進むOS Xの「ファームウェア化」
今回のWWDCで言及があることはほぼ確実と考えられるのが、OS Xの次バージョンだ。しかし、Mavericksに続きカリフォルニアの地名が与えられること、iOSとの融合を進める方向で変化すること、ソフト/サービスのiCloud依存度が増すこと……それら既定路線に大きな変更があるとは考えにくく、基調講演では比較的地味な印象を受けるのではなかろうか。
むしろ注目すべきは、OS Xの扱いかもしれない。OS XはSnow Leopard以降安価に提供されるようになり、Mavericksから実質的に無償化されたが、ベータ版は開発アカウント保有者に限り有償(7800円/年)で提供されてきた。それが先日発表された「OS X Beta Seed Program」では、Apple IDを持つユーザーであれば無償でベータ版を入手できるようになった(関連記事)。この一連の動きは、OS Xの「ファームウェア化」と無縁ではない。
ファームウェア化が進めば、iOSとの違いを強く意識することは少なくなるはず。現在は「Mac」と「iOS」で明確に分離されている開発リソースも、統合しやすくなることだろう。ベータ版の無償公開は、不具合の検出精度を高める狙いもあるだろうが、アーリーアダプタを取り込むにも効果的な手段だ。そのあたりの意図が、OS X関連の発表の際に透けて見えるかどうかにも注目したい。
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