投資が先送りになってきたIT業界
加えるならば、IT業界は、長年に渡って、投資が先送りになってきた背景も見逃せない。本来ならば、2000年問題で大量に更新されたPCの二巡目需要が2008年以降に発生するはずだったが、2009年のリーマンショックによる景気低迷、2011年の東日本大震災の影響によるIT投資意欲の低迷と続き、更新されないままの状態が、現在まで引きずられていたといえる。
景気回復によって、IT投資意欲が回復。IT業界は、まさに空前の需要期を迎えているというわけだ。
IT業界成長の鍵を握る5本の矢
そこで、和田会長は、「IT業界は5本の矢でこれからも成長する」と語る。
1本目の矢は、Windows XPのサポート終了と消費税増税の影響によってPCの需要が喚起されている点である。
和田会長が指摘するように、前年に対して、「倍返し」という勢いもあるほどだ。
そして、和田会長は、「これは、Windows XPのサポートが終了する4月以降も勢いが継続するだろう」とする。Windows XPから移行しきれない企業は、4月以降も全体の1割以上、市場規模でいうと約750万台が残ると見られているからだ。
2本目の矢がクラウドである。
コンシューマで使われ始めたクラウドが、これからビジネス領域、とくに基幹系システムとして活用されるようになる時代に入ってくるのがその理由だ。和田会長が社長を務めるOBCでは財務会計ソフト「勘定奉行」を開発、発売しているが、ここでもクラウド化の進展が進んでいる。
「大型コンピュータが30年間、PCによる分散コンピューティングが30年間、そして、クラウドもこれから30年間のトレンドになるだろう。私は、3年前からクラウドの話をしているので、あと27年この話をすることになる」と笑いながら、「言い換えれば、IT業界は、クラウドによって、まだまだ成長するということでもある」とする。
3本目の矢は、「個人コードと法人コード」である。
これらの新たな番号制度によって情報システムは一新されることになり、「消費増税やWindows XPのサポート終了を超える、大きなビジネスチャンスがIT業界に生まれることになる」と和田会長は語る。
マイナンバー法の成立によって、12桁の個人コードは話題になっているが、2016年1月から制度が開始される13桁の法人コードは、まだそれほど注目されていないのが実態だ。「私もいろいろと調べてみたが、法人コードについては、情報が少ないことを感じる。だが、法人コードは、企業がマーケットプレイスを利用する際にも必要となり、入札などのあらゆる制度にも活用される。効率化を図ることができ、企業にとっては欠かせないものになる」とする。経済環境の活性化も期待できるインフラになるというわけだ。
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