シャープが「THX」に関する記者向け説明会を開催し、認証規格のテストに携わっているTHXシニアシステムエンジニアのJon Cielo氏が説明を行なった。
THXはジョージ・ルーカスが自身の製作した映画を見た際、映像と音声が自分の意図したものとあまりにも違うということで開始されたシネマ認証プログラム。最初に認証されたのは1983年の「Star Wars:The Return of The Jedi」とのことだ。
当初は映画館での上演を前提にしていたが、現在はホームシアターシステムや液晶テレビよいった家庭向け製品の認証も行なっており、シャープも2007年発売の「AQUOS T」シリーズから何機種かTHXディスプレー認証を取得した製品を発売している。なお、4Kテレビ向けのTHX認証を世界で初めて取得したテレビはシャープの「ICC PURIOS」である。
THXディスプレー認証のポイントとなるのは、パネルの性能と動画処理、色の正確さの3つ。パネルの性能は、画面全体で輝度が均一になっているかをチェック。動画処理は、ジャギーなどの余分な成分が発生していないかをテストパターンで確認し、色の正確さはスタジオで制作された映像と同じ色を再現できているかどうかをチェックする。
THX認証を取得したテレビは「THX Movie」という画質モードを搭載する。このモードは「Dark」(暗)と「Bright」(明)の2つのモードがあり、周囲の環境(明るさ)に応じて切り替えて使用できる。
THX認証は開発過程の製品だけでなく、開発後の生産された製品もチェックする徹底ぶりで、THX認証担当者いわく「世界中のテレビを審査した場合、10%に満たない合格率だと思う」とのことだ。
シャープ デジタル情報家電事業本部 AVシステム開発センターの小池 晃氏は「苦戦しながら“受験”して、なんとか合格しているのが実情」と語る。その苦労の一例として、バックライトの明るさの均一性を実現するため、バックライトと液晶モジュールまでの距離を数ミクロン単位で調整していることなどを語った。