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映像のあり方を変えてしまうデバイス

Facebookが2000億円で買収した「Oculus Rift」って何?

2014年03月26日 22時00分更新

文● 広田稔(@kawauso3

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エンタメ、スポーツ、観光、福祉、教育……
さまざまな用途が開拓できる

 デバイスのスゴさに加えて、用途や可能性の広がりにも注目である。

 現時点で米国で注目されているのはゲームだ。FPS(一人称シューティング)なら、まさにゲームの戦場に入り込んで戦う感覚が得られるだろう。すでに「Half Life 2」など、Oculus Rift対応を表明するタイトルも現れている。3月頭に京都で開かれたインディーゲームの祭典「BitSummit 2014」では、Oculus Riftを使ったドライブゲーム「MODERN ZOMBIE TAXI DRIVER」が大賞を獲得した。

 Oculus VRは「Unity」や「Unreal Development Kit」といった統合ゲーム開発エンジン向けにOculus Rift用の開発キット(SDK)を提供しており、これらを利用することで容易にVRアプリケーションを開発できる。RPG、シューティング、アクション、シミュレーション、パズル……。さまざまなカテゴリーで新しい体験が提案できるはずだ。

 日本では、初音ミクをからめたコンテンツが話題になった。Oculus Riftの私設エヴァンジェリストであるGOROmanさんがつくった「Mikulus」は、柱の上に座ったミクを眺めるというもの。Oculus Riftをかぶると、閉じられた世界でプレイヤーと二人っきり……というシチュエーションを味わえる。

Mikulus

 さらに添い寝してくれる「MikuMikuSoine」、手型のデバイスも併用して実際に握手してる感覚が味わえる「Miuku Miku Akushu」など、ユニークな作品が数多く生まれてきた。アプリを作っても体験できるOculus Riftを持っている人がほとんどいないという状況を受けて、有志によって体験イベント「Ocufes」(オキュフェス)が立ち上がり、無料で開催している。

Oculus Riftのデモで有名なジェットコースターシミュレーターの「Rift Coaster」。高所から猛スピードでトロッコが落下する恐怖を味わえる

 もちろん3DCGだけでなく、実写でも利用可能だ。スポーツやライブ、演劇などの公演、さらには仕事の会議などを360度カメラで撮影して、遠隔地でOculus Riftをかぶって視聴するといった使い方が考えられる。生物の授業で紹介した動物を住んでる環境ごと見せたり、体が不自由な方向けに家族のイベントを遠隔体験させるという、教育や福祉にも使えるだろう。Facebookなら、仮想空間におけるアバターを使った交流なんてのも妄想できる。

 ASCII.jpでも密着取材したが、2月には、沖縄県の宮古島を回って、Oculus Rift用に旅行の様子を収録する「オキュ旅」という企画が敢行された(関連記事その1234)。ユーザーはOculus Riftをかぶって映像の中に入ることで、既存のパノラマ写真や3Dビデオでは実現できない、その場に行ったような感覚が得られるわけだ。

オキュ旅



 3月19日には、ソニーコンピューター・エンターテインメントからPlayStation 4向けVRヘッドマウントディスプレー「Project Morpheus」の開発が発表された(関連記事)。大企業のソニーも名乗りを上げて、この分野の期待感が大いに高まったタイミングで、Facebookの買収が発表された流れだ。

Project Morpheus

 Oculus Riftをかぶった人は、一様に「スゴい!」と口にする。こればっかりは装着してみないと実感できないものだが、ほとんど全員が魅了されて、同じ体験を誰かに勧めたくなるのが不思議なところ。単なる便利にとどまらない、映像のあり方を変えてしまう可能性を秘めているデバイスがOculus Riftなのだ。



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