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“Open Cloud”によるプライベートクラウド基盤構築サービスを発表

「顧客のビジネスを伸ばす」IBMのオープンクラウド戦略

2014年02月10日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本IBMは2月7日、サービス内容を拡充した「プライベート・クラウド構築支援サービス」の提供を開始した。同日の記者説明会では、日本市場における同社のクラウド戦略の全体像についても語られた。

 IBMは今回のサービス拡充で、顧客のビジネス要件とIT要件に適合した本格的なプライベートIaaS/PaaSの導入を支援するよう、サービス内容を強化した。同サービスにより、クラウド構築/管理の自動化ソフトウェア「IBM SmarterCloud Orchestrator」とITサービスの管理ソフトウェア「IBM SmarterCloud Control Desk」を標準ソフトウェアとして活用した、オープンなクラウドシステム(Open Cloud)を構築する。

今回発表の「プライベートクラウド構築サービス」全体図

 IBMでは今回のサービス拡充の背景として、プライベートクラウドに対する企業の要求が、より大きな導入効果を求めた結果、従来の「リソースの仮想化」だけでなく「標準化(カタログ化)」や「運用の自動化」にまで拡大していることを挙げている。

 ただし、こうした「本格的な」プライベートクラウドの導入は現状分析や要件定義に時間がかかり、各企業に最適化した構築にもノウハウが必要となる。そこでIBMでは、コンサルティング、検討段階のサポート(アセスメント、デモンストレーションなど)、運用支援(マネージドサービス)といったサービスを中心に拡充を図った。

 さらに、今年下半期にはプライベートクラウドとパブリッククラウドサービス「IBM SoftLayer」との連携も可能にし(現在ベータ提供を実施中)、顧客のハイブリッドクラウド環境構築も支援していく方針。

「PureSystems」「Smarter Cloud Enterprise+」「SoftLayer」といったインフラもラインアップし、顧客の要件に応じたクラウドソリューションが提供できるとした

「2013年後半からクラウドに対する期待が大きく変化」

 同日の記者説明会に出席した日本IBM スマーター・クラウド事業統括担当 執行役員 小池裕幸氏は、日本市場における同社のクラウド戦略について語った。

日本IBM スマーター・クラウド事業統括担当 執行役員 小池裕幸氏

 IBMでは、1月に発表した12億ドルに及ぶSoftLayerデータセンターへの大規模投資、事業組織と人員の強化、人材教育などを通じて、全社的に「クラウドシフト」を進めている。日本IBMでも1月に組織強化を行い、クラウド専任社員を1.5倍に増やすなどの施策を実施している。

 「クラウドは、明らかにビジネスのトップライン(売上高)を成長させる。日本IBMは、クラウド活用による国内企業のビジネス変革と成長のお手伝いをしていく」(小池氏)

 IBMが継続的に実施している世界CIO調査(Global CIO Study)によると、世界平均と比較して国内企業のクラウド導入に対する期待値は高い。ただし、クラウド導入の目的は、昨年(2013年)後半から大きく変化してきているという。

 「昨年前半までは、クラウド導入の目的は主に『コスト削減』であり、具体的にはシステムの仮想化どまりだった。だがクラウド本来の価値は、仮想化だけでなく標準化、自動化まで実施してこそ得られる。昨年後半から、本格的なクラウド価値を求める意識の高まりが見えてきた」(小池氏)

小池氏は、国内市場においても「2013年後半から『本格的なクラウドの価値追求の高まり』が見られると説明した

「今年は国内でOpen Cloudを徹底的に推進」

 そうした「クラウド本来の価値」を実現するため、IBMではベンダーロックインの可能性を排除する、オープンスタンダードに基づくクラウドを推進していくと、小池氏は強調した。

 なぜ単一のクラウドベンダーが提供するサービスだけでは「本来の価値」を得られないのか。小池氏は、クラウドが非常に細分化された技術要素の組み合わせで構成されているためだと説明する。

 「個々の技術要素はそれぞれ異なるスピードで進化していく。ある時点でベストなものまとめれば(技術要素を組み合わせれば)、『その時点での』ベストなサービスはできるが(進化に追従できない)。これがベンダーロックインだ」(小池氏)

 そのうえで、IBMでは「粒度の小さい」それぞれの技術要素を組み立てたソリューションを提供することで、最新のベストな技術に基づくオープンなクラウドを提供していく。

IBM Open Cloudのアーキテクチャ図

 また、従来のIaaS/PaaS/SaaSというカテゴリ分類から、それぞれ「Software-Defined Environment」「Cloud Operating Environment」「API Economy」への進化を語った。

 「特にSaaSの世界は(サービスを)使うのが人間からプログラムへと変わる。そうした『API Economy』を、日本の顧客に活用していただきたい」(小池氏)

 このAPI Economy分野でマーケットプレイスを形成し、IBMだけでなくサードパーティもオープンなAPIを通じたクラウドの「パーツ」を販売可能にすること、そのための開発支援もIBMの役割であるとした。

小池氏は、オープンなAPIを通じてサードパーティもビジネス機会を得る「API Economy」が実現することを強調し、その実現もIBMが支援していくと述べた

 「今年は国内において、徹底的に『Open Cloud』を推進し、(クラウドにおける)日本の顧客のベンダーロックインを解消していく。それが私の仕事のトッププライオリティだ」(小池氏)

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