水冷ユニットは十分な効果を発揮
最後に消費電力と発熱をチェックする。まず消費電力は「Watts Up? Pro」を使い、アイドル時(起動10分後)と、「3DMark」の「Fire Strike」デモ中の同一シーンにおける値を測定している。
高負荷時の消費電力はR9 290Xシングル構成に対し約1.8倍。これは描画性能比とほぼ合致する。定格動作の「Core i5-4670K」で500Wを軽く超えてきたが、処理次第ではもっと増える可能性もある(特にMantleで処理効率を上げるとさらに増えるだろう)ため、電源ユニットは1000W以上推奨というのは誇大でもなんでもない、ということがわかる。
また今回のテスト環境ではアイドル時の消費電力は130Wと高くなったが、本来Radeon系はマルチGPU環境で「ZeroCore」が働くはずで、何らかの理由で働いていなかったと考えられる。
発熱はR9 295X2のみで計測を実施した。テスト内容は「Tomb Raider」のベンチマークモードを30分以上連続で回すというもの。解像度は1920×1080ドット、画質は最高に設定している。テスト環境はFractal Design製PCのケース「Define R4」に構築したが、ケース側板は解放したまま、バラック組みに近い状態での計測となる。温度情報の取得は「HWiNFO64」を使用した。
グラフ中にGPU1とGPU2という項目があるが、どちらが出力端子側のGPUかまでは今回調査していない。2基分掲載しているのは水冷ユニットの効果を調べるためだ。
このグラフによれば、温度の高いGPU1でもピーク温度は72度と、ハイエンドGPU搭載カードとしてはかなり低い部類に入る。筆者の経験上、R9 290XはGPU温度が93度前後でクロックが下がり出す(下がる要因は他にもあるが)が、R9 295X2の水冷システムはそのしきい値よりもずっと下をキープしている。この水冷システムだけでも売って欲しいものだ。
ただ動作時は全体がかなり熱を帯びる。市販のサーミスタ式温度計で基板裏面中央とラジエーターのホース取り付け部の温度を計測したところ、前者は55~60度、後者は44~46度という結果になった。GPUの冷却が水冷化してあるとはいっても、基板全体に風を当てるように配慮すべきだろう。
間違いなく現時点では最速だが
新たな問題点も露見した
以上のようにR9 295X2の性能をチェックしてきたが、ある程度熟成されたゲームタイトルなら、R9 295X2は素晴らしい性能を発揮してくれる。まだ「Battlefield 4」クラスではカクつくシーンもあるが、1枚のカードで4Kでゲームをしようと考えるなら、R9 295X2が現時点で最良の選択肢であることは間違いない。ただ価格も高いので、ユーザも選んでしまうのが残念だが。
しかしその一方で、CrossFireXがまるで効かないゲームもまだ存在し、しかもMantleの有無に関係ない、という事実もハッキリした。新ゲームを青田刈りする勢いで試したい人にとっては、性能を引き出すためにある程度熟成が必要なR9 295X2は、少々効率の悪い選択肢と言わざるを得ない。ただこれはR9 295X2の欠点というより、デュアルGPUカードの宿命というべきだろう。
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