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第1回ITACHIBA会議で語られたベンダー・SIer側の本音

IT版すべらない話「SIの終焉」の続きをITACHIBAで聞いた

2014年03月25日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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Google Appsの販売のみでは零細なSI

 さて、こうした時代の激しいうねりの中、栗原氏が何をしたのかが、講演の後半だ。不況期に差し掛かり、SIの仕事がなかったときに、当時光っていたのがGoogle Apps。栗原氏が執行役員を手がけるサイオスは、70万を超えるGoogle Appsのライセンスを販売しており、2012年の「SIの終焉」はこの時点で掲出されたものだ。しかし、その後2年を経た現在、栗原氏は「結局、よそ様が作るモノを売っても粗利が薄い。導入支援などの付加価値を付けても、オンプレミスで零細のSI。多能工のエンジニアが必要で、同じことを何度も繰り返すようなビジネスだった」と述懐する。

低収益なライセンス販売からの脱却を目指す

 立ちゆかなさを思い知った栗原氏は、顧客の根源的な課題に応えるべく、ビジネスプランの変換を行なった。単にGoogle Appsのライセンスのみならず、ワークフローなどで高い付加価値と収益性を求め、自社製品を中心に前払いの年間サービス料を積み上げるビジネスに変換したのだ。さらに長らく競合としてGoogle Appsの販売数を競ってきたソフトバンクに”白旗を挙げ”、同社の二次店になることで、かえって数字が積み上がってきたという。

 そして栗原氏が次に目指すのは、B2E(Business to Employee)。クラウドとモバイルを前提に、全従業員が毎日使うシステムだ。国内では3大キャリアがすべてiPhoneを販売するようになり、法人MNPの競争が激化する中、iPhoneおよびGoogle Appsのような“カテゴリーキラー”を組み合わせた新しいワークスタイルを追求していく。このため、栗原氏は海外での新規事業開発を見据えて、サイオステクノロジーの100%出資子会社である米Glabioの社長として渡米。昔のNotesアプリケーションのように数多くのアプリをモバイル前提で開発・管理できるプラットフォームやそれに関わるSI、実はビジネス活用が進んでおらず、ホワイトスペースとなっている地図のビジネス活用などを模索する。栗原氏は「新しいSIを探しに旅に出てきます」と述べ、講演を締めた。

市場を踏まえた投資の方向性

 メディアや調査会社による課題掲出、ユーザー企業のIT部門やベンダー・SIerによる現状の解説が行なわれたITACHIBA会議では、その後、参加者と講演者との質疑応答や参加者同士によるディスカッションが行なわれた。各シマの参加者が入り乱れて議論を深めるワールドカフェ形式の採用により、各所でさまざまな問題の共有や具体的な施策の掲出が行なわれた。次回は、中小企業のIT導入に関する会議が行なわれる予定となっている。

初出時、栗原氏を「米サイオス社長として渡米」と記載しましたが、「サイオステクノロジーの100%出資子会社である米Glabioの社長として渡米」が正しい記載になります。お詫びし、訂正させていただきます。本文は訂正済みです。(2014年3月25日)

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