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日本のITを変えるクラウド世代のベンチャーたち 第7回

業務アプリももはやスマホでワンハンドオペレーション!

B2BのクラウドをB2Cの流儀で使いやすくする「Coubic」

2014年04月30日 09時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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クラウド型の予約管理システム「Coubic(クービック)は、スマホから簡単に予約管理機能付きのWebサイトを立てられるサービス。スモールビジネスをターゲットにしたサービスの概要や狙いをクービック代表取締役社長の倉岡寛氏に聞いた。

予約や顧客管理可能なWebページを1分で作成

 Coubicはスモールビジネスをターゲットにしたビジネス向けの予約管理サービスだ。Webサイトの知識が少ない人でも簡単にホームページを立ち上げ、予約や顧客管理までを実現できる。4月10日に正式リリースしたばかりだが、ビューティサロン、お菓子教室、会計事務所、旅行ツアー、料理イベント、ヨガスタジオなど、さまざまな業種や場面で使われているという。倉岡氏は、「たとえば、テスラモーターズさんでは、試乗会の予約を電話でやっていましたが、これをCoubicに変えることで、スムースな予約管理が実現できるようになりました」と語る。

クービック代表取締役社長の倉岡寛氏

 Coubicの利用は簡単。オーナーはサイトにアクセスし、予約ページを作るサブドメイン、メールアドレス、パスワードを登録し、「無料でページ作成」のボタンを押せば、ホームページが作られる。ログインすると、オーナーはWebページに写真や記事を投稿したり、予約ページを作成できる。つまり、予約ページや顧客管理可能なWebページ自体を簡単に構築・運用できるというのだ。予約ページは、事前に設定した予約日時からユーザーが予約を指定する「イベントタイプ」と、まずはユーザーに希望日時を出してもらい、やりとりを通じて予約を受け付ける「コミュニケーションタイプ」の2つの予約形態を選択できる。

 カレンダーにスケジュールを登録するという点では、Googleカレンダーと同じような使い勝手だが、ユーザーは予約したい日時だけではなく、顧客情報も登録することになる。そのため、オーナー側はその顧客情報にメモをひも付けて、簡易的なCRMとして利用できる。また、オーナーが予約台帳に直接予約を登録することも可能。「最初はネット予約だけだったんですけど、電話やメールなどで予約が来る場合も多いので、いろいろな予約を予約台帳で一元的に管理できるようにしました」(倉岡氏)。先日はGoogleカレンダーとのシンクも発表されたので、スタッフ間でスケジュールを共有するのも便利になった。

クービックの予約登録画面

 もう1つは、先進的なモバイル対応。Coubicではレスポンシブデザインを使い、ユーザー側の画面だけでなく、オーナー側の画面までモバイルに最適化している。B2C系では珍しくないが、B2B系のアプリではまだまだ珍しいといえよう。「メールすら持っていない客もいますので、専用アプリまで用意しており、ネットが予約が入ると、プッシュの通知が来ます」(倉岡氏)とのこと。本業に集中したいスモールビジネスのオーナーにはこうしたスマホ対応はありがたい。

 始まって日は浅いが、スマホ利用はすでに浸透している。「われわれが予想していた以上にスマホ率が高い。しかも、予約だけではなく、オーナーが管理する操作までワンハンドでやっている状況。改めてスマホなんだなと思いました」と語る。

モバイル世代のB2Bクラウドサービスを目指す

 サービスを手がけるクービックは、グーグルやグリーの職歴を持って倉岡寛氏が、2013年10月に仲間と共に立ち上げたベンチャー。創業の背景にあるのは「B2Bのクラウドを、B2Cの流儀で再定義する」ことだ。

 倉岡氏は、グーグルでWeb検索、グリーでゲームプラットフォームなど、B2C系のことを手がけてきた。しかし、実際に自分がサービスを受ける側になると、B2Bの分野は使いにくい部分が多かったという。「スマホでタクシー呼べて、決済までできるUberとか、Airbnbのようなスムースな世界にはなっていない」と語る。スモールビジネスで予約管理システムを持とうとすると、時間枠やスロット数など開発側と決めながら、コストをかけてシステムを作らなければならないのが現状だ。

 もちろん最近では、会計分野やマーケティング、予約・顧客管理などの分野で、新しいクラウドサービスが増えているが、「スモールビジネスの人たちと話してわかったのは、これらを使いこなせていないということ。そもそもサービスがいっぱいありすぎ、高価で、多機能で使いにくい」(倉岡氏)と指摘する。こうしたスモールビジネスの課題に対して、シンプルで使いやすいツールを提供したいというのが、クービック創業の背景となっている。倉岡氏は、「B2Cではスマホ対応は当たり前だけど、B2Bでは管理画面はPCだけというところも多い。モバイル対応しても画面が複雑というサービスも多い。こういう課題にチャレンジしがいがある」と語る。

 倉岡氏は、「Googleのおかげもあり、情報収集はとてもやりやすくなった。でも、情報を見つけて、実際にサービスを受けるというラストワンマイルみたいなところがなかなか埋まらない。問い合わせのフォームが見あたらないとか、メールや電話が必要だったりする。Coubicでは予約という切り口から始めて、コミュニケーションを円滑にしていきたい」と語る。

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