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SEO・検索エンジン関連情報を効率よく収集する 私の場合(2014年版)

2014年03月25日 13時20分更新

記事提供:SEMリサーチ

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もうすぐ新年度を迎え、また新たに検索エンジン業界の世界に足を踏み入れることになる人もいることでしょう。SEM系の会社なのか、事業会社のインハンスSEO担当者なのかわかりませんが、業界の最新のトレンドは常にキャッチアップしていくことは欠かせません。

しかし、他の様々な業務がある中で、世界中の様々な人が投稿・公開している1つ1つの記事を全部チェックするわけにはいきません。睡眠時間を削ったところで到底無理でしょう。

そんなわけで今回は、私はどのように情報収集しているのかを簡単に紹介したいと思います。先に言っておきますと、たぶん参考にならないというか、真似ができない部分が多々あると思います。

著者名・媒体名・内容で読む・読まないを判断する

私は RSSフィードや Twitter、Facebook で流れてきたニュースをそのまま読むということは基本的に行いません。まず『著者名(書いた人)』『媒体名(ドメイン)』の2つでフィルタリングしてしまいます。その上で、3つ目のフィルタリング『内容』、すなわち基本的に記事タイトル、必要に応じて第1段落を斜め読みして、読む・読まないを決定しています。

例えば…

例1)(ネタが古いですが)著者名が "phantomaster" で内容がクローキングに関するものなら目を通しますが、同じ著者でも UX やキーワード選定に関する記事なら読みません。

※ phantomaster はクローキングの神様だった

例2)SEO神・辻氏がUGCサイトのSEOに関する記事を Web担当者Forum で書いていたら読みますが、同氏が SEO の初心者向けの記事を Markezine で書いていたら読みません。

※ 神様が Markezine で初心者向けに執筆するのなら本当にやさしい内容であると推定されるからヒマがない限りスキップするという意味であり、神様や媒体の品質問題ではない

例3)Bill Slawski氏が同氏のサイトで検索関連特許について述べていたら斜め読みしますが、同氏が同氏以外のサイトに公開した記事は内容を問わず読みません。

※ Bill Slawski 氏は特許系情報なら良いが、それ以外の話題については彼だから価値があるわけではない


このような処理をしている理由は次の通りです。

  1. プロフェッショナルにもそれぞれ得意領域・苦手領域がある
  2. 同じ著者でも掲載媒体によって内容をかき分けていることがある
  3. 媒体の中には執筆者の選別を行っていない、粗悪な記事を平気で公開する

人それぞれ得手・不得手がありますよね。私は数年来、ソースコードを自分で書かないので、HTMLマークアップ関連の話題は苦手ですし、最近はギャンブルや18禁系サイトの分析をしていないので、ブラックハット系の流行手法には精通していません。今日の SEO は領域が広すぎてかつ1つ1つが深いので、一人で全部をカバーすることは無理でしょう。

後者2つは、日本のメディアを見ても、「なぜ○系の人が記事書いてるんだ、しかも間違いだらけじゃないか」みたいな事故をよく見かけます。本屋さんに並んでいる書籍みても、某出版社からの本はどれを選んでも燃えるゴミにしか見えません。品質担保できない媒体で掲載されている記事は、良い記事にめぐり合うよりも時間の無駄になる記事とめぐり合う可能性が高いのでスキップしています。良質な記事を逃す機会損失があるかも知れませんが、(本当に良質ならば)他の機会で再び拾える確率が高いですから、総じて見れば無視できる程度の損失に過ぎません。

この方法を実践するためには、少なくとも「優れた記事を書ける人物」と「一定の品質が担保されている媒体」を把握しておかなければなりません。私は業界の主要な人物の履歴情報を全て頭に入れているので瞬時に判断しており、残念ながらそういう物理的なメモやノートは手元にありません。しかし、誰・どこをチェックすればいいか知りたい!という要望は良く頂きますので、別の機会に(暇な時に)リストを公開したいと思います。


読まない(1):非現実的な前提で話を進める人/記事

読まない情報を決める「引き算」は大事です。Google公式ブログのように、とりあえず目を通したいサイトとは別に、絶対に読まない、スルーする人物も決めて情報総量を減らすことは重要です。

「非現実的な前提」とは、『情報検索(Information Retrieval)の世界において可能性がゼロに等しい事柄』を仮説として置いたうえで意見を述べる傾向がある人を指します。

例えば、私はこの記事を(株)アイレップの執務室(山王パークタワーの7階の席)にて書いています。さて、私は今日、このビルの1階に到着してから7階に上がるまで、どのような方法を使ったでしょうか?

a) エレベーター
b) 階段
c) ヘリコプター
d) ビルの壁をよじ登ってきた
e) 瞬間移動

答えは a) エレベーターです。b) はありえますよね。可能性はゼロじゃない。運動不足だから今日は階段で登ろうと考えるかもしれませんから。しかし、c) d) e) は、可能性としてゼロに等しいですし、最初から排除していいわけです。

つまり、上記の選択肢を与えられたら、最初から a) または b) のいずれかで見当をつけてまず間違いがありません。

ところが SEO の世界では、上記選択肢の c)d)e) に相当するような、非現実的な事柄を仮説(あるいは最悪なことに可能性の高い事実として)話を展開する人が少なくありません。こうした人は大抵「Google はブラックボックスだから、こういう可能性だってありうる、否定することはできない」と反論するわけですが、それは大きな勘違いです。

Google は謎の宇宙人が作っているわけではなく、優れたインターネット検索エンジンを開発したい情報検索に精通したエンジニアたちによって開発されています。Google はどんな検索サービスを提供したいのか、検索を通じて社会をどのように変革したいのか、そのために解決したいと考えている課題は何なのか --- 彼らの掲げるミッション、理念、思想を理解すれば、どの方向に進みたいのかはおおよそわかります。また、情報検索の世界で研究されている事柄を俯瞰すれば、その世界の実現のためにどんな技術的アプローチがありうるのか、ありえないのかも見えてきます。つまり、Googleの検索アルゴリズムが非公開であっても、少なくとも実行可能性の有無は判断できます。

検索の世界の「基本的な物事」「常識」を理解していない人は、どの記事を書いても”その前提”で書いてしまうので、総じて程度が低くなり、読む価値は薄れる傾向があります。よって、過去の実績から基本事項を理解していないであろう著者の記事は、タイトルがどれだけ魅力的であってもスルーしています。


読まない(2):結論へ至るまでのプロセスの論理性が破たんしている人/記事

どんな人でも参照した情報の間違いや誤解などの理由により、結論がおかしな記事を書いてしまうことはあるかも知れません。しかし、結論がどうあれ、そこに至るまでのプロセスがきちんとした論理に基づいているのであれば、きっと別の機会でその人は良質な記事を書ける可能性はあるでしょう。

しかし、説明が論理的ではない、結論までのプロセスの論理が完全に破たんしている人は、どの記事においてもそうした拙い論理的思考に基づいた記事を書いてしまいがちなので、総じて有益ではない記事になりがちです。そうした理由から、(破たんの程度によりますが)複数回、論理的におかしな記事を書く著者の記事はスルーするようにしています。


読まない(3):テンプレ見出しを繰り返し用いる人/記事

総じて PV稼ぎ、ソーシャルメディアでのバズ狙いのタイトルばかりつける人の記事は、基本的には読みません。著者の過去の履歴情報に基づいて、品質が伴った記事を書ける人と判断したら読むことはあるかも知れませんが、こうした「○○であるたった1つの理由」とか「○○○を成功するための12の方法」みたいなタイトルばかりつける人に限って、内容が伴わないことは多い気がします。よってスルーしています。ただ、たまにタイトルと内容が伴っていることもあるので、例えば「神様が絶賛していた」ら読むなどのイレギュラー対応はすることがあります。でも基本は読まない。


読まない(4):「みなさんはどう思いますか」でまとめる人/記事

コメント欄でみんなからの意見を求めるために、よくわからない仮説を述べたうえで「みなさんはどう思います?」的な、コメントや意見を求める系の記事を書く人がいるのですが、ちょくちょくこういうスタイルで書く人の記事やサイトは見ないことにしています。

私は基本的に「第1段落」→「最終段落」→「各段落の先頭文」を読んで全体把握して(読む価値がありそうと判断したら)読むのですが、こうしたコメント募集系記事は最初から最後まできっちり読まないと判断ができない、いいかえれば最後まで読んで「お前の妄想かよ」というオチになって時間を無駄に費やしたことを後悔することがたびたびあるからです。意見を求めたがる=仮説論理が破綻していることが多いというのも読まない理由です。

余談ですが、こうした仮説(≒妄想)記事を鵜呑みにして『こんな記事が出てますけど貴社の見解を』といったお客様からの質問が届くこともありますので、これも困ります。

話を戻しますが、十分な根拠とロジックに基づいて書いている(書いている可能性が高いと判断できる)著者であれば読みますが、大抵こうした結論で終わる人の仮説はひどいことが多いので、基本的にスルーしています。


読むもの(1):ある事柄についての賛成/反対意見

先述したとおり、Google が実現したい事柄やその技術的解決手法の可能性など、全体的な見通しは把握することができますが、各論、特に SEO の戦術的な部分において時として専門家により判断がわかれることがあります。例えば最近の Google のレスポンシブウェブデザイン推奨に関する論争などはわかりやすい例でしょう。私は rel=”prev”とrel=”next”には全く同意しませんが、一方で積極的に利用している方もいるに違いありません。

こうした賛否両論が分かれるケースにおいては、できるだけ両者の意見は読んでおくようにします。SEO に限らず、思い込みや過信は禁物です。反対意見を述べる人は、自分とは違う視点で説明している可能性があり、それが気付きを与えてくれるかも知れません。

もちろん、賛成・反対いずれの意見においても「論理的にそれを主張している人物または媒体」を参考にするのは言うまでもありません。感情的に意見を述べていたり、考え方が古い、旧世代の人間の考えだ、今の若者は違うなどといった反論を述べる人など論外です。


読むもの(2):ドメイン指定(英語圏のみ)

英語で書かれた検索エンジン関連の話題は非常に多いので、全部に目を通すのは無理です。でも、タイトルだけ見ても「あとで読みたい」ものは山のようにあります。

私はこの問題を解決するために、RSSフィードに「少なくとも1週間に1度は目を通す」サイト(ドメイン)を20個だけ登録しておき、そこだけは目を通すようにしています。それ以外のサイトは Twitter や Google+ などで流れてきた時に、目を通すかもしれないという判断をしています。


読むもの(3):Google+ > Facebook > Twitter (英語圏のみ)

ソーシャルメディアによって、記事を読む優先度を変えるという方法です。Google+ は総じて SEOが好きな人々が集まっている傾向があるので、良い記事は Google+ の方が拾いやすいからです。一方で Twitter はノイズが多いので、私は基本スルーしています(クリックしてサイトをチェックしたら、本当は読みたい著者の記事なのかもしれないという可能性はありますが、そんなことしていたら時間がないので"Twitter のものは無視"としています)。

Facebook は中立として、時間があれば、読みます。

Google+ も Facebook も、リンクをクリックして、サイト名と著者名をチェックしたうえで読むのはここまで述べてきた通りです。

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「役に立たない記事を書く人は決まっている」ので、その人のものを読まないというルールを作っていくと、絞り込みができると思います。私はそれでは不十分なので、「良質なものを欠ける人」のホワイトリストもあわせて読む記事の優先順位を決めています。後者は難しいかもしれませんが、前者はできるんじゃないでしょうか。

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