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OSSの分散ストレージ「Sheepdog」を国内初採用、その理由とは

“とんがった技術者”が生んだ月額制プライベートクラウド

2014年04月28日 09時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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より良いサービスのために、先進的な技術は貪欲に取り入れる

 先進的な技術を積極的に取り入れ、ユーザーにより良質で安価なサービスを提供する――。こうしたエーティーワークスの姿勢は、今回紹介しているSheepdogの採用に始まったことではない。

 「もともとホスティングサービスから始まった当社ですが、コストを下げる狙いからハードウェアも自社で開発するようになりました。当時から、Linuxやオープンソースソフトウェアを積極的に活用するのも“基本”になっています」(辻氏)

 レンタルプライベートクラウドの開発においても、これまでの経験やノウハウが大いに役立ったと言う。

 「ハードとソフトの開発、さらにサービス運用も手がけてきたことで、プライベートクラウドをホスティングする新サービスもスムーズに実現できたのだと思います。クラウド基盤のソフトウェアにしても、パッケージ化された商用製品を使うという選択肢もありましたが、それでは競合サービスとの差が付かないので」(辻氏)

 アマゾン(AWS)やグーグルといった大手パブリッククラウドベンダーが他社の追随を許さないサービス規模と価格を実現している背景には、同じように独自の技術やノウハウの蓄積があるはずだと、辻氏は指摘する。

 「たとえばレンタルプライベートクラウドでは、Sheepdogクラスタの状態を監視し、障害を検知してアラートを上げるツールを独自に開発しました。これも、自らシステムを構築していく過程で『どこをどう監視すべきか』を把握していたからこそできたツールです」(辻氏)

次のサービス開発も視野に、新たな技術へのチャレンジを続ける

 Sheepdogプロジェクトでは現在、安定性や信頼性をより高めるのと同時に、iSCSIやREST APIといった新しいプロトコルの実装にも取り組んでいる。さらに、森田氏によれば、単一のデータセンター内だけでなく、複数のデータセンター間をまたぐ形でクラスタを構成するというアイデアも出ている。

 「特に日本では、DR(災害対策)用途で求められる技術でしょう。また、ネットワーク資産が活かせる可能性がある技術だと考えています」(森田氏)

 一方、エーティーワークスでは、レンタルプライベートクラウドの“ハイエンド版”サービスを考えているようだ。これはサーバーに搭載したSSDをキャッシュとして使うことで、より高速なストレージI/Oを実現するものだという。

 「Sheepdogはサーバーサイドキャッシュ機能を備えています。顧客からもより高速なサービスへの要望をいただいており、この機能を使ってハイエンド版サービスを提供したいと考えています。また、別のアイデアとして、Amazon S3のようなオブジェクトストレージサービスも検討中です」(辻氏)

 森田氏いわく、Sheepdogのような新しいソフトウェアをリリースして真っ先に「チャレンジしてみよう」と飛び込んでくるのは、たいてい欧米や中国の事業者だそうだ。たしかに、日本の事業者は概して安定志向で、他社でも採用実績のある“枯れた技術”を使いたいと考える傾向が強い。

 しかし、そうした見方は、エーティーワークス技術陣には当てはまらないようだ。辻氏は、ネットワーク仮想化の領域にも注目していると目を輝かせる。

 「最近ではLinuxデバイスとして扱えるスイッチ製品が出てきていますが、Linuxサーバーならばエーティーワークスの得意分野。そこでも積極的なチャレンジをしていきたいと思っています」(辻氏)

 これからも旺盛な技術的好奇心が、エーティーワークスのサービスを支え、より良いものにしていくことになりそうだ。

(提供:エーティーワークス)

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