富士通とジャストシステムは4月24日、スマートフォン用の日本語入力システム「Super ATOK ULTIAS」を共同開発したと発表した。夏以降に富士通から発表されるスマートフォンなどに順次搭載していく。既存の富士通製端末に対応するかどうかは未定。
Super ATOK ULTIASは、スマホ史上最高のATOKをうたう。
過去のATOKシリーズで培った変換精度を継承。予測変換、文脈の理解に加え、濁点のうち間違いや大文字/小文字のミスなど、スマホならではの誤入力に配慮した変換候補も提示する。さらにスペルのわからない英単語を入力したい場合、「契約→contact」のように日本語やカタカナ語をそのまま英単語に翻訳して変換できる。変換時には長押しすることで、同音異義語の解説を参照する機能なども持つ。ATOKキーワードExpressを活用し、最新の単語をいち早く端末の辞書に届けることもできる。語彙数はATOK史上最大の単語数をうたっており、PC版と同等のエンジン、辞書を持つという。
また富士通との協業により、入力ミスを防ぐための仕組みや編集のしやすさなど、ハード側の対応も含めて、スマホならではの使い方を想定した改善を加えている。
たとえばタッチミスを改善するためにハードウェア(タッチパネル)に最先端の制御ICを使用。座標精度、反応速度を上げている。さらに液晶パネルのノイズで正確な位置を把握できない問題や充電時にGNDが変わり誤動作につながるといった要因を排除するため、周辺回路の設計を含めて工夫している。
また、カーソル移動やコピー&ペーストといった編集機能を快適にするため、つまみで選択範囲を修正でき、次の操作を案内し、ミスした場合もすぐ戻せる(元に戻すアイコンを出す)といったUI面での工夫も盛り込んだ。携帯電話機のテンキーのようなソフトキーボードや、練習用のフリック学習モードなどを用意している点はARROWSシリーズならではとなる。
今回の提携によって生まれた、Super ATOK ULTIASは、ソフト単体だけでなく、ハードやUIを含めた総合的な使い勝手を考えたユーザー体験の向上という意味合いが強い。そのため、ARROWSシリーズに代表される富士通の製品の機能進化という意味合いも強い。とはいえ、音声で話すための電話機から、LINEやSNSなどテキストを主体としたコミュニケーションのツールへとスマートフォンが進化している状況の中、日本メーカーの協業により、日本語入力環境の改善に真正面から取り組んできた点は意味があるようにも感じる。
今後の製品にどのような形で反映されるのかを期待したい。