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税金がゲームに流れる北欧国家

2014年04月25日 07時00分更新

伊藤達哉(Tatsuya Ito)/アスキークラウド編集部

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 一般的な日本人からすると、フィンランドとゲームは結びつきにくいかもしれないが、80年代の後半からPCをプラットホームとしたゲーム産業がフィンランドでは育っている。2000年代に入ると携帯電話向けのゲームを作る企業が出現し、その後スマートフォンの普及によって「クラッシュ・オブ・クラン」のスーパーセルや、「アングリーバード」のロビオ・エンターテイメントが世界的に有名になった。

 フィンランドのゲーム会社が成長した要因の一つには、携帯電話会社のノキアの衰退と共にエンジニアがゲーム業界に流れたことがある。また、国内マーケットが小さいため、事業の開始時から海外マーケットを意識していたことも成功要因にあげられる。

 日本では信じられない話だが、フィンランドは国がゲームを事業として積極的に支援している。スーパーセルやロビオも国からの支援を受けて大きくなったと言われており、これらに続く世界的なゲーム会社を生み出そうとしている。
 国家による支援でもっとも有名なのが「テケス」と呼ばれる組織で、フィンランドの技術革新を促進する研究開発に対して資金を工面している。海外企業でも拠点をフィンランド国内に置いておけば支援の対象に入るのも特徴だ。

テケス
テケスのカリ・コルホネン氏。

 テケスは15年以上ゲーム事業をサポートしてきたが、2012年にゲーム事業の支援に特化した「スケネ」というプロジェクトを始め、すでに40を超える事業に投資している。テケスのカリ・コルホネン氏は、スケネを運営するポイントに「デジタル配信」「モバイルプラットホーム」「IP」をあげた。投資対象は急速な成長が期待でき、投資額の6~7倍ほどの効果が見込める将来性のある企業で、中には投資の見返りを求めない事業もあるとか。

 ゲーム事業に国民の税金を使うことに対して、国民の理解は得られているとカリ氏は言う。フィンランドではゲーム自体に産業としてのポテンシャルを感じており、輸出産業として国民にアピールするだけでなく、投資によって新しい雇用も生み出しているからだ。カリ氏は、スケネのポイントの一つにIPをあげているが、ゲームのキャラクターをアニメや映画、グッズなどにマルチ展開する構想を持っている。日本ではコンテンツ企業が意識しているIP事業の構想を、フィンランドでは国が意識してすでに実行しているのだ。

 カリ氏は「ゲーム事業でフィンランドを映画でいうハリウッドのような一大産業地にしたい」とゲーム事業の意気込みを語った。

 今月から消費税が8%になった日本で、「ゲームで雇用を作ります」と言われて納得する国民はどれくらいいるだろうか。

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