さて、問題のAdaptiveキーボード……
賛否両論あるはずの「キーボードレイアウト」に関しては、20~30分ほどキーを打っているうちに、実は自分でも意外なほど早く慣れた。従来Ctrlキーがあった場所が英数となっため、カット&ペーストをするつもりが、英数字に変換しなおされてしまったり、IMEの切り替えに使う半角全角ボタンが、一般的な左上ではなく、Aのすぐ左にあるので、自然と指が左上に行ってしまい、時折「しまった」と思ったりするが、こうした無意識のミスも数日・数週間使っていくうちに慣れそうだ。
一方でキータッチは向上した印象がある。タッチは軽いが、底板がしっかりしており、打鍵音もあまりうるさくない。ボトムケースの薄型化に伴う、手の位置の変化によって安定感が増した印象もある。よく見るとゴム脚の形状、そして感触(やわらかくムニュっとしている)も異なり、フィーリングに影響を与えている。ThinkPad X1、ThinkPad X1 Carbonと使い続けてきたが、それと比較しても疲れにくく打ちやすい印象だ。
ファンクションキーが省略され、変則的なキー配列になった点に関してはどうだろうか。やはり自分がファンクションキーを多用していたことに気付く。
たとえばアプリを終了する際の「Alt+F4」、変換用の「F7」「F8」「F9」など。ただし、単にウィンドウを閉じるだけであれば「Ctrl+W」、アプリの終了であれば英字を入力する際には「英数」キーを押せば済むので、何とか作業を進められた。ただ、縦書きの雑誌を編集する際には、全角で英字を入力する際、これをスピーディーに呼び出せず不便であった。
もうひとつ編集者視点での作業しやすさを考えると、キーボードに画面キャプチャー用のボタンがない点が困る(FnとTのコンビネーションで入力できるが、まるで隠しコマンドみたいだ)。このあたりはフリーのキャプチャーソフトを入れることでしのげなくはないが、残念なポイントと言える。
ちなみにAdaptiveキーボードの機能を左上の「Fn」ボタンで切り替える際、気持ち待たされる印象があるので、「頻繁に機能を入れ替えて使う」のには向いていないように感じる。個人的な感想としては、従来ハードキーのコンビネーションで入力していた、「キーボードバックライトのオン/オフ」などがスピーディーに出せず、若干ストレスがたまる。Adaptiveキーボードのアイコン表示はショートカット(キーコンビネーション)を使うより初心者には親切だが、途中他社に浮気しながらも15年以上、ThinkPadのスタイルに慣れさせられてしまった筆者のような人間には、ハードキーでワンタッチで切り替えたほうが、急いでいる状況では楽に感じてしまう面がある。