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テクノロジー虎の穴 第3回

加速度センサーモジュールをじっくりとっくり解説

クアッドコプターの最重要部品をいじくってみた!

2014年04月23日 11時00分更新

文● 行正和義

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今回はマルチコプター(クアッドコプター)の重要部品・加速度センサーに注目してみた

スマホを構成する部品のなかで唯一“機械的に動くモノ”!?

 スマートフォンの動きを検出して画面の向きを自動的に変えたり、デジカメの手ブレを補正するなど、身近な機器にも使われている加速度センサージャイロセンサー。最近ではマルチコプターに組み込まれ、誰でも簡単に飛ばせるどころか、自律飛行できる機種まで出現し、監視・調査・物流などさまざまな分野で役立ちそうな様子。

 普段はセンサー類を意識して機器を使うことはないが、内部ではどんな働きをしているのだろうか。今回はマルチコプターの重要部品、加速度センサーの概要をじっくり見てみよう。

3軸加速度センサーモジュール「KXR94-2050」。スマホなどに使われているものは表面実装タイプだが、このサイズの素子にハンダ付けするのは正直難しいので、写真のようにピンが付いているのはありがたい

 なお、加速度センサーの原理は内部に小さなオモリがバネで固定されていて、加速度によってバネの歪みを圧電素子などで検出して力を割り出しているもの。これに対し角加速度を検出するジャイロセンサーはピエゾ素子で高速振動する部品を使い、加速度によって振動数が変わることを検出しており原理的には異なる。

部品のサイズはほんとに小さい。一昔前のカーナビでは弁当箱のようなジャイロユニットをオプションで装着していたことを考えればMEMS素子の進歩に驚かされる

 これらの機械的な要素を持つ部品は「MEMS(Micro Electro Mechanical System)」などと呼ばれる。しかし考えてみれば、いまどきのスマホは操作ボタンですら静電容量検知パネルだったりして、ひょっとしたらスマホを構成する部品のなかで唯一“機械的に動くモノ”なのかもしれない(一応、電源ON/OFFとボリュームはまだ物理スイッチだが)。

ちなみにこういったデータシートが付属する。ピンの配置や出力される電圧の変化を検出してかかった加速度を計算する式が載っている

 加速度センサー自体は安価なもので価格は850円(この手のパーツショップとして定評のある秋月電子通商から購入)。高いように思えるが、これは使いやすいようにピンが付いているもので、基板に直接付けする表面実装用部品ならばもっと安いはず。

こちらはジャイロモジュール。サイズはほぼ同じで、XY方向それぞれにジャイロ素子が載っているのが分かる。価格はちょっと安くて400円ほど

 購入した加速度センサーモジュール「KXR94-2050」は、約1cm角の基板にピンが8本出ているだけのシロモノ。チップ自体はわずか数mm四方。センサー信号はアナログ出力で、このピンのうち2本に電力(VddとGND端子に3Vもしくは5V)を供給すると、別の3本のピンから出る電圧が動いていない状態から加速度に合わせて上下する。

アナログなのでとりあえずテスターを接続して電圧を計ってみたが、確かに動かすと電圧が若干変わる。デジタル回路なしの純アナログな電気回路でなにか作ることもできるかもしれない

 こういった電子部品がどう動くのか、とりあえず繋いでみて確かめながらの電子工作(プロトタイピング)の定番「arduino」を使ってみよう。

 arduinoに関してはいまさら説明するほどはないと思うが、本来は簡単に使える学習用として開発されたオープンソースのマイコンボードで、パソコンで組んだプログラムをUSBケーブル経由でボードに転送できる(電源を切っても消えない)。ボードには数十の入出力端子があって、LEDを点灯させたり可変抵抗やセンサーからの入力を読み出したりできる。

 さまざまな電子部品との接続方法が確立しているので、部品を追加すれば有線LANに繋いだり、カラー液晶ディスプレーを装着したり、MIDIを鳴らしたりといろいろできるのだが、ここではあくまで簡単に加速度センサーのリードアウトとして使ってみよう。

arduinoの標準的なボードの1台「arduino UNO」(といっても最近ではUSBがmicroBの「arduino Leonardo」が普及しつつある)

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