ユーザーにその気がないにもかかわらず、サイトに登録して契約が成立したと思わせ、ユーザーを慌てさせサイト使用料を支払わせる――こうしたワンクリック請求の手口による詐欺が、パソコンだけでなくスマホのユーザーの間にも広がっている。
独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)が毎月実施している「情報セキュリティについての呼びかけ」の6月分では、スマホでのワンクリック請求がテーマだ。4月から5月にかけてIPAに寄せられたワンクリック請求の相談件数は合計593件だったが、そのうちスマホユーザーから相談件数が162件と全体の約3割を占め、増加傾向にあるという。
IPAに寄せられたスマホでのワンクリック請求に関する相談内容をまとめると、ほとんどの相談者がニュースサイトやインターネット検索サイト内にある「急上昇」などという最新の注目記事を集めたページに、興味をそそられるタイトルがあり、そのリンク先をタップしたところ、動画閲覧の再生ボタンがあり、タップしたことが確認された。
その後、ワンクリック請求の詐欺サイトでは、動画閲覧の再生ボタンをタップしても動画は再生されず、年齢認証が表示される。そのまま「次へ」ボタンをタップすると、登録完了のメッセージと請求料金が表示。登録完了画面で「OK」をタップすると、「お客様の端末情報は安全に保存されました」という表示や、[誤作動登録の方]、[退会希望の方]、[電話サポート]といったボタンが表示される。
ここでユーザーは「会員登録されたこと」や「料金が請求されたこと」に動揺し、不安を感じ、[誤作動登録の方]や[退会希望の方]、[電話サポート]の簿やんをタップして、業者にメールや電話で連絡するが、その結果、電話番号やメールアドレスが業者に「知られてしまったこと」を不安に思う相談が多く寄せらているのだ。
確かに、スマホをはじめパソコンやタブレットなどからサイトにアクセスすると、OSのバージョンや閲覧ブラウザの種類、IPアドレスの情報がアクセス先のサイトにわかる仕組みになっている。しかし、これらの情報から業者が個人を特定することはできず、また、それ以外の情報が業者に知られてしまうこともない。単なる脅しに過ぎないと言える。
そこで、こうしたケースで自ら業者に連絡をしたり、お金を振り込んだりはしないこと。契約が成立したのか不安に思う場合は、最寄の消費生活センターへ相談するよう、IPAでは推奨している。
また、スマホではワンクリック請求の登録画面が、一度消したつもりでもホーム画面からブラウザに切り替えるとまた再度表示されることがある。その場合、iPhoneは「ワンクリック請求の登録画面のタブを削除」するか、「履歴を消去」と「Cookieとデータを消去」を行う。Androidであれば、「ワンクリック請求の登録画面のタブを削除」すればよい。