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クラウドネイティブな新人に負けない冴えたやり方

気がついたら俺がレガシー?情シス再生への道はkintoneにあり

2014年05月15日 12時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp イラスト●野崎昌子

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クラウド時代に情シスだからできること

 営業部からのニーズを聞いたシバタは、導入した外資系クラウドにこだわるのをやめ、別のサービスを検討することにした。良くも悪くも、クラウドサービスは途中で止められる。使い勝手が悪い、カスタマイズが難しい、性能がイマイチといちいち悩むのであったら、別のサービスを検討した方が話が早いわけだ。こうしてExcelの資産を活かせるクラウドサービスとして検討することにしたのが、サイボウズの「kintone」だ。

 kintoneは業務に必要なデータベースをWebブラウザ上から作成、運用できる“業務改善クラウド”だ。案件管理や顧客管理、クレーム管理、日報、見積もりや契約書の管理、社内FAQなどのデータベースをエンドユーザー自身が最短3分で作ることができ、Webブラウザを使って、メンバー間で共用することが可能だ。Excelのようなクライアントアプリの使いやすさ、Notesのような業務適応力、グループウェアのようなコミュニケーション機能を持ち合わせるユニークなクラウド型アプリケーションといえる。月額780円/1ユーザーという料金も大きな売りで、ユーザーやグループの規模に合わせて柔軟に規模を拡大できる。

 もともとAMWでは、グループウェアとして「サイボウズ Office」を社内で使っており、サイボウズ製品の導入実績がある。そこで、シバタはキノシタを伴ってさっそく販売代理店から案内されたセミナーに参加してみた。そして、実際のデモを見た段階で使えると確信した2人は、サイボウズの講師と話してみることにした。

シバタ:今日のセミナー、実にためになりました。デモであったように、実際にExcelファイルをアプリ化する例って多いんですか?

サイボウズ講師 タムラ:はい。やはりSOHOや中小企業の方が多くて、7割くらいはExcelの再活用例です。kintoneの場合、ウィザードからExcelファイルをインポートすると、そのままデータベースになるので、それらをいじって共有するケースが多いですね。

キノシタ:うちはどうも外資系のクラウドが合わなかったようで、使い勝手やカスタマイズで行き詰まってしまったんです。

サイボウズ講師 タムラ:なるほど。クラウドからの移行はまだ多くないですが、価格が見合わないということで、kintoneに来る方は多いです。定価ベースだと、他社のクラウドサービスと比べて10倍近く安いので。あと、モバイル対応も選ばれるポイントです。PC用の画面をけっこう強引にスマホ対応にしている他社に比べ、kintoneの場合は専用アプリなので、写真をアップロードするのも、入力するのも簡単です。

Excelのような画面でデータベースを開発できる

シバタ:うちは案件管理と顧客管理で使おうと思うのですが……。

サイボウズ講師 タムラ:それはいいですね!kintone案件の約4割くらいは案件や顧客の管理なので、みなさん苦労なさっているみたいです。現場で使っていたExcelファイルを情シスで引き上げて、インポートした後に営業現場でカスタマイズするんです。ある会社では情報システム部がテンプレートと設計書だけ作って、あとは社内の営業アシスタントの女性たちに運用を任せてしまったんです。

キノシタ:えっ? それじゃあ、サポート電話鳴りっぱなしになるんじゃないですか?

サイボウズ講師 タムラ:それが実にうまく運用されているようです。営業アシスタントの方々がExcelに慣れているのと、営業マンの後方支援で以前から問題意識を持っていたようです。kintoneはある意味“できすぎないシンプル設計”が売りなので、こういう現場任せが可能なんです。

シバタ:現場でそこまでできるなら、クラウド時代は本当に情シスは用なしですねえ(笑)。

サイボウズ講師 タムラ:そんなことないですよ。現場では難しい技術や操作面のサポートは情シスだからこそできます。あとは、基幹システムと連携させるとか、社内の他部署に横展開する場合は、情シスの力が不可欠です。最近はkintoneでもJavaScriptによるカスタマイズが可能なので、情シスの方のスキルも発揮できます。現場に精通している情シスは、クラウド時代にこそ、存在価値を発揮すると思いますよ。

Excelをkintoneへ!PCやモバイル環境で活用できる

 こうした話にシバタもキノシタも勇気づけられた。なるほど。いろいろなことが現場で実現できるクラウドの時代だからこそ、情シスならではのサポート能力や使い方提案、調整能力が活きるわけだ。

世代を超えた情シスのタッグが新しいIT活用を生み出す

 数ヶ月後、AMWではkintoneの正式運用をスタートした。いったん導入を失敗した経緯もあり、現場からの反発も少なくなかったが、シバタが粘り強く現場のニーズを聞き、試用と検証を重ねることで、ようやく効率的な使い方を作りあげていった。また、ビジネスの概況をいち早く知りたい経営層には、売り上げデータのグラフ化などのメリットを積極的にアピールした。一方、キノシタはkintoneのセミナーに通い、便利な使い方を編み出しつつ、おもにモバイルでの利用を積極的に推進した。

キノシタ:先日、電話を「現場をわかってるのか!」と言ってた営業の方から、すごい使いやすくなったと言ってもらえました!モバイル版のkintoneを使うことで、営業チームのフォローがスムースになったと話していました。

シバタ:クラウドだろうが、オンプレミスだろうが、やっぱりユーザーのニーズをきちんと把握しなければ、役立つITはできないぞ。普段からコミュニケーションをとっていれば、いろんなリクエストも拾えるだろう。

キノシタ:はい。私も最近は「こんなことできない?」という相談を持ちかけられることが増えたので、リクエスト自体をkintoneでデータベース化し、共有するようにしています。

シバタ:なるほど。こうして現場との関係をきちんと構築していれば、情シス側も、リクエストに応えるだけではなく、積極的に現場の施策を提案していくことができるはずだ。キノシタにも期待しているぞ!

キノシタ:はい!

 クラウドやモバイル前提の若い感性で新しい“攻め”のITを導入するキノシタ。レガシー情シスとして積んできた“守り”の経験を活かしながら、クラウドの導入を進めるシバタ。両者のタッグで、ある中小企業のITの使い方が大きく変わりつつある。

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■関連サイト

(提供:サイボウズ)

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