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ハードはSound Warriorが制作、音作りはmarimoRECORDSが監修!

専門店「e☆イヤホン」の国産オリジナルヘッドホンってどう?

2014年03月04日 11時00分更新

文● 貝塚怜/ASCII.jp編集部

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こだわりのMADE IN JAPAN。e☆イヤホンのオリジナルヘッドホン「SW-HP11」

 大阪日本橋の本店と秋葉原店の2店舗で営業しているイヤホン/ヘッドホンの専門店 e☆イヤホン 。そんなe☆イヤホンがオリジナルのヘッドホン「SW-HP11」を企画しているのを知っているだろうか?

ハードはSound Warrior、音作りはmarimoRECORDSが担当

 オリジナルといってもe☆イヤホンだけで作ったわけではない。ハードウェアは法人向けの拡声器、ヘッドセットや個人向けの音響機器などを手がける城下工業のオーディオ部門 Sound Warrior、音のチューニングは都内の音楽スタジオ marimoRECORDSが監修。設計は折り紙付きとも言える。

「marimoRECORDS」のロゴを右ハウジングに配置している

 ベースとなったのはSound Warriorが販売している密閉型のヘッドホン「SW-HP10」。カスタマイズされた部分は、ケーブルを両出し・MMCX端子採用の着脱式にしている点と、イヤーパッドをオリジナルのものに変更している点。そして「marimoRECORDS」のロゴを右ハウジングにレイアウトしている点。SW-HP11もベースと同じく密閉型のヘッドホンで、素材などは特に変更していない。

MMCX端子採用で着脱式。SHUREのSEシリーズなどでも使われている規格だ

 ケーブルはOFC(無酸素銅)製。e☆イヤホン広報によれば、リスニングテストで何種類か試したところOFCのものが最も素直な出力音が得られたとのこと。純度も何パターンか変更してリスニングテストを実施した上で選定したという(純度は非公表ながら、かなり高純度のもののようだ)。

解像度が高い素直な音、ハリもある

 早速聴いてみた。特性はかなりモニター寄り。どの帯域も出過ぎず、引っ込み過ぎず。どの帯域も埋もれることなく耳に届くため、ニュアンスやリバーブ感が聴いていて掴みやすい。個人的には、ほんの少しだけ低域と中域が強調されているような印象を受けた。結果的に、“ソースそのまま”感がありつつも、ハリが加えられたような音質に仕上がっている。フラット過ぎると“味気ない”と感じてしまう人もいるが、これならリスニング用途でも楽しんで聴けるはず。

 インピーダンスは40Ωと、モニター向けヘッドホンとしては低めに抑えているので、スマートフォンやDAP直差しでも音量は十分。詳しくは後述するが、オリジナルのイヤーパッドのおかげで遮音性が高く、外部の音がきちんと遮断される。音量面で不満を持つ人は少ないはず。

パッドやバンドがふかふか!

大きくくり抜いたイヤーパッド。ユニットからの音を妨げず、かつクッション性も高い

 本機オリジナルのイヤーパッドは耳の部分を大きくくり抜いているため、音が鼓膜に直撃し、かなりダイレクトに伝わってくる印象がある。それでいて音場がモニターとしては広めで、音が近過ぎないため聴き疲れしにくいのも特徴だ。

 装着感も良好だ。ヘッドバンド、イヤーパッドともにクッション性が高く、ふかふかと柔らかい。長時間装着していても頭頂部や耳の周辺が痛くなりにくそう。

ボリュームがあってふかふかとやわらかいイヤーパッド

バンドもやわらかく、長時間の装着でも頭頂部が痛くなりにくそう

 以上のことから、「モニターっぽい音てどうなんだろう?」と興味は持ちつつも手は出していない人が、初めて買うモニター向きヘッドフォンとしては非常に適した選択肢だと思う。あるいはいくつかヘッドフォンを持っていて「モニターっぽい音のも欲しい」と考えている人、モニター的な音に慣れていて、「少し傾向の異なるものがほしい」と考えている人にもおすすめ。

質感はちょっと残念?

 少し残念なのは質感、剛性の部分だろうか。個人的には、お気に入りのヘッドホンを眺めたり装着したりするのも音楽をより楽しいものにする一要素だと思うので、もう少し素材にはこだわってほしかった。正直な感想、SW-HP11は見た目で損しているように思う。

 SW-HP11の価格は直販、店頭ともに2014年2月28日現在で1万8900円。AKGの「K271 MK2」、SHUREの「SRH840」、ソニーの「MDR-CD900ST」、オーディオテクニカの「ATH-SX1a」など、一定以上の信頼性・ユーザーからの評価を得ているモニター用ヘッドフォンたちは、最安値ベースで1万5000円前後で購入できてしまう。

 上に挙げたヘッドホンはいずれも業務用、あるいは業務で使用することも想定している製品なので、要所要所にステンレスや、硬質で劣化のしにくい樹脂など、耐久性に優れた素材を使用している。「高級感」とまではいかなくとも、民生用とは一味違った堅牢感・上質感をそなえているのだ。

アーム。ここが少し頼りない……。

バンド部。薄い合成皮革なので耐久性面が少し心配。しかし装着製の快適さにもつながっているため一概に悪いとは言えない

 話をSW-HP11に戻すと、ハウジングの樹脂の質感はマットで硬く、丈夫そうな印象を受ける。しかしイヤーパッドやバンドの合成皮革、ハウジングとバンドをつなぐアームの部分などが、モニター用ヘッドホンとしては頼りない。パッド、バンドは柔らかさが特有の快適な装着製にもつながっているため一概に悪いとも言えないが、アームの部分は薄目で、質量もあまりない樹脂なので、使用時に気を遣ってしまう。

柔軟性は高いが、ヘッドホンのケーブルとしてはかなり細め

 またケーブルも少し細すぎるように感じられる。万一断線しても交換できるのでその点は安心だが、例えばハウジング側の端子をMMCXから3.5mmミニプラグにしてもう少し太いものにするだけでも、ずいぶんと印象が違ってくるはず。(ちなみにベースになったSW-HP10は片出し・着脱不可の太めのケーブル。)

専門店「e☆イヤホン」のオリジナルヘッドホンってどう?

 総評すると、音だけで見ればモニター用にもリスニング用にも向く素直で優秀な音。質感も含めて見ると、ベースとなったSW-HP10が1万500円で購入できることもあり、少し割高感があると思う人もいるかも。民生用ならミドル〜ミドルハイクラスに手が届く2万円弱という価格を、どうとらえるかによっても評価が分かれてきそうなところだ。

 ただ、「低・中域がよく出て」かつ「解像度が高い」ヘッドホンというのはなかなかに稀有な存在。そういったヘッドホンを2万円前後で探しているなら、選択肢に入ってくるモデルだと思う。特に、出力音を聴いてみると、より有力な候補にあがってくるはず。音、質感ともに好みが大きく分かれる部分でもあるので、店頭で実機を確認してほしい。

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