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今年もカオスがせめてきたぞっ! ニコニコ超会議3まとめレポート 第13回

乗馬体験、仮想金魚の水槽など、未来あふれる「超Ocufes」に刮目せよ

2014年05月06日 14時00分更新

文● 広田稔(@kawauso3

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あの「ジョーバ」で乗馬体験できる「Hashilus」

Hashilusの体験風景

 超Ocufesでは15種類ほどのソフトを展示していたが、個人的に注目していたのは、乗馬体験ができる「Hashilus」(ハシラス)だった。

 Oculus Riftを装着して、フィットネス器具の「ジョーバ」に乗ったら準備OK。ジョーバが揺れ始めると、目に見えてる3D空間の馬も動いて風景が変わり、足下にあるスピーカーから馬の足音が鳴ったうえ、前にあるサーキュレーターから風が当たって、本当に乗っているような感覚を味わえる代物だ。手に持ったPlayStation用の「アスキータンバリンコントローラ」を振ると、ムチの音が鳴って加速。坂を駆け上がったり、下ったりと2分ほどコースを走ったら終了──という流れになる。

ジョーバとOculus Rift。ジョーバは、形状から8の字の動きを実現した第4世代と思われる

ムチを打つためのアスキータンバリンコントローラ

サーキュレーターで風を演出

 実際にやってみると、ジョーバの揺れがまさに馬! ……というか筆者はリアル馬に乗ったことがないので比べられないのだが、ジョーバはがんがん揺れるし、いつもより少し高い馬の背から仮想空間を見渡せるし、ムチの音も本物っぽいしと、「本物が走ったらこんな感じなのかー!!」と思い込まされるのに十分な体験だった。

 ポイントは、やはり目だけではなく、耳や体でもリアリティーを補足して、没入感をぐんとあげているところにある。途中、仮想空間で水たまりを通る際、サーキュレーターの後ろから霧吹きで水を出してリアルに浴びるという演出も入っているのも凝っている。



 Hashilusが生まれたのは、なんとここ1、2ヵ月の話というから驚きだ。プロデューサーは、Ocufesのメンバーで、「オキュ旅」にも参加するほどVRにホれている手妻師の藤山晃太郎さん。超会議3に超Ocufesの参加が決まったあとに、「高さがあって動いてて目立つもの」、「カップルや友人同士で盛り上がれる」、「没入効果が高いユニークなもの」という条件の展示を考えていて、3月1日にひらめいたのが、ジョーバを使った乗馬レースだった。

 実はFPSゲームのように、プレイヤーが現実世界で歩いていないのに、仮想空間のCGだけコントローラーやキーボードで動かしているようなVRコンテンツは、リアリティーが下がってしまったり、VR酔いを引き起こしてしまう原因になる。何かに座っているシチュエーションのほうがより没入感を高められるわけで、乗馬ならぴったりというわけだ。

 しかもジョーバは、2007年前後に大流行してそのブームが落ち着いたこともあって、昨今、オークションに大量放出されて値段が暴落しており、実験に使うにはピッタリだ。藤山さんは3000円でゲットして、むしろ送料の方が高かったとか。そこからUSB経由でボタンを押せるように、村上修一さんにハードウェアをハックしてもらう。ソフトウェアは、桜花一門さんが作ったものをベースに、waffle makerさんがブラッシュアップした。馬のいくつかのモーションは黒羽紫鴉さんが担当した(詳細は藤山さんのブログで)。

 面白いのは、ジョーバはもともとVRシステムとの出会いから生まれたというエピソードだ。パナソニックのサイトにある「ジョーバの歴史」を見ると分かるように、1993年、医学博士である木村哲彦氏が、パナソニック電工(旧松下電工)で研究されていたVRシステムを体験したことをきっかけに、同社に乗馬ロボットを作れないかと打診してジョーバの基礎研究が始まる。そこから20年以上のときを経て、ユーザーが「魔改造」したジョーバでVRに回帰するという流れに胸が熱くならざるを得ない。


藤山晃太郎さんのコメント

 超会議の会場で「ぱっと見で何をやってるのか伝わる、やりたいと思わせる」を狙って作ってきたのですが、「いやー、あれは恥ずかしい、ないわー」という感想が聞けたのは意外でよかったです。やってみないと判らないことばかりですね。

 Hashilusは体験者の全身が動き、背後に大型モニターで両眼ではない映像を投影しているので、客寄せの効果があります。これは体験会全体の利益になると強く実感できたので、ほかのソフトでも実現していきたいです。

 今のHashilusは、体験者がリアルの視界がまったく見えていないため、通常では考えられないほどバランスを崩してしまうことがありました。今後の課題としては、スタッフの運用でカバーするのではなく、どんな無茶をしても問題ないハード的なシステム作りとともに、コンテンツによる視線や姿勢の制御も掘り下げていきたいと思っています。

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