このページの本文へ

アプリケーション開発コンテスト「BlueMix Challenge」を5月開催

「コードを書くことに専念できるPaaS」IBM BlueMixの狙いは

2014年04月24日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 日本IBMは4月23日、現在ベータ提供中の開発者向けPaaS「IBM BlueMix」を利用したアプリケーション/サービス開発コンテスト「IBM BlueMix Challenge」を5月21日から開催することを発表した。

 BlueMixは、「IBM SoftLayer」クラウドの提供するIaaS上に、オープンソースのPaaS基盤「Cloud Foundry」とUIを実装した開発者向けのプラットフォームサービス(PaaS)。幅広い開発言語/ミドルウェア/バックエンドサービスのセットアップを自動化し、開発者が環境構築や運用に手をわずらわせることなく「開発(コードを書くこと)に専念できる環境」を目標としている。

BlueMixの狙いは「開発者が開発に専念できる環境を提供すること」

現在BlueMixが対応/提供している開発言語/ミドルウェア/バックエンドサービスは30種類超

 今回のBlueMix Challengeは、同PaaSを利用したアプリケーション/サービス開発をテーマに、開発者からの応募を募るもの。募集要項/条件の詳細は、5月21日と22日に東京で開催される「IBM Software XCITE Spring 2014」にあわせて発表される。

“SoE”なモバイルアプリケーション開発のためのPaaS

 同日の説明会でIBMは、BlueMixのようなPaaSが求められるビジネス背景やサービス特徴、同社の狙いについて説明した。まず、日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業本部長のヴィヴェック・マハジャン氏は、現在の顧客ニーズとBlueMixの関係について語った。

日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業本部長のヴィヴェック・マハジャン氏

 IBMソフトウェアでは、ERPやCRMなど従来型の基幹システムを「Systems of Record(SoR)」、一方でモバイルやソーシャル、分析といった新分野のアプリケーションを「Systems of Engagement(SoE)」と位置づけている。マハジャン氏は、顧客企業が現在課題を抱えているのは「特にSoEの領域」であると述べる。

IBMが定義する「Systems of Record(SoR)」と「Systems of Engagement(SoE)」

 「モバイルやソーシャルを活用し、『個客』にリーチし、リアルタイムに即答するためにはSoEのアプリケーションが重要。そして、SoEのアプリケーションはSoR(のデータ)につながっていないとまったく意味を持たない。SoEとSoR、この2つをどう連係させるか。IBMはここに注力している」(マハジャン氏)

 ただし、SoE領域のアプリケーションは、SoR領域のそれに対して圧倒的に変化が速い。アジャイル、DevOpsといった開発コンセプトが強く求められるのはSoE領域である。その一方で「グローバルでは1800万人のアプリケーション開発者がいるが、モバイル系の開発者はそのうち25万人と、とても少ない」(マハジャン氏)。

 こうした背景から、BlueMixではSoE領域のアプリケーション開発に最適化し、SoRシステムとの結合を容易にすること、ミドルウェアやバックエンドサービスの構築を自動化することに注力している。前述したとおり、BlueMixの目標は「開発者がコードを書くこと(開発すること)に専念できる環境」であるとマハジャン氏は説明した。

 続いて登壇した日本IBM ソフトウェア事業本部 クラウド・SaaSビジネス開発担当の高瀬正子氏も、既存のSoRシステムにSoEのシステムをどううまく結合するのかがビジネス成長の鍵を握っており、SoEシステムで求められる「アジャイルな開発」「クイックなサービスリリース」をテクノロジーで支援することが重要であることを強調した。

日本IBM ソフトウェア事業本部 クラウド・SaaSビジネス開発担当の高瀬正子氏

 PaaS市場におけるBlueMixの競合優位性については、マハジャン氏、高瀬氏とも「一貫してオープンスタンダードに基づいていること」を挙げた。Cloud Foundryに対しても、IBMはプラチナスポンサーとして参画している。「BlueMixではAPIを完全にオープンなものにしており、誰でも容易にアクセスできる。そこが他社のPaaSとの大きな違い」(マハジャン氏)。

 現在はまだベータ提供中のサービスだが、今後さらにIBM自身、およびパートナーが提供するサービスをコンポーネントとして追加し、幅広いアプリケーションの実装を可能にしていく予定であるとIBMでは説明している。

BlueMixでは、今後さらにアプリケーション開発に利用できるサービスの幅を拡張していく方針。ビッグデータ、セキュリティ、アナリティクスなどと並んで「Watson」の文字も見える

 「来月には(開発コンテストの)BlueMix Challengeも開催する。日本からも多く、BlueMixのベータテストに参加していただければ」(マハジャン氏)

■関連サイト

カテゴリートップへ