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テクノロジーの敗者ではなく、リーダーから購入すべき理由

2014年04月08日 17時00分更新

文● Matt Asay via ReadWrite

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マーケットリーダーから製品を購入することには、様々な面で大きな利点がある。

Arduino

敗者の存在が気にかかるのは、裏を返せば彼らの存在が成功の指標でもあるからだ。マーケットリーダーにとって、敗者の騒々しいわめき声は邪魔であるというよりも、むしろ心地よく聞こえるはずだ。

見込み客にとってはどうだろう?敗者の宣伝を真に受けて、マーケットリーダーからではなく、二番手から購入する理由はあるのだろうか?マーケットリーダーが創出したものを購入する方が賢明ではないだろうか?


リーダーシップの力

アップル、マイクロソフト、グーグル、セールスフォースに共通するものは何だろう?これらの会社はそれぞれ異なる時期に、異なるマーケットで業界のイメージを形成してきた。ところが興味深いことに、いずれの会社もそれぞれのマーケットの第一人者ではない。第一人者を後追いしてきた存在なのだ。

追随者は、マーケットリーダーのネガティブなイメージを広めて評判を落とすことで、彼らの前に出たがるものだ。しかしこれは敗者特有の行動で、勝者のものではない。そしてマーケットは、敗者からは購入しない。結局、偉大なブランドというのは顧客を惹きつけるものだ。マーケット戦略の大半がマーケットリーダーを蹴落とす方向に向かっているとしたら、顧客を魅了するのは難しいだろう。マーケットリーダーに対するこのような「嫌悪」は、弱者の証であって強者の証ではない。

そして、ただ嫌悪しているだけでは、敗者は価格決定力を得ることもできない。学術的な研究が示しているように、敗者のブランドから購入する理由は一つしかない。価格だ。研究者が指摘しているが、「リーディングブランドのマーケット担当者は価格にはこだわらず、良い点だけを強調するものだ。一方で追随ブランドのマーケット担当者は、価格の違いに重点を置かざるを得ない。」


マイクロソフトの例

マイクロソフトはデスクトップ業界を席巻したが、Office(WordPerfectの方が製品化にかかる時間においても製品の完成度においても勝っていた)や Windows で市場の第一人者であったわけではない。その代り、マイクロソフトは消費者と企業に対し、すべてのデスクと家庭にコンピューターを、という大きなビジョンを売り込んだのだ。このためマイクロソフトは、コンピューター・エクスペリエンスをより簡単かつ強烈なものにして、コンピューターの使用に対するハードルを大きく下げなくてはならなかった。さらに企業に対しても同様に、優れた開発ツールを作ることで IT 関連の生産におけるハードルを下げたのだ。

しかしこれは昔のマイクロソフトの話である。2007年まで話を進めよう。2007年のマイクロソフト CEO スティーブ・バルマーは、アップルと iPhone をあざ笑っていた。

当時のバルマーは、「iPhone が大きなマーケットシェアを占めるようになる可能性はない」と語っていたのだ。同様にマイクロソフト自体もオープンソースを「癌」と呼び、攻撃的な態度を取り続けていた。

競合他社に対してこのようにネガティブなキャンペーンを行っている間に、マイクロソフトは最も重要な戦いにどんどん敗れるようになった。マーケットリーダーになる代わりに、マーケットリーダーの意地悪な追随者になってしまったのだ。

もちろん、これでマイクロソフトが終わったわけではない。クラウド(Windows Azure)の宣伝戦略は、オープンソースやアップルに対する攻撃よりもずっと前向きで、よく考えられている。そのため、市場をもう一度牽引することも可能だろう。しかしそれも、人々が口先ばかりで不快な追随者からではなく、リーダーから購入したがるからなのだ。


リーダーシップのネットワーク効果

リーダーに従うことは、その他大勢の競合他社に従うよりも価値がある。その一つは、主要なエコシステムの傘下に入ることで得られる重要なネットワーク効果だ。事実、何十年もの間 Mac は多くのユーザーから愛されてきたにも関わらず、優れたサードパーティ・ソフトウェアは Windows 用に開発されてきた。同じことが今、セールスフォースで起こっている。成長する大規模なセールスフォースのエコシステムが立ちはだかり、競合他社は太刀打ちすらできないのだ。

これと同じ影響が人材面にも波及している。ビジネスで最も難しいことの一つは、たぐいまれな人材を雇用することだ。人材が不足している場合であれば特に、これは劇的に難しくなる。たとえ人材が豊富だったとしても、ぱっとしない敗者企業に就職する価値はあるだろうか?そんなものはない。


ビジョンの問題

追随者はマーケットリーダーの進む方向に寄生せざるを得ない。これは、特定の会社が支配的なビジョンを持つときにありがちな現象だ。

オープンソースでは、リーダーというのはプロジェクトの大半に貢献し、プロジェクトやそのコミュニティにとって好ましい方向に進むように影響を与えられる人たちのことである。これが今まさに Hadoop のコミュニティで起きている。マーケットリーダーはコードリーダーでもあるということだ。敗者から購入するものは、マーケットリーダーの革新的技術の恩恵を受けることは決してない。

安物の複製品よりも、アップルの「非常に素晴らしい」製品とビジョンを取り入れる方がずっといいだろう。同じことがセールスフォースの、邪魔なソフトウェアというものが存在しないビジョンや、グーグルの心を揺さぶるクールなデータ駆動の世界についてもいえる。これこそがリーダーだ。彼らの製品は買うに値する。彼らを嫌う敗者に、たいした価値はない。

画像提供:Shutterstock

※本記事はReadWrite Japanからの転載です。転載元はこちら


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