弥生が2月4に発表した「個人事業者の確定申告に関する調査」と、続く3月7日に発表した「個人事業者の確定申告に関する調査 第2弾」から見る、青色申告者と白色申告者のイメージと実際のギャップ。第4回は、「青色申告にかかる手間」を紹介しよう。
青色申告と白色申告、共に大きな差は見られない
青色申告は「複式簿記」方式により、指定のルールに沿った記帳が必要となる。では、難しいといわれている複式簿記で記帳を行う青色申告と、昨年まで記帳の必要がなかった白色申告では、実際の会計業務に要する時間にどれくらいの差があるのだろうか。
日常処理と確定申告処理で調査したところ、記帳頻度および確定申告処理日数ともに、青色申告者も白色申告者もほぼ同じくらいの時間をかけている事がわかったという。「複雑な記帳の青色申告の方が、より多くの時間と手間がかかるのではないか?」というイメージを持たれがちだが、実際の処理にかかる時間に青色申告と白色申告の間に大きな差は見られないという。
具体的には、日々の取引記録の頻度や確定申告書類の作成にかける時間は、青色申告者と白色申告者それぞれがほぼ同じ傾向に。なかでも取引記録の頻度は「申告時期にまとめて(青色25.0%、白色28.6%)」という回答が最多数になったという。つまり、確定申告書類の作成にかける日数は、「2~3日(青色30.5%、白色38.0%)」で、確定申告の作業にかかる時間は、青色申告と白色申告に変わりはないのだ。
ここまで、4回にわたって弥生の「個人事業者の確定申告に関する調査」を紹介したが、調査結果としてまずわかったのは、青色申告へ移行を考えている白色申告者は少数派である点だという。そして、白色申告者の約6割は、確定申告方法を決める際にアドバイスを受けることなく自分で決定しており、青色申告のメリットについての理解度がまだまだ低い。
一方で、青色申告と白色申告では記帳方法は異なるが、日々の取引記録にかける時間や頻度、確定申告書の作成にかかる時間には、差がない事も判明している。
こうした事から弥生では、白色申告と青色申告を、メリット・デメリットを踏まえ、次回からの確定申告方法について検討してみることを勧めている。また同社では、こうした調査結果をもとに、すべての個人事業主や中小企業の事業主が適切に、スムーズな確定申告ができるよう積極的にサポートをしていくともしている。
調査概要
調査機関:株式会社マクロミル
回答者:確定申告実施者(青色、白色)
有効回答数:412サンプル(青色申告/白色申告各206サンプル)
調査期間:2013年12月16-17日
調査手法:インターネット調査
調査内容:税務調査経験、記帳方法、税務申告方法、売上、事業年数、収入 など
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