電気回路の簡単自作から”曲げられる装置”のDIYまで可能性が広がる
プリント基板をインクジェットプリンタで印刷できる東大発のベンチャーAgIC、Kickstarterで資金獲得に成功
2014年03月17日 16時17分更新
プリント基板をインクジェットプリンタで作れるプロジェクト「AgIC」がKickstarterで資金獲得に成功し、出荷の目処が付いたようだ。
AgICは東大発のベンチャーで、銀ナノ素材の導電性インクを用いて紙やフィルムに印刷すれば、それだけで電気回路ができあがるというもの。従来にも導電性インクは存在したが、そのまま回路として使えたり、インクジェット機で印刷できたりするほどの導電性を持つ素材はなく、ナノマテリアルの進歩のおかげと言えるだろう。抵抗値は2〜3Ω(1mm幅10mm長)という。
これまで電子工作ではブレッドボードでプロトタイピングしたのち、自作電子回路を基板にするには汎用基板を使ってハンダ付けで自力配線するか、エッチングで製作、あるいは基板屋に発注するのが一般的だった。
基板製作もインクジェットプリンタで配線図を印刷、感光素材への転写やエッチング処理など非常に簡単になっており、発注して量産するのもいまでは手軽かつ手頃になってきてはいる。とはいえ、やはり自宅ですぐにプリントアウトして作成でき、配線設計にミスがあっても印刷しなおせば済むという手軽さにはかなわない。
AgICの導電性インクはほとんどのインクジェットプリンタで印刷でき、1カートリッジあたりの導電性インクは80~100ドル、レターサイズの基板を40枚程度作成可能。すでにKickstarterの目標である3万ドルはクリアしているが、10万ドルを獲得すると両面印刷、30万ドルで印刷後の配線絶縁の開発に進むという。
4月2日までKickstarterの出資を受け付けており、プリント可能なインクを入手する場合、Kickstarterでの出資金額は279ドルだが、29ドルで導電性インクのマーカーとLEDというキットが入手可能。インクシステムの発送は今年の8月ごろを予定している。