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インドネシアではつけまは人気が無い?ネット調査のエスノグラフとは。

2014年05月07日 02時20分更新

文● 松下 康之(Yasuyuki Matsusihta)/アスキークラウド

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 新しい市場を開拓する際に現地での市場調査、潜在顧客調査を行うのはビジネスの常識だ。東南アジアなどの新興市場では言語の違い、生活習慣や住環境、宗教や教育レベルなど様々な要因を視野に入れて調査を実施する必要がある。市場調査と言っても実際にダイレクトに現地の人たちにアンケートをするのは難しい。何よりも意見を言ってくれる現地の人を如何に獲得するのか?如何にタイムリーに実施するか?という点において一般消費財のメーカーや飲食料品メーカーの苦労は絶えない。

 そんな中、元アクセンチュアの代表取締役社長が率いる株式会社JQの「エスノグラフ」と言うサービスはインドネシアでの現地調査をインターネットサービスを活用して安価に素早く実現している。エスノグラフのユニークな部分はスマホなどで撮った写真とアンケートで構成されていることとそれを非常に安価に短時間で提供出来るところだ。またモニターが特定出来ることも大きい。

エスノグラフのメイン画面。スマホから投稿された写真が見える。

エスノグラフのメイン画面。スマホから投稿された写真が見える。

 既にインドネシアでもかなりの台数が使われているスマートフォンを活用し、写真の撮影からアンケートへの回答やチャットなどスマートフォンの機能が上手く組み込まれている。
モニターと呼ばれる回答者の獲得に関してもエージェントという現地の調査管理者的な人間が複数存在し、調査のカテゴリーによってきめ細やかにモニターの管理や維持を行っているという。モニターへの報酬の支払いなどもエージェントは役に立っているという。

 調査の企画から回答の取りまとめまで約2ヶ月ほどと非常に短期間であり、100名に対して5個の質問とスマートフォンで撮影された写真一枚をセットとして10万円からというこれまでの市場調査の常識的に考えてあり得ないスピードと価格を実現している。調査を依頼するクライアントが使うポータルサイトもモニターの性別、年齢、所得や宗教による絞り込みが可能と現地の事情をよく考えた仕様となっている。タグによる検索機能で個々の回答を分析することも可能だ。

回答をグラフで集計。どうやらインドネシアではつけまつげは人気薄。

回答をグラフで集計。どうやらインドネシアではつけまつげは人気薄。

 以前紹介したサーベイモンキーのようにインターネットを活用したネットリサーチの専業ベンダーではネットで簡単にアンケートを作成し、広く調査を実施することはできるが実際にピンポイントで狙ったセグメントの対象者にアンケートを行うことは単独のサービスとしては難しい。エスノグラフはインドネシア限定ながら、スマートフォンを活用して狙ったセグメントに対してそれほど大規模ではない調査を素早く行いたいのであれば非常に効果的だろう。

 インドネシアにおいてもインターネットとスマートフォンが当たり前のツールとして活用されていることで市場調査がやりやすくなったのは事実だろう。このアプローチが他の国に展開されれば、新興市場での調査の選択肢となり得る。

 JQが実施した調査に基づいた情報サイト(エスノグラフジャーナル)も興味深い情報が多く、インドネシアでのビジネスや最新の消費実態に関心のある方はまずはサイトの記事を読むことをお勧めする。

参考リンク:
エスノグラフ:http://id.ethno-graph.com/lp/co_05.html
エスノグラフジャーナル:http://id.ethno-graph.com/

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