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「顧客に多様な選択肢を」オープンネットワーキング戦略担当者に聞く

スイッチがLinuxで動く!「Cumulus」と提携したデルの真意

2014年03月26日 08時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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今後もサードパーティOSの対応を拡大し、顧客の「選択肢」を増やす

 ただし、これで既存のネットワークOSを“捨てる”わけではない。Dell Networking OSへの開発投資も従来どおり継続する。さらに、サードパーティOSもCumulusだけということではなく、顧客のニーズに応じて今後もラインアップを拡張していく方針だという。ブッタ氏は、「顧客に多様な選択肢を与えること」が狙いだと、繰り返し強調した。

 サーバー市場では、メインフレームの「閉じた世界」からx86ベースの「開かれた世界」へと移り変わり、顧客の選択肢は大きく広がってきた。ネットワーク領域にも同じ変化が起きている、とブッタ氏は語る。

 そのために、自社設計の専用チップではなく汎用チップを使い、オープンスタンダードに乗っ取ったハードウェアを提供し、OSやソフトウェアの幅広い選択肢を提供する――。これまでデルがサーバー市場で展開してきたのとまるで同じ戦略と言えるだろう。

サーバー市場(左)は、単一ベンダーによる垂直統合モデルから、顧客が多数の選択肢を得られるオープンなモデルへと変化した。ブッタ氏は、同じことがネットワーク市場(右)においても起きると予想している

 「クラウド、SDNの登場によって顧客の要件は多様化している。(インフラの)『柔軟性』の高さがカギだ。しかし(単一ベンダーで選択肢のない)『閉じた世界』ではうまくいかない。そこでデルでは、3年前からこのx86スイッチアーキテクチャを準備してきた」(ブッタ氏)

 一方で、汎用的なハードウェア製造を安価に行うODM(Original Design Manufacturing)ベンダーについては、強力なライバルとは見ていないようだ。グローバルなサービス/サポート網があり、きちんとした認定やサポートが受けられなければ「顧客からは選択肢とは見なされないだろう」(ブッタ氏)。また、新しい環境への移行パスをきちんと用意できることも重要だと語った。

 デルでは当初、Cumulus搭載スイッチの顧客ターゲットとして、クラウドプロバイダーや金融サービス業界(特にLinuxアプリケーションを多く利用するHFT=高頻度取引領域)を考えていたという。だが発表後、それ以外の業界も含めて予想以上の大きな反応があったと、ブッタ氏は述べた。米国市場では、すでにクラウドプロバイダーの導入事例が公表されているほか、大手検索エンジンベンダーや金融企業との話も進んでいるという。

 「Open Networking、これは顧客主導型の変化だ。顧客の望みに対応してイノベーションを起こし、変化を牽引していく、それがわれわれの役割だと考えている」(ブッタ氏)

※デルからの申し出により2ページ目掲載の図版2点を差し替えました。(2014年3月26日)

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