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Coiney代表取締役・佐俣奈緒子社長の「投資対効率」マネジメント

残業代ゼロで喜ぶ経営者って……

2014年05月29日 16時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)/アスキークラウド編集部

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 スマホを使った簡易決済サービスを運営しているベンチャー企業、Coiney(コイニー)。今年4月にサービス開始1周年を迎え、従業員数は創業時の4人から30人へと増加した。代表取締役の佐俣奈緒子社長は、「意志疎通しなくてもなあなあで分かっていると思っていたが、30人だと伝わらない」という悩みを抱えた。

 現金やビジネスの動きをなるべく肌感でつかみたかったという佐俣社長。創業からしばらくは自分で銀行に行き、社員ひとりひとりの口座に給料を振り込んでいたこともある。だが、規模がふくらむにつれてマイクロマネジメントは難しくなり、いわゆる管理職を立てることになった。

 佐俣社長が管理職を評価する基準は「投資対効率」だ。

 「お金をいかに最大公約数的に使えるか。100万使ったというとき、どの回収率でいけるかというのを見ている。いくらつっこんだかは関係なく、18ヵ月で返るか12ヵ月で返るかが問題」

 事情があって100万円がムダになってしまったときも、ムダになったことそのものは問題視しない。「捨てようと思って捨てたのか、誤って捨ててしまったのか」を厳密に見ているのだという。

 「会議でつっこむのは毎回そこ。投資も受けたのでキャッシュ(現金)はあるが、もちろん使えば一瞬でなくなってしまう。やるべきことはリソースの投資配分、どこに張れば伸びるのか。現場を見にいくのが難しいので、いつ、どこに資金を流せば正しく動くのかを見る」

 管理者の仕事は、ヒト・モノ・カネという3大リソースの調達と配分だ。問題はリソースをどこに「張れ」ばいいか、投資やギャンブルと同じだ。従って、人件費がかさむからと言って、残業代を削れというのはありえない。「人件費がかさむのは、経営者の責任」だと佐俣社長は言う。

 「人事ではむしろ、採用する人の順番やポジションが重要。エンジニアによっては、本当はこっちの人を先に入れたほうがうまく回ったのではないか、という話はある。だから今は、半年先の組織図を書き、構想を決めた上で、どれくらいの給与で採るか決めることにしている」

 佐俣社長は、「アスキークラウド2014年7月号」の特集「『仕事ができる』ってどんな人?」でも取材している。31歳の若さで培った柔軟かつ理知的なビジネスノウハウは、パッチリ目の覚める活性剤になるだろう。


この記事は2014年5月29日掲載の記事「できる上司はギャンブル上手」を改題の上、加筆・修正を加えたものです。



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