今、買うべき春デジギア2014 第2回
TECH.ASCII.jp編集部 大谷イビサがオススメ
出張・旅行に必須! ホテルの有線LANをWi-Fi化できる「AtermW500P」
2014年03月06日 11時00分更新
今買うなら「11ac」対応! 最大433Mbpsで10台同時高速通信
AtermW500Pの機能ポイントのひとつに、最新規格IEEE 802.11acをサポートしている点がある。AtermW500Pの場合最大10台を接続し、433Mbps(規格値)の高速通信が可能だ。
この高速通信の実現には、「チャネルボンディング」(周波数帯域幅の拡大)、「通信の多重化」(MIMO方式の拡張)、「変調方式の多値化」、「フレームアグリゲーション」(フレームの多重化)など、さまざまな新技術が用いられている。ここでは、これらについて簡単に触れておこう。
チャネルボンディング(周波数帯域幅の拡大)
チャネルボンディングとは、複数のチャネルを結合することで周波数幅を広げる技術だ。道路に置き換えると、IEEE 802.11g/aでは1車線(20MHz)だったものが、IEEE 802.11nでは、隣り合ったふたつのチャネルをあわせて2車線(40MHz)になった。IEEE 802.11acでは、さらにチャネルを束ねて4車線(80MHz)が可能となり、IEEE 802.11nより高速に通信できるようになった。
日本の場合は、電波法関連規則の緩和により、無線LANで使用できる5GHz帯での帯域幅の上限が緩和され、従来最大40MHz(2車線)に限定されていた帯域幅が最大160MHz(8車線)まで利用可能となっている(現行製品は、4車線の80MHz)。データの通り道が広がることが現実のものとなり、一定時間あたりの送信可能なデータ量が増加した。
通信の多重化(MIMO方式の拡張)
MIMO(Multiple-Input Multiple-Output)は、複数のアンテナを使用してデータを同時伝送することにより無線通信を高速化させる技術。従来のIEEE 802.11nでも採用されているので、知っている方は多いだろう。この技術により、データ転送速度が一気に向上し、同時に障害物が多い環境でも安定して送受信できるようになったのだ。
11acの規格では最大8×8となっており、一度に送受信できるデータ量が大幅にアップしている。AtermW500Pの場合は1×1ストリームでの通信を行なえる。
変調方式の多値化
IEEE 802.11nでは、データを送受信する際の変調方式として、一度に6bitのデータを送れる「64QAM」が採用されている。一方、IEEE 802.11acでは変調方式に「256QAM」が採用された。256QAM方式では、一度に送受信されるデータ量が8bitとなるため、IEEE 802.11acは、IEEE 802.11nよりも約1.3倍多いデータを一度に送受信できることとなる。
変調とは信号を電波に乗せることを意味しており、信号1単位で送れる情報密度が増えたとイメージするといい。例えば、トラックの積載量が増えたためにより多くの荷物を積めるようになり、送受信完了までの時間が短縮されることになったのだ。
変調方式の多値化
フレームアグリゲーション(フレームの多重化)は、1度に転送可能なデータ量を増やすための方法で、IEEE 802.11acではデータフレームを拡張し、細かなパケットをひとつのフレームにまとめられるようになった。IEEE 802.11acは、IEEE 802.11n(66535バイト)と比べてフレームサイズが16倍(1048757バイト)に拡大しており、効率的に多くのパケットを送れる。データ送信や応答確認に必要な待ち時間が大幅に短縮されるため、高速化を実現できるのだ。
μ(マイクロ)EBG技術でアンテナノイズを遮断、安定通信と小型化を実現
AtermW500Pは、NEC独自および世界初の電磁ノイズ抑制技術「μ(マイクロ)EBG」、NECの世界最小クラスのアンテナ「μ(マイクロ)SRアンテナ」を搭載している点に注目だ。高機能Wi-Fiルーター「AtermWG1800HP」でも採用されているテクノロジーで、安定通信と小型化に大きく貢献している。
μEBGは、電磁波ノイズを効果的にカットする「メタマテリアル」の一種で、特定の周波数の電磁波を遮断する「電磁バンドギャップ(EBG:Electromagnetic Bandgap)構造」と呼ばれるもの。不要なノイズを出していたプリント基板に、EBG(Electromagnetic Band Gap)構造を搭載することで、内部を伝搬するノイズを遮断。アンテナの受信感度が最大で10倍向上した(EBG非採用の従来方式比)。
また、NEC独自開発/世界最小クラスのμSRアンテナを搭載した点も大きい。メタマテリアルの基本をヒントに、スプリットリング共振器(SRR)と呼ばれる円の一部を切ったC字型素子をアンテナ素子として応用したもので、充分な電波放射量を維持しながら、世界最小クラスのアンテナ素子を実現している。共振器の形状を最適化することで、機器組み込み時のアンテナ性能の変動を抑制するとともに、全方向への電波放射特性も可能にした。
IEEE 802.11acのサポートには、従来に比べ多くの部品や回路が必要となり基板サイズが大きくなるのだが、回路の最適化設計とμSRアンテナによりコンパクトデザインを実現しているのだ。
続々と対応製品が登場している11ac
スマートフォン、タブレットではIEEE 802.11ac対応機器が急速に増えており、2013年冬モデル以降は非対応製品のほうが希少という状況だ。PCに関しても、2014年春モデルでは対応製品が複数発表され始め、すでに本格的な普及が始まった感がある。とりわけ最新のスマートフォン、タブレットでサクサク高速通信を味わいたいなら、AtermW500Pを検討すべきだ。
NECアクセステクニカは、AtermW500Pをはじめ対応ルーターを次々とリリースしてIEEE 802.11ac対応を推進しており、この1月にも「AtermWF1200HP」を発売した。867Mbps(11ac)+300Mbps(11n)の高速通信、2×2ストリーム、離れた部屋でも無線LANの高速通信が可能な「ハイパーロングレンジ」機能が特徴だ。さらにWF1200HPは、「子機(CONVERTER)モード」にすることで、離れた部屋にある親機と子機を結ぶ中継機として利用することが可能だ。親機・子機のどちらも5GHz帯対応の場合には、高速な5GHz帯通信を中継する「Wi-Fi TVモード中継機能」が利用でき、離れた部屋でも電波を安定させた状態で動画を視聴できる。
AtermW500P同様に、NFCを利用した『らくらく「かざして」スタート』や「らくらくQRスタート」をサポートしているため、手軽にIEEE 802.11ac環境を構築したい方にオススメなのだ。
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