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World of Tanksの世界へパンツァー・フォー 第11回

前編:フランス ソミュール戦車博物館 探訪記

880両収蔵の戦車博物館に行って戦車にまみれてきた!

2014年03月14日 18時00分更新

文● 大塚正諭 撮影●大塚正諭

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「IV号戦車」 アニメ『ガールズ&パンツァー』のあんこうチームが搭乗したIV号戦車。これは末期に生産されたJ型の金網シュルツェンが付いた仕様。ドイツ戦車の中で最も多く生産されており、その使い勝手の良さから大戦中は幅広く活躍した。生産数も多かった事から、各型合計の残存数は27両

一番人気のドイツ戦車コーナーへ

 博物館の展示エリアで一番人気が高いのは第2次世界大戦のドイツ戦車コーナーで、ここの展示車両を目的とする来訪者も多い。ティーガーIティーガーIIパンターIV号駆逐戦車ヘッツアーIV号戦車等プラモデルのパッケージや本でしか見た事のない車両が目の前に! 頭の中で流れるBGMはもちろん「パンツァーリート」(Panzerlied)に決まり!

 やはり実物を見ると興奮しますが、ケッテンクラートシュビムワーゲンに関しては日本国内で動態車両を何度も見慣れているため、有難みを感じる事なくあっさりと見て終了したのが何とも(笑)。

 ここでコンクリートの床を見て気がついたのが、いたるところにある履帯の跡と油の染み。ここの展示車両の多くが走行可能と言う事を改めて感じる事に。隣のテントでは各種イベントが行われる多目的エリアの模様で、博物館友の会会員のミーティングや模型クラブによる展示を行っているとか。

「II号戦車」 I号戦車に続いて開発された軽戦車で、20ミリ機関砲を搭載している。大戦初期は機動性の高さから大いに威力を発揮したが、武装の貧弱性から、のちに偵察や対歩兵支援の任務が主流となった。現存は8両で、ソミュールの展示車はキューポラ増設と装甲を強化した改修型

「III号戦車」 ドイツの中戦車で、第2次世界大戦中期の主力戦車。展示車両は37ミリ砲を搭載したF型で、軽戦車や装甲車との戦いでは有利だったものの、大口径の砲を搭載した中戦車や重戦車には太刀打ち出来ず、一線を退いた

「ティーガーI」 戦車の王者として誰もが知っており、かつドイツ戦車の中でも特に人気の高いティーガーI。総生産数は1354両であるが、現存はわずか5両。展示車両は後期型で、SS第102重戦車大隊の第2中隊隊長車仕様で復元されている。ガラスケースに展示のマネキンはドイツ国防軍のエースであるオットー・カリウス

「ティーガーII」 博物館の中でも圧倒的存在を誇るのがティーガーII。キングタイガーとも呼ばれ、第2次世界大戦時は最強の戦車とも言われており、当時の連合軍で太刀打ちできる戦車はなかった。総生産数は489両で8両が残存しているが、ソミュールの展示車は世界で唯一走行可能

「10.5センチ突撃榴弾砲42」 一見するとIII号突撃砲に見えるこの車両は10.5センチ突撃榴弾砲42。III号突撃砲をベースとし、主砲を105ミリ榴弾砲に換装。対歩兵やトーチカへの攻撃に使用された。冬季迷彩塗装の姿で展示しており、『ガールズ&パンツァー』プラウダ高校戦でのかばさんチームのIII号突撃砲を思い起こさせる

「ブルムベア」 IV号突撃戦車ことブルムベアはIV号戦車の車体をベースとした突撃戦車で現存は3両のみ。特徴的なのが前面は80ミリから100ミリ、側面は50ミリと言う装甲の厚さ。150ミリ榴弾砲を搭載し、市街地での歩兵支援を目的とした

「FLAK30」 1935年にドイツで開発された20ミリ対空機関砲。各種車両にて牽引されて陣地に展開することが可能で、陸海空軍、武装親衛隊で使用。対空以外にも対地攻撃でも威力を発揮した

「ケッテンクラート」 作業、牽引用の半装軌車で、自動車やオートバイが走行不可能な泥地も走れることから、多用途な任務に使用された。戦後は民生型トラクターとしても製造され、現存数もそれなりに多い。日本にも2台ある

「パンター」 被弾を防ぐ傾斜装甲、幅の広い履帯、75ミリ砲を搭載し、ソ連のT-34を参考にして開発された中戦車。ティーガーI、ティーガーIIよりも生産コストが低く、また性能も高かったためIV号戦車に次ぐ約6000両が生産され、各地の戦いに投入された。戦後もフランスやブルガリアで使用されており、18両が残存

「ヘッツアー」 小型駆逐戦車として知られるヘッツアー。同時期の戦車と比べると、その大きさが良くわかる。75ミリ砲を搭載し、森林等での待ち伏せ攻撃には最適だった。戦後はスイス軍が採用し、G-13の名称で使用された。ソミュールで展示されているのはこのG-13型

「ヤークトパンター」 パンター戦車をベースに開発されたヤークトパンターは88ミリ砲を搭載。厚さ80ミリの前面装甲を斜めにし、敵弾を貫通させない構造となっている事から防御力は高く、信頼性は高かった

「メーベルワーゲン」 IV号戦車の車体を用いて製作されたメーベルワーゲンは、37ミリ対空機関砲を搭載した対空戦車。制式名称はIV号対空戦車であるが、防護板を広げたその姿から家具運搬車“メーベルワーゲン”のほうが知られるようになった。この展示車は復元車であるが、現存は2両のみと言う希少価値車

「ベルゲパンター」 パンター戦車をベースとした戦車回収車。元々はトラックや他戦車にて回収作業をしていたが、重戦車の回収には能力不足であったため専門の車両を開発した。20ミリ機関砲とウインチを搭載。この車両は復元車であるものの、現存数は少なく貴重な車両

博物館はどこにある?

 Googleマップで場所を調べると、パリから西南、約300kmの位置にあるソミュール(Saumur)と言う町にある。

 このソミュールはロワール川に面した人口約3万人の風情ある小都市で、市内にある1972年に創設された国立馬術学校と町のシンボルでもあるソミュール城が主な観光名所。この戦車博物館も名所ではあるが、あまり知られていないマイナーな場所と言えよう。余談だが、地球の歩き方フランス版のソミュール市紹介ページにも小さくではあるが、掲載されている。


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