「Apple TV」はカジュアルゲーム端末にはならない
現行のApple TV(第3世代)は、発売から2年が経過したこともあり、競争力は失われつつある。Amazonが主張するまでもなく、CPUなどスペック的には競合機に劣後するうえ、ChromecastのようにHDMIポートに差し込めば使える(電源としてUSBポートを手当する必要があるが)デバイスに比べると機動性に欠ける。AirPlayなどiPhone/iPadとの連携機構は整備されているが、他社製デバイスは蚊帳の外だ。
ゲームに関していえば、明らかに出遅れている。Amazonは2012年8月に「Amazon Game Studios」を設立、すでにKindle向けに相当数の作品を世に送り出しているが、Amazon Fire TV向けにも「Minecraft」や「Monsters University」といった人気タイトルを投入する。一般の開発者向けに早くも「Amazon Fire TV SDK」を公開している点もさすがだ。Googleも、アプリデベロッパ育成には積極方針を採っている。
一方Apple TVは、ネイティブアプリ開発が開放されておらず、アプリといえば一部のiPhone/iPadゲームからAirPlayミラーリングの表示装置として利用されるにすぎない。
ではゲーム市場を立ち上げるとApple TVが活性化されるかといえば、そうではないはず。PS4やXbox Oneの好調ぶりはコアゲームファンの層の厚さを示すもので、その層がApple A7レベルの処理能力で満足するとは思えない。操作性やタイミングにシビアな彼らのこと、コントローラの問題もある。これはAmazon Fire TVやChromecastも同じだが、市場が未成熟なだけに開発費として数十億円かかるような大作も期待できないだろう。
なにやら否定的な見解が続いてしまったが、これはApple TVが終息するという意味ではない。いずれ高性能な新モデルが投入され、サードパーティー向けにネイティブアプリの開発キット(Apple TV SDK?)が将来的に計画されたとしても、カジュアルゲームを移植した程度のアプリを次々投入することはないだろうという読みだ。
確かに、iOS 7向けSDKには2Dゲーム開発に好適なフレームワーク「Sprite Kit」や、ゲームコントローラのハード規格が追加されているが、Appleは別の方向を見ているような気がしてならない。最近ではAppleの広告プラットフォーム「iAd」における出稿基準が大幅に緩和されたという報道(関連リンク)もあるように、広告を絡めることで動画サービスを拡充するのでは、と思える動きもある。しばらくはApple TVの「次なる一手」に注目したい。
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