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ネット通販の宅配スピード競争、最短2時間への挑戦

2014年05月15日 03時14分更新

文● 加藤 宏之(HEW)/アスキークラウド

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 「店にわざわざ足を運ぶことなく、自宅にいながらいつでも手軽に買い物ができる」、あるいは「モノによっては店での販売価格よりも安く買える」など、利用者からの支持を獲得しながら市場を拡大しつつあるネット通販事業者。それに対抗し、ネット通販にも乗り出し始めた流通業者。両者の戦いは宅配スピード競争に発展してきている。

 競争を繰り広げつつあるのは、実店舗を持たないサイト専門ネット通販と実店舗を持つネットスーパーで、日用品や食料品などを販売するケースだ。ネットスーパーは、既存のスーパーをネット通販の拠点にできるため、注文をネットで受け付けるシステムと、商品を宅配する仕組みを新たに構築すればよい。多店舗展開していれば、1店舗あたりのサービス対象エリアは限られるため、受注から配送までの時短に取り組みやすい。

 実際、客がネットで注文してから商品が届けられるまでの最短時間は、大手の場合、西友ドットコムが5時間、イトーヨーカドーネットスーパーが4時間、ダイエーネットスーパーとイオンネットスーパーは3時間となっている。注文当日は当たり前で、時間の短縮が勝負だ。

 かたやサイト専門ネット通販は、ロハコ(LOHACO)が朝10時までの注文で当日最短が18時と8時間を要する。ロハコはオフィス用品等のネット通販「アスクル」の個人向けサービスで、アスクルの物流システムを活用し、最短20分での出荷準備完了をうたう。しかし、東西2大拠点を核としているため、物流拠点から客先までの配送に時間がかかってしまうのが現状だ。むしろロハコは、価格の安さと18万点を超える豊富な品ぞろえで高い競争力を持つと言える。

「Yahoo!ショッピング」の「すぐつく」のサイト

「Yahoo!ショッピング」の「すぐつく」のサイト

 そんななか、「Yahoo!ショッピング」はサイト専門ネット通販でありながら、ネットスーパーなみの配送システムを構築しようとしている。翌日配送や当日配送といった宅配のスピード化にあわせ、「Yahoo!ショッピング」でも数年前から「あすつく」や「きょうつく」と題してスピード配送に取り組んできたが、「きょうつく」よりもスピードアップさせた「すぐつく」の実証実験を8日から開始した。

 「すぐつく」の実証実験は、配達エリアを東京都江東区豊洲1丁目〜6丁目に限定し、客がネットで注文してから商品が届くまでの時間は最短2時間をうたう。同エリア内にある「たつみチェーン豊洲店」と「スーパービバホーム豊洲店」、「ハックドラッグ ららぽーと豊洲店」の3店舗を対象とし、受注後、運営代行業者が各店で商品を購入して客先へと宅配する仕組みとなる。いわゆる買い物代行のスタイルだ。

 商品点数は、速配のニーズが高いと思われる日用雑貨や食品、飲料など合計2500点だが、対象店舗は順次追加する予定で、それにともない商品点数も増えていく。約半年間の実証実験により、その後の本格的な展開を検討していくというが、「Yahoo!ショッピング」のこのモデルならば、ネットスーパーが可能で、サイト専門ネット通販では難しいとされる、生鮮食品の宅配にも可能性が広がる。

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