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渡辺由美子の「誰がためにアニメは生まれる」 ― 第33回

『Wake Up, Girls!』プロデューサー田中宏幸氏インタビュー

アニメは接客業である――エイベックスが声優を育てる理由

2014年06月13日 17時00分更新

文● 渡辺由美子(@watanabe_yumiko

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(C) Green Leaves/Wake Up, Girls!製作委員会

スタッフと製作委員会が高い熱量を持っていた理由
そして……「『Wake Up, Girls!』はまだ“第1章”」

―― アニメの場合、声優はネームバリューのあるほうがお客様の関心は高くなりますよね。新人声優を起用したことで何が生まれたと思いますか。

田中 オーディションからデビューしている子たちなので、ごく初期の段階から彼女たちが成長する姿を見てもらえました。そのなかで成長を見守りたい、支えてあげたいという気持ちが芽生えてくださったのではと思います。

 また、新人声優たちの、なんとかイベントを見に来てほしいという真剣さが心に響いて下さったのではないかと。というのも、WUG!ってアイドルものとしては泥くさいのです。アイドル戦国時代のなか、仙台を舞台にして上を目指すという内容なので。

 得てして、良いフィルムは作れても、伝わるフィルムを作るのは難しいのですが、WUG!の場合はこの“泥くささ”が、伝わるための役割を果たしたのかもしれません。

 ですから、この作品でデビューするんだという新人声優たちの真剣さと、泥くさい内容との相乗効果が生まれたことで、(見守りたい、支えてあげたいという気持ちが)一層膨れていったのかなと思っています。

 そして声優やイベントスタッフ、監督含めたクリエイターチーム、そして僕ら製作委員会メンバーの熱量も高かったですね。

―― スタッフの方々は多くの作品を担当されていて、WUG!もその1つだと思いますが、なぜWUG!に対して熱量が高まったのだと思いますか。

「彼女たちをこの世界に招き入れたこともあり、“彼女たちのお父さん・お母さん”を自認する主要スタッフや製作委員会の方々が大勢いらっしゃいます(笑)」(田中プロデューサー)

田中 1つには、7人の新人声優の皆さんが、明るく謙虚にいろいろな方の意見を吸収しながら、演技や歌やトークなど、ちゃんと努力をして、こちらが設定するハードルよりも高いところを1個1個越えてきていることですね。

 彼女たちの必死さは製作委員会のメンバーに強く響いていますし、それはたぶんスタジオ側にも、ひいてはお客様にも伝わっているのではないかなと思います。

 もう1つは、監督・音楽・脚本そして声優育成チーム自らで7人を選び、この業界に進んでもらったということが大きいのでは。皆、責任めいたものを感じてくださっている。お父さんお母さん気分というか、目の中に入れても痛くない、みたいな(笑)。

 実際、お父さんお母さんを自認する人が多いんですよ。僕はどちらかというと社内のマネジメントなので、本来は少し引いて客観的に見なければいけないのですが。製作委員会のプロデューサーの皆さんは、僕以上にどんどん前にのめり込んで、「少しでも自分たちの決裁できる範囲内で、彼女たちの活躍の場を探してあげよう」という気持ちを強く感じますね。

 僕もWUG!のような立て付けの企画は初めてだったのですが、面白かったですし、愛着があります

―― 愛着、ですか。

田中 たぶん……いっぱい頑張ったから!(笑)。いっぱい頑張ると、さらに愛着が増す、みたいな感じです。

 本質的にアニメーションは職人さんが一枚一枚描いて初めてできるものなので、一人一人のモチベーションの積み上がりが大事ですよね。そのなかで、プロデューサーは絵を描けるわけでもない。僕の役割は別にあって、それはスタッフやお客様に作品へのモチベーションを高く持ってもらうことです。

 昨今のアニメ業界は新作が多く、今期の春は60本くらいあります。その60本のなかで、お客様に60分の1ではなく、ちょっとだけひいきにしてもらうというか、思い入れを持ってもらえればいいなと。

 僕らスタッフは、『Wake Up, Girls!』はまだ“第1章”だと捉えています。現在は下積み段階で、これから次のステップに……“次”をやりたいなと

 構想はあります。続けたいということは、強く書いておいてください。

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