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SPYW (Search, plus Your World) の基本を理解しよう

2014年03月09日 00時01分更新

記事提供:SEMリサーチ

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先日お伝えした、Google が日本国内(www.google.co.jp)でSPYW (Search Plus Your World) の試験提供を開始した件について、「そもそも SPYW ってなーに?」という方も多いと思われるので、基本的なことについて説明する。

Search, plus Your World (SPYW)とは?

Search, plus Your World はあなたの人間関係(ソーシャルグラフ)に基づいて検索結果を個別化するパーソナライズ検索です。あなたの人間関係は、Google+ のサークルに基づきます。つまり、Google+ と Google検索を融合して、あなたの知人や友人のコンテンツを発見しやすくするのが SPYW です。

SPYW は2012年1月に米国でリリースされましたが、米国内から google.com にアクセスしたユーザーに限定されていました。日本では過去に何度か試験的に SPYW が日本(www.google.co.jp)でも利用出来るようになったことがあります。

サービス名称が長いので、よく SPYW と略して表記します。


SPYW に影響するソーシャルネットワークサイトはどれですか?

Google 独自のSNSである Google+ のみが関係します。Twitter や Facebook、LINE、mixi など他の SNS は一切、関係ありません。

Google は独自にコントロールできる Google+ と Google検索を軸に開発していくと考えられますので、今後も他の SNS が SPYW に絡んでくる可能性は低いでしょう。


なぜ Google は SPYW を開発したの?

Google に限らず検索エンジンは、ユーザーが入力した検索キーワードに対して、最大公約数的に適合性の高い検索結果を返してきました。インターネット一般に公開されているコンテンツの中から、あなたは面識が全くないかもしれないけれど、純粋にアルゴリズムで関連性が高いと判断したコンテンツを検索結果に表示しています。

しかし Facebook や Twitter、LINE が人気であるように、ソーシャルが今日のウェブの中心となり、そこで様々な会話がなされ、写真や動画、コメントなどが投稿されてるようになりました。このソーシャルな場には、ある地域の素敵なレストラン探しや、夏休みに計画している旅行先のおすすめスポット、家族の写真など、「あなたの世界」、面識ある人による情報だからこそ有益で、役立つ場面も多い事でしょう。

こうした、1人1人の生活空間にあわせて検索結果をパーソナライズし、身近な人々、普段かかわりのある人々のコンテンツの発見性を高めることを目指してリリースされたのが、この SPYW なのです。

また、ソーシャルの利用時間がますます増加するに従い、今後より優れた検索結果をユーザーに提供して満足してもらうためにはソーシャルの分析が欠かせないという事情もあります。検索とソーシャルを融合して更に優れた検索体験を享受できるようにすることで、ライバルである Facebook やその Facebook と提携する Microsoft (Bing) よりもリードし、検索世界の覇権を確固たるものにしたいという戦略の狙いもあるでしょう。


SPYW は具体的にどんな検索機能があるの?

2014年3月時点で確認できている機能は、次の通りです。

第1に、Google+ や Google+ページに投稿された情報(テキスト、動画、写真)が検索結果に表示されるようになります。あなたがフォロー(サークルに追加している)ユーザーが一般公開またはあなたに共有を許可しているコンテンツや、あなたがフォローする Google+ページに投稿されたコンテンツが対象です。

第2に、人物名で検索した時に、検索結果右側にナレッジグラフのボックスが現れ、その人物のプロフィールが表示されます。このボックスから直接、Google+のサークルに追加することも出来ます。

人物名を入力中に候補人物を検索窓内で表示する機能や、人物名での絞り込み検索もありますが、日本国内では提供されていません(2014年3月8日時点)。


SPYW はパーソナライズされた検索結果が表示されるとのことだが、従来のパーソナライズとどう違うのか?

Googleが提供しているパーソナライズ検索は、検索履歴や現在位置に基づいて検索結果を個別化するものでした。今回の SYPW は、Google+ にある人間関係(ソーシャルグラフ)に基づいて検索結果をパーソナル化します。つまり、「言語」「過去の検索履歴」「過去に訪問したページ」「毎日閲覧しているページ」「現在地」など、さまざまな切り口で検索をパーソナルにすることが可能であり、今回は「交友関係」、ソーシャルを軸にしたサービスになります。


Google+の月間アクティブユーザーはどれくらいですか?

Google 発表資料によると、2013年10月時点の月間インストリームユーザー(≒アクティブユーザー)が3億人です。


SPYW は Yahoo!検索など Google提携パートナーにも影響しますか?

SPYW は、Googleアカウントにログインした状態で、かつ Google検索サイト(www.google.co.jp や www.google.com など)でのみ有効な機能です。Yahoo! JAPAN を含む Googleの検索提携パートナー上では提供されません。Google+ という Googleのソーシャルネットワークサイトや Googleアカウントという Google固有の資産が絡むサービスですので、プライバシーや事業戦略上の理由から、今後も提携サイトに適用されることはないでしょう。


SPYW は全ての検索利用者の検索結果に反映されるのですか?

SPYW により検索結果がパーソナライズされるのは、Googleアカウントにログインして Google+ を利用しているユーザーに限定されます。


Google+で投稿した全てのコンテンツが SPYW で公開されてしまうの?

SPYW で検索結果に表示されるようになるコンテンツは、あなたが一般公開したコンテンツ、または共有を許可したユーザーに対してのみです。非公開や、公開対象に設定していないユーザーの検索結果画面に、あなたの写真や動画、投稿情報が表示されることはありません。あくまでフォローされている、あなたが許可した共有相手の検索結果に限定されます。


検索結果が汚くなった。従来の(SPYWが反映されない)検索結果に戻す方法は?

検索結果画面の右上に、SPYW の有効/無効ボタンがありますので、それをクリックすることで SPYW を一時的に無効にすることができます。左側(人間のアイコン)をクリックすると、SPYW が有効に、右側(地球みたいなアイコン)をクリックすると、パーソナライズが無効になります。

右側のアイコンをクリックした時は、SPYW ではなく「パーソナライズ検索が無効」になります。つまり、SPYW に基づくソーシャルな関係も反映されなければ、ウェブ履歴など、あなたの過去の検索履歴に基づくパーソナライズといった、一切のあなた固有の情報が反映されない検索結果になります。


Google+ページを運営しています。フォロワー(サークル追加ユーザ)を増やせば増やすほど検索順位は上がりますか?

あなたの Google+ページへの投稿が検索結果に表示されるのは、あくまでフォロワー(あなたのページをサークルに追加しているユーザー)に限定されます。一般のランキングアルゴリズムには(現在のところ)一切影響しません。例えば米国や中国で販売されている Google+ユーザーを大量購入すると、Googleからスパム扱いをされることはあっても、検索トラフィックが増えることは決してありません。


SPYW は SEO にどんな影響があるのですか?

日本の皆さんの回りでも LINE や Twitter、Facebook を利用している人がたくさんいても、Google+ を積極的に利用している人は少数でしょう。従って、現時点で(仮に SPYW が正式に日本に展開されても)影響はそれほど大きくはないと予想されます。

ただし、今後の Google検索の進化・未来を考えたら、いずれ Google+ と密接に連携・統合されてくる可能性は高く、SEO を考える上で外せない要素になってくるでしょう。

先述した通り、人々がソーシャル上で様々な情報を投稿・共有し、情報伝播されるようになったことで、優れた検索結果を今後も提供していくためにはソーシャルの分析は欠かせないからです。Microsoft が検索エンジン・Bing において Facebook と提携し、Bing の検索結果に Facebook のソーシャルグラフや投稿を反映するように、Google も自社で構築するSNS・Google+ を使ってユーザー1人1人にカスタマイズした検索体験を提供していくことが求められるでしょう。


Google+を積極的に活用するメリットはどこにあるの?

現時点で Google+ を活用してメリットが得られるのは、Google Authorshipです。執筆者の顔写真を検索結果のスニペット(説明文)の左側に表示できます。これは SPYW とは関係なく、一般検索結果に表示されますので、特に著名な、有名な人であればクリック率を高めることが可能です。また、Google は将来的にオンラインで信頼性や評判性が高い人物が書いたコンテンツを検索上位に表示しやすくする可能性も模索していると言われていますので、Google Authorship による著者情報とコンテンツの紐付けという基本事項は行っておいても良いでしょう。


米国企業は SPYW を踏まえて SEO どう考えているの?

最近になり、ようやくStarbucks や The Economist、CBS Interactive (CNET)など Google 自然検索トラフィック獲得も念頭においた Google+(ページ)導入事例が出てくるようになりました。米国でも他のソーシャルネットワークサイトと比較すると、人がいない、ゴーストタウンな Google+ は微妙なところですが、しかし今後の Google検索の未来を考えたら Google+ は無視できないという点は多くの人が同意しています。


Google+ページを開設すると、自分のサイトの検索順位は上がりますか?

へー


今のうちに Google+ページへの +1 を集めておくとSEOが有利になりますか?

第1に、Googleは +1ボタンの回数を検索結果に反映していませんし、今後も反映することはないでしょう。Facebook の「いいね」など、ユーザーが簡単に操作・ねつ造できるようなフィードバックの類いは、検索アルゴリズムに組み込みにくいのです。また、中国などで販売されている「10,000 Google+ - $ 19.99」のような +1 を購入して一気に増やしても、「私はスパムをしています」と公にスピーカーで叫んでいるに等しいです。毎日10個ずつ増やすなどと小細工をしても同じです。

第2に、ここまで述べてきた通り、検索結果に影響するのはあくまで「あなたのGoogle+ページをサークルに追加しているユーザー」であって、一般的な検索結果を表示する時のランキング計算時には考慮されません。すなわち、リアルな、あなたの商品やサービス、会社に興味のある、最新情報を得たいと思ってくれるようなユーザーを築き、交流していないと意味がない、ということです。

cf.

Google - Search , plus Your World
http://googleblog.blogspot.jp/2012/01/search-plus-your-world.html

Search, plus Your World
http://www.google.com/intl/en/insidesearch/features/plus/index.html


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