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“データセンターの競争力”を高める「Citrix NetScaler」

SDNの“さらにその先”を見据えたネットワークのあり方とは

2014年06月02日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真● 曽根田元

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 クラウドと「持たざるIT」の浸透によって、データセンターには大きな変革の波が押し寄せている。変化するユーザーのニーズに即応し、データセンターとしての競争力を高めるためには、どのような基盤が必要になるのだろうか。現在起きている変革の、さらに先を見据えた基盤構築について考えてみたい。

「競争力を高める」データセンター基盤の構築が急務に

 クラウドコンピューティング市場が急拡大し、企業ITにおいては「持たざるIT」というコンセプトが当たり前のものとなった。一方で、ITサービスを提供する事業者間の競争は激しさを増している。データセンター事業者や、自社データセンターを管理する企業IT部門は、激しい競争と変革に迫られているのが現状だ。

 データセンターから、ユーザーの求めるITサービスをいかに迅速かつ効率的に提供していくか。端的に言えば、「データセンターの競争力向上」に向けた変革が今、強く求められているわけだ。

 競争力向上のポイントは幾つかある。まずは「コスト削減」だ。これまでの高いサービス品質は維持しつつコストを削減するためには、複雑なオペレーションの簡素化や自動化を推し進め、同時に機器設置スペースの削減、電力効率改善といった手段によって、あらゆる無駄をカットしていく必要がある。

 さらに「多彩なサービスメニュー」の提供も、競争力の源となる。ユーザーニーズにきめ細かく対応することがサービスの価値を高め、個々のユーザーからの売上を伸ばすことにつながるからだ。

 さらに、サービス提供の「アジリティ(迅速性)」も重要な要素である。目まぐるしくビジネス環境が変化するなかで、それを支えるITも当然、変化に即応できなければならない。

 静的なサービスを安定的に提供するプラットフォームから、動的なサービスを柔軟かつ効率的に提供するプラットフォームへ。データセンター基盤には今、そうした進化が求められていると言えるだろう。

データセンターネットワークの変革はSDNにとどまらない

 競争力の高いプラットフォームの構築を目指し、サーバーの領域ではすでに仮想化やクラウドの技術が盛んに取り入れられるようになっている。その結果、サーバー集約やオペレーションの効率化、サービス提供の迅速化など、大きな成果を生んでいるのはご存じのとおりだ。

 そして、こうした“クラウド的な考え方”はネットワーク領域にも確実に波及しつつあると、シトリックス・システムズ・ジャパンの犬塚昌利氏は指摘する。「ユーザーはネットワークに対しても、サービスごとに、オンデマンドで、スピード感を持って使えるようにしてほしいと考えている」(犬塚氏)。

シトリックス・システムズ・ジャパン システムエンジニアリング本部 ネットワーク クラウド事業部 部長 犬塚昌利氏

 こうしたニーズに応えるべく、現在ネットワーク領域で進行中の変革が「SDN(Software-Defined Network)」である。SDNを実装することで、これまで静的にしか構成できなかったネットワークが、はるかに柔軟かつ動的なものへと生まれ変わる。

 だが現実には、SDNを採用するだけではユーザーの理想とするネットワークは実現しない。“クラウド的な考え方”における理想とは、アプリケーションごとに分割されたトラフィックに対し、個別にサービスレベルが保証され、必要に応じて負荷分散やセキュリティといったネットワークサービスも提供されるようなネットワーク環境だ。つまり、アプリケーションやそのトラフィックの状態を把握しつつ、SDNとの連携を図る仕組みが必要となる。

 そのため犬塚氏は、SDNによる現在のネットワーク変革に続いて、今後は「アプリケーションとSDNの中間をつなぐレイヤーの役割が重要になってくる」こと、ここが新しい市場カテゴリーになる可能性があることを指摘する。そしてシトリックスでは、ADC(アプリケーション・デリバリ・コントローラ)製品の「Cirtix NetScaler」シリーズにおいてこうした仕組みを実現し、ユーザーの理想を実現しようとしている。

SDNによる変革の“その次”を考えると、アプリケーションとSDNの中間をつなぐレイヤーの役割が重要になってくる

マルチテナント、サービス集約、オーケストレーション

 犬塚氏は、競争力の高いこれからのネットワーク環境を構築するためには「3つの要件」が不可欠であると説明する。その3つとは、アプリケーションごとのトラフィックを個別に扱える「マルチテナンシー」、幅広いネットワークサービスを統合的に提供できる「サービス集約」、アプリケーションからネットワークまで、レイヤーをまたいで自動化を実現する「オーケストレーション」だ。

 NetScalerシリーズは、物理アプライアンス(MPX)、仮想アプライアンス(VPX)、そして多数のNetScalerインスタンスを集約する仮想プラットフォーム(SDX)という、3つのモデルで提供されている。このうち、上述した3要件を強く意識して新たに設計されたプラットフォームがSDXである。犬塚氏も「クラウド環境で特にキーとなるプロダクトはSDXだ」と強調する。

 SDXは、高い処理性能と可用性を提供する専用ハードウェアに、「Citrix XenServer」で実績を持つハイパーバイザをビルトインしたアプライアンスだ。この仮想プラットフォームに最大80のインスタンスを集約することで、個々のアプリケーショントラフィックをマルチテナントで取り扱える。つまり、適切なサービスレベルや必要とされるネットワークサービスを、アプリケーションやユーザー個別の仕様で提供できるわけだ。

NetScaler SDXでは、ハイパーバイザ上で完全に独立した複数の仮想NetScalerインスタンスを集約できる。それぞれに個別の管理者、ネットワーク、リソースを柔軟に割り当て可能だ

 また、ハイパーバイザベースのメリットを生かし、サードパーティ製も含めた多彩なネットワークサービスも集約できる。すでにパロアルトネットワークスの次世代ファイアウォールなどがラインアップされており、これは今後さらに拡充していく方針だ。

 オーケストレーションについては、アプリケーション、SDNの両レイヤーに対してオープンな連携姿勢を持っている。たとえば、シトリックス自身のクラウドオーケストレーター「CloudPlatform」と連携できるのは当然だが、ヴイエムウェアやOpenStack、CloudStackなどのオーケストレーターとの組み合わせも可能である。

 犬塚氏は、シトリックスがADC、ハイパーバイザ、オーケストレーターまで全体をカバーする技術コンポーネント群を備え、なおかつ他ベンダーの技術にもオープンな姿勢を持つ点が、新しい市場において大きな強みになるだろうと語った。

競争力向上のために顧客がNetScalerを選ぶ理由

 NetScalerでは、スケールアップ、スケールアウト、スケールインという3種類のスケール方法(TriScaleテクノロジー)が用意されており、サービスの成長に合わせて柔軟にスケールを変更できる。つまり、段階的で無駄のない投資によって、データセンターの競争力向上を目指すことができる。

 現在、NetScaler SDXを導入する顧客の中心は、データセンター事業者やクラウドサービスプロバイダー、大規模企業である。導入顧客においては、これまで多数のアプライアンスを並べて提供していたネットワークサービスをSDXに集約することができ、大きな効率化につながっているという。さらにはオペレーションの自動化が進み、サービス開始までの時間も非常に短縮され、競争力向上に大きく貢献しているのは間違いない。

 犬塚氏は「今後、SDXの顧客層は中規模企業にも広がっていく」ものと予測している。アプリケーションごとにトラフィックを切り分け、サービスレベルをきちんと確保したいというニーズは間違いなくあるからだ。そのため、SDXのラインアップも1Uサイズのコンパクトなものにまで拡大している。

 「これまで、どうしてもネットワークとアプリケーションは別々に論じられることが多かった。ここにきてようやく、アプリケーションのことを考えながらネットワークが動く仕組みが出来てきた。これからも顧客の競争力向上をサポートするべく、シトリックスとしても努力を続けていきたい」(犬塚氏)

(提供:シトリックス・システムズ・ジャパン)

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