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グーグルとの戦いに備え、ピンタレストが2億ドルの増資に踏み切った

2014年05月20日 07時00分更新

文● Lauren Orsini via ReadWrite

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ピンタレストはようやく広告の導入を開始したばかりだが、投資家はこのビジュアル系ソーシャルネットワークに50億ドルの企業価値があるとみている。

グーグルとの戦いに備え、ピンタレストが2億ドルの増資に踏み切った

ピンタレストが投資家から2億ドルの増資を行い、これで同社の企業価値は50億ドルになった。

ビジュアル検索エンジンとして注目を集めているピンタレストは、これまでにも増資を繰り返してきた。昨年10月には同じ投資家グループから2.25億ドルを、その前にも2013年2月に2億ドル調達しており、増資のたびにPinterestの企業価値は拡大している。これまでに同社が投資家から集めた金額は合計で7.64億ドルとなる。

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未上場のインターネット関連企業に対する過剰評価が取沙汰される中、この頻繁な増資に驚く人も少なくないだろう。だが、ウェブコンテンツのトレンドは旧来の活字から画像や動画へとシフトしており、サンフランシスコのベンチャー企業であるピンタレストは、この「Visual
Web」(ウェブのビジュアル化)において重要な役割を果たしている。ピンタレストが、同社のライバルと目されるグーグルに張り合うためにも、財源確保は必須なのだ。

ピンタレストが調達した資金の使い道を予想してみよう。

ピンタレストのガイド検索はグーグルに対する挑戦だ

ピンタレストのガイド検索はグーグルに対する挑戦だ

グーグルとの戦い

ピンタレストの最近の技術開発は、コンテンツのソーシャル共有からコンテンツの検索や発見に焦点をあてたものへとシフトしている。ピンタレストは明らかに、単なる画像ベースのソーシャルネットワークを超えた存在へと進化している。ユーザーや企業によって登録・カテゴライズされた莫大な画像のデータベースとなったピンタレストは、ユーザーが新たなコンテンツを発見できる絶好の場所だ。

ピンタレストの画像の大半は、インテリア雑貨や衣料品、食料品などの、ユーザーが実際に購入可能な商品である。ピンタレストからはeコマースサイトへのトラフィックが大量に送られており、消費者が新たなブランドや商品を発見するきっかけを作っている。そうした企業の多くは現在グーグルの検索連動型広告を使って商品を宣伝しているが、将来的にはピンタレストに乗り換えるかもしれない。

グーグルのような既存の検索エンジンを真似る代わりにそれを飛び越えて、ピンタレストは次世代の検索エンジンとなるかもしれない。最近開かれたイベントで、同社のCEOベン・シルバーマンは「Guided Search(ガイド付き検索)」と呼ばれる検索ツールを公開した。これは、ユーザーがボード上にピン留めした画像の文脈を理解した上でユーザーの求める情報を予測し、検索ワードを補完する機能だ。現在開発中のQ&A型検索サービスに近い機能である。

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「将来において、検索は発見のためのツールとなるでしょう」と、シルバーマンは語っている。「ピンタレストの目的は、ユーザがそれまで知りもしなかった新しい発見を提供することです」。

シルバーマンの洞察は間違っていないだろうし、出だしも好調だ。しかし、グーグルにはピンタレストをはるかに上回る数のエンジニアが在籍し、同社の広告製品を売り歩く営業マンも大勢いる。ピンタレストが増資を行ったのは、おそらくグーグルに対抗できるだけの企業力を構築するためだろう。同社は現在、エンジニアリングとセールス部門において大量の人材募集を行っている。

国際的な展開

ピンタレストは長年、国際的な展開を目指してきた。2012年に同社が1億ドルの調達を行った際の主な理由も国際展開だった。なぜピンタレストはこれほどまでに急いでいるのか?それは、ピンタレストを真似たサービスがひっきりなしに現れているからである。

pushpins同社は国際展開の第一歩として、2012年中ごろから自社のサイトやアプリを主要な言語へと翻訳している。ここ何ヶ月かの間にも数十種類の言語に新たに対応し、マレーシア語、ベトナム語、タイ語、ギリシャ語、ヒンディー語が仲間入りを果たした。ただしサイトのトラフィックの7割は米国内のものであり、海外からのアクセスは3割にとどまっている。

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ピンタレストはすでにイギリス、フランス、日本に海外拠点を持っており、近く拠点を増やすようだ。同社の採用情報ページを見てみると、ブラジル、イギリス、日本におけるコミュニティー・マネージャーの募集情報が載っている。

止まらぬ勢い

ピンタレストの幹部は以前から、同社は短期的な金儲けを目的としていないと説明してきた。

「今潤沢な資金があることは実に幸運です」。ピンタレストの前エンジニアリング責任者のジョン・ジェンキンズは、2013年8月にこう語っていた。「資金的な余裕があるので、無理なマネタイズの必要性は感じていません」。

その後、ピンタレストは小規模なテストを行った後に、初の広告プロダクトとなる「Promoted Pin」を立ち上げた。今であれば広告を販売することに対する抵抗も少ないだろう。

昨年の秋に試験的に導入されたPromoted Pin戦略は早くも次のフェーズに突入し、KraftやGapなどの大手企業が参加している。企業はピンタレストの広告料を支払うことで、自社のピンを目立たせてもらえる。

この実験的なフェーズが成功すれば、ピンタレストは現在拡大中の営業チームをさらに増やすことになりそうだ。すでに同社の採用情報にはマーケティング、セールス、パートナーシップ関連の職が並んでいる。

ピンタレストが今、来るべき時代の最先端にいることは間違いない。投資家達もその波に乗る準備が整っているようだ。ウェブのビジュアル化の拡大は目前であり、それを牽引するのはピンタレストをおいて他にはない。

画像提供:Owen Thomas

Lauren Orsini
[原文]


※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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