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自然の力を活かしつつ環境制御する「パッシブハウス型農業プラント」で国内農業競争力強化に貢献

パナソニック、新規事業「アグリ・エンジニアリング事業」に参入

2014年04月21日 17時29分更新

文● 行正和義

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パッシブハウス型農業プラント

 パナソニック・エコソリューションズは、局所環境制御を実現した「パッシブハウス型農業プラント』を開発、農産物の生産効率の向上と生産者負担の軽減を図る「アグリ・エンジニアリング事業」に2014年度から参入すると発表した。

さまざまなセンサーからの情報を統合化し、ハウスの環境を制御する

 「パッシブハウス型農業プラント」は、自然光、水、風などの自然エネルギーを極力利用しつつ作物周辺の温度、湿度などの環境をバランス良く整えるトータル環境制御システム。植物工場と異なり、エアコンや暖房機を使用しないためエネルギーコストを抑えた栽培が可能。具体的にはハウス外の照度、外気温度、ハウス内の温度・湿度を計測して、遮光、送風、散水を行なう設備機器を制御。作物の生育ステップごとに機器動作の優先順位を決めて、成長に合わせた制御を行う。

気流計算やサーモグラフ、日照シミュレーションなどによってハウスの環境を最適化する

 設備機器を最適に配置することで作物周辺のみを集中的に環境制御する「局所フォーカス」を実現し、環境制御を省エネで実現。ハウス内の設備機器は気流解析やサーモグラフィ測定、日照シミュレーションによる周辺環境の影響を考慮したハウスの全体配置設計を行うが、生産者がすでに持っている井戸ポンプ・電源といった設備に合わせた設計を行うという。

 パナソニックでは、2012年度より事業モデル検証をグループ内外各社と協同で行って事業化を検討。2014年度から大手青果流通会社のケーアイ・フレッシュアクセスと共同で事業化することを決定した。今年度は単棟タイプを10棟1ユニットとして販売を開始、数年内には大型化を含むハウスのバリエーションを増やしていくという。

同社の実証実験では、一般的には難しかった夏を含めて年間を通じたほうれん草の栽培を実証したという

 国内農業に国際的な競争力を付ける強化策として、新規就農者への必要な資金交付など次世代の農業生産者向け施策や、農地集約の円滑化に向けた農地法改正の検討、農業の付加価値化、農商工連携などの取り組み強化などさまざまな振興策が行われる一方、天候不順に対する安定生産や作業効率化など生産性に対する課題がある。パナソニックでは、農業生産者に取り組みやすい設備とビジネスモデルを提供することで生産基盤の強化と農業の継続的発展に寄与することを目指すという。

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