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REDEFINEは成功したか?EMC WORLD 2014レポート第2回

オールフラッシュアレイを超えるパフォーマンスをサーバー間で共用

謎のフラッシュベンダーDSSDをEMCが買収した狙いとは?

2014年05月06日 21時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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今回、EMC WORLD 2014にあわせて発表されたのは“ラックスケールフラッシュストレージ”を開発するDSSDの買収だ。フラッシュ関連を手がけるダニエル・コブ氏のインタビューも踏まえ、ステルス化されているDSSD買収でEMCがなにを狙うのかを考えてみた。

サーバーサイドフラッシュをアプライアンス化

 DSSDはサン・マイクロシステムズや3PARなどのメンバーを中心に設立されたベンチャーで、“ラックスケールフラッシュストレージ”を謳うフラッシュ製品を開発している。ただ、残念ながら「Webサイトに行っても、電話番号も載っていない」(米EMC プロダクト オペレーション&マーケティング エグゼクティブバイスプレジデント ジェレミー・バートン氏)とのことで、DSSDの製品や技術の詳細はステルス化されており、今回は買収した事実のみ発表され、製品の詳細は明らかにされなかった。

元サン・マイクロシステムズのアンディ・ベクトルシェイム氏やビル・ムーア氏など壇上に上がるDSSDの面々

 とはいえ、DSSDの狙いはわりと明確で、オールフラッシュアレイより高いパフォーマンス、低い遅延というマイクロセカンドな性能を追求する領域である。同社はこれまでHDDとSSDを併載したVMAXやVNXなどのハイブリッドストレージや、XtremIOのようなオールフラッシュアレイを展開したきたが、DSSDのフラッシュストレージはさらなる高みを目指す製品になる。

 もちろん、XtremIOでは、すでに1ミリ秒の世界を実現しており、これ以上高い性能に果たして意味はあるのか気になる。しかし、オリンピックでの競技がミリセカンド単位での勝負になるように、オールフラッシュアレイとサーバーサイドフラッシュの違いは確実に存在するようだ。それを表わすために披露されたのが、「サーバーサイドフラッシュの存在意義」と題された以下の図。これは「数ナノ秒」を「秒」単位に置き換えて、CPU、キャッシュ(SRAM)、DRAM、サーバーフラッシュ、オールフラッシュアレイなどの各コンポーネント間の遅延を示したものだ。

サーバサイドフラッシュはなぜ必要か?

 これを見ると、CPUとキャッシュ(SRAM)間が1秒なのに対し、キャッシュとDRAMは10秒換算、DRAMからサーバーサイドフラッシュは10時間換算の遅延が出るのがわかる。さらにファブリックを介して、オールフラッシュアレイにアクセスする際の遅延は、なんと1週間におよぶ。ナノ秒、ミリ秒で見ると、大きな遅延が生じていることがわかる。PCIeベースの高速なインターフェイスを持ち、物理的にもCPUに近いサーバーサイドフラッシュは、明確な存在意義があるわけだ。

 しかし、サーバーサイドフラッシュでは容量面で限界があるほか、サーバー直結のため、柔軟性がないという弱点がある。1台のサーバーでしかフラッシュを使えないので、投資対効果が限られる。そこで、DSSDのラックスケールフラッシュストレージでは、メモリの代わりに使える性能を持ちつつ、テラバイトクラスの大容量を実現する。さらに共有ストレージと同じ運用性を実現しつつ、アプリケーションネイティブなインターフェイスを提供するよう設計されるという。

オールフラッシュアレイを超える高い性能と低遅延を目指すDSSDラックスケールフラッシュストレージの特徴

PROJECT THUNDERはあきらめてなかった?

 DSSD買収の狙いはどこにあるのか? 肝心な製品の中身はどんなものなのか? EMC WORLD 2014の会期中に取材に応じた米EMC NVMストラテジー ディスティングイッシュエンジニア バイスプレジデントのダニエル・コブ(Daniel Cobb)氏はいくつかのヒントをくれた。

DSSDのキャップで登場した米EMC NVMストラテジー ディスティングイッシュエンジニア バイスプレジデント ダニエル・コブ(Daniel Cobb)氏

 DSSDのどこに惹かれたのか? コブ氏は、「ハードウェアとソフトウェアの設計が、高密度という点にフォーカスされたところだ。ラック内の20~30台のサーバーで同じフラッシュを共用するというわれわれの戦略にとてもマッチしている」と語る。また、追加のCPUやメモリなしで、レスポンスタイムをほぼゼロに近づけることができる点、フラッシュで課題となる耐久性や一貫性、性能などをシステムレベルですべて管理してくれる点も魅力的だったという。

 オールフラッシュアレイとの違いについて、コブ氏は「性能と実装密度が異なっている。オールフラッシュアレイはスナップショットやインラインの重複排除などを提供している」と説明し、性能面を最重視する点をアピール。また、DSSDが想定するアプリケーションについては、「第3のプラットフォームで利用されるインメモリアプリケーションにフォーカスしている。たとえば、Hadoopのクエリやデータ分析をリアルタイムに行なうケースが想定できる」(コブ氏)とのことだ。

 こうして話を聞くと、EMCは「PROJECT THUNDER」をあきらめてなかったことがわかる。PROJECT THUNDERは、今のXtremIOが「PROJECT X」と呼ばれていたのと同時期に立ち上げたサーバーフラッシュアレイの開発計画。製品化に結びついたXtremIOと異なり、いったん表舞台からは消えたが、その計画が脈々と受け継がれてきたと考えられるのだ。XtremIOブランドでサーバーサイドフラッシュやオールフラッシュアレイを展開しながら、両者の間に埋められないギャップがあるのを、EMCとしては長らく理解していたのだろう。

2年前の発表会で使われたPROJECT THUNDERに関するスライド

 DSSDは米EMCのエマージングテクノロジーの部門に組み込まれ、製品の開発が続けられる予定。買収した企業の資産を活かし、社内ベンチャー的に製品開発を進めるこうした手法は、XtremIOを立ち上げた際も同じだという。買収に長けたEMCならではのスピード感を活かした製品のいち早い投入が期待される。

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