼ばれる企業内の情報システム技術者も参加対象としており、システムインテグレータ、ユーザー企業を問わずに開発者を集めた点も、ひとつのサプライズとして追加しておきたい。

 日本マイクロソフト 執行役 デベロッパー&プラットフォーム統括本部長の伊藤かつら氏は、「クラウドの浸透とともに、開発(Development)と運用(Operations)の連携/協力、いわゆる“DevOps”(デブオプス)の環境が広がってきたことが、立場が異なる開発者であっても違いを吸収する必要性につながっている。そうした変化を捉えたイベントだった」と指摘する。

 技術的手法に関するブレイクアウトセッションを数多く用意したのも、今回のイベントの特徴だったといっていい。

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