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スターバックス, エコノミスト…SEO戦略の一環でGoogle+に取り組む企業

2014年02月19日 03時02分更新

記事提供:SEMリサーチ

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米スターバックスや英エコノミストが、検索エンジン最適化(SEO)の戦略を念頭に Google+ページの運用に取り組んでいることを紹介する記事が米ニューヨークタイムズ紙に掲載された。本コラムでは、SEO関係者が Google+ と Google検索をどう捉えているかを紹介しつつ、今後の対応策について個人的な意見を述べていく。

今後の SEO を考える上で欠かせない Google+ の存在

ウェブの進化にあわせて情報検索のアプローチも変えていかなければならない。Google が PageRank を発表した当時のウェブと、今日(2014年)のウェブは様相が大きく異なる。多数のオンラインユーザーがソーシャルな場所を中心として活動し、情報のやりとりをするのであれば、検索もそのソーシャルを分析し、より適合性の高い検索結果を提示できるように進化していくことが求められる。米Microsoft(Bing) や露Yandex が Facebook や Twitter と提携してこの課題に取り組むように、Google も自社のソーシャルネットワーキングサイト・Google+ を展開している。

こうした背景から、Google検索と Google+ がますます連携・統合していくことは必然であり、すなわち今後の SEO 戦略を考える上で Google+ は重要な位置付けになると考えられている。日本よりも連携が進む米国ではGoogle+の活動・投稿などの様々な要素が自然検索結果に影響を及ぼすようになってきており、検索マーケッターの多くは動向を注視している。

関連:検索とSEOとソーシャルの話 - リンクは「サイト」から「人」へ


SEO的に重要なことは理解できるが…悩む運用方針

しかし Google+ は「ゴーストタウン」などと揶揄されるように Facebook や Twitter と比べればアクティブユーザーも少ない。Pinterest や SnapChat、Vine といった特定のターゲットオーディエンスにリーチ出来るような存在であればともかく、Google+ は検索関連のマーケターにとって"困った"立ち位置でもある。米国で開催される検索系カンファレンスに最近参加された方であれば実際に目にされたであろうが、Google+ 系のセッションというのは比較的多くの人が集まる。しかし、Google+ を実際にきちんと運用しているかというと、必ずしも皆がそういうわけではない。

冒頭で述べた通り、皆「今後の SEO を考えたら Google+ を理解して取り組み方を検討しなければならないことは理解できる」が「運用にかかるコスト等を考えたら費用対効果の観点から躊躇する」というのが共通の見解だろう。ソーシャルメディアでユーザーとの関係性を構築したいのであれば Facebook や Twitter を選択する方が合理的だ。SEO のためだけに Google+ というソーシャルプラットフォームを利用することは合理的とはいえない。それは お金で フォロワーを買ったりいいねを調達するのと同様、本末転倒だからだ。

とはいえ、Google検索の今後を考えたら Google+ を無視するわけにもいかない…。


検索エンジン最適化を目的に Google+ページに取り組むスターバックス

米ニューヨークタイムズの2月14日付けの記事"The Plus in Google Plus? It’s Mostly for Google" では、SEOの運用パフォーマンスを改善するために Google+ を運用しているというコーヒーチェーンの米スターバックス(Starbucks)が紹介されている。

Starbucks, for instance, has three million followers on Plus, meager compared with its 36 million “likes” on Facebook. Yet it updates its Google Plus page for the sake of good search placement, and takes advice from Google representatives on how to optimize Plus content for the search engine.

"When we think about posting on Google Plus, we think about how does it relate to our search efforts,” said Alex Wheeler, vice president of global digital marketing at Starbucks.[The Plus in Google Plus? It’s Mostly for Google, New York Times, Feb. 14, 2014]

スターバックスの Google+ページ(https://plus.google.com/+starbucks/)は2月19日時点で300万人以上のフォロワーを抱えているが、3,600万以上の「いいね!」を持つ同社の Facebookページと比較すれば僅かな数に過ぎない。しかし、検索エンジン検索結果における掲載位置の改善のために Google+ページの更新は継続し、また、その Google+へ投稿するコンテンツ自体も検索エンジンに適したものになるよう工夫をしているという。


The Economist も検索とSEOを意識して Google+ページを活用

英エコノミスト(The Economist、https://plus.google.com/+TheEconomist/)も SEO戦略の一環で Google+ に取り組んでいる。同社のジャーナリスト達も Hangout など Google+ 上で提供されている機能を活用しているという。同社が Google+ に投稿した記事は自然検索結果にも表示されるため、検索エンジントラフィックの獲得にも貢献しているのだ。

※ Google+ページに投稿したコンテンツは、当該ページをフォローしているユーザーの検索結果画面に表示される。もちろん検索クエリとその投稿コンテンツとの関連性が高いことが大前提であるが、自然検索結果画面の少なくとも1本のリンクは Google+ページへのリンクになる頻度が高いため、Google+ でフォロワー数を増やすことで更新情報をより多くのユーザーに届けやすくなる。なお、自然検索結果に Google+ページ投稿が表示されるのは米国及び英国のみ。日本は2014年2月19日時点で未対応。

The Economist has more fans on Google Plus than on Facebook — six million versus three million — and its journalists use Plus features like Hangouts. Yet Chandra Magee, The Economist’s senior director of audience development, emphasized the value of Plus as a search engine optimization tool.

There is potential there to help us get in front of new audiences,” she said. “But it also helps with our S.E.O. strategy because our posts on Google Plus actually show up in our search engine results.”[The Plus in Google Plus? It’s Mostly for Google, New York Times, Feb. 14, 2014]


最低限の取り組みは検討しても良い Google+

Google+ページに数万規模のフォロワーがいるのであればともかく、それ以下であれば将来の SEO のためだけにリソースを割くのは正直困難であろう。先述した通り、SEOのためだけに Google+ というツールを使うことはナンセンスだ。だから、Google+ページを開設だけしておく、更新情報くらいは流す、もし Twitter や Facebook を既に運用しているのであればコピペでもいいのでとりあえず運用だけしておいて様子を見る位でも良いので、とりあえず様子見だけはきちんとしておいた方が良いというのが私の個人的な意見だ。

2月上旬に開催した私の所属先・アイレップ主催のセミナーの第2部でも紹介した通り、業種業態によって Google+ の自然検索結果の露出量は無視できないレベルになってきている。日本での Google+ の今後の展開方針は未だ明らかになっていないが、冒頭で述べた通り、今後の検索市場を考える上でソーシャルの存在は不可欠であるので、繰り返しになるが、最低限の基礎知識程度は持っておきたい。

cf.
SEO担当者が知っておきたい、Google検索とGoogle+の関係

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おまけ

Googleで30分以内!?記事書いてすぐに検索流入欲しけりゃ、コレをやれ! [マネー報道]

大前提として、こうした実質的にインデクシングさせること自体を目的とした Google+コミュニティの運用を Google がどのように判断するのか、リスクはないのだろうかという懸念があるのですが、ひとまずそれは置いておいて説明します。

『インデックス完了までの時間を短縮したい』ことを目的とするならば…一般論として、これはサイトの規模や運用状況によりケースバイケースなので、安易に取り組むのはいかがなものかと思います。普通の企業にとっては不要です。アフィリエイターさんや、個人サイト、更新性が低い企業運営サイトが対象でしょうか。

今日の Google はページ公開してからクロール及びインデックス完了までの時間が早いので、まず現時点で自分のサイトは記事公開から Google インデックス完了までどれくらいの時間を要するのか平均時間を記録してみましょう。サイトの信頼性や権威性が高いサイト、更新頻度が高いサイトは、おそらく1分~8時間以内にインデックスが完了するはずです。こうしたサイトは、上記の記事の取り組みをしてもしなくても、変わらないでしょう。

また、Google XMLサイトマップを送信する、Twitter でツイートする、RSS を配信する、Ping を送るなど、Google に記事更新シグナルを伝えられる手段は多数あり、また、比較的更新性が高いサイト、あるいは更新したコンテンツがタイムリーであるものであれば、即座にクロールされて検索結果に表示されます。

インデックス完了を早くしたいというだけの目的であれば、他の手段組み合わせても目的は達せられるはずですので、どうでもいい気もします。本記事で触れてきた通り Google+ を SEO 的に優れた運用をするという観点から取り組み自体は良いのですけれど。

それよりも冒頭で述べた懸念、Google はこういったコミュニティをどう扱うのか読めません。検索の理念を考えたら、いずれ評価しないようにしますよね。

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