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運用まで考えればVPNはNTT西日本 第2回

約80店舗のVPN運用の苦労がアウトソーシングで消えた

ジェイアンドジェイがオールインワンネットワークを選んだ理由

2014年03月17日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp 写真●曽根田元

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「食は風土にあり 九州にうまかもんあり」を社是に、地産地消の飲食店を展開するジェイアンドジェイのシステム課は、長らくVPNの運用負荷に頭を悩ませていた。この課題を解決すべく、同社が選定したのが、NTT西日本のパッケージ型VPN「Bizひかりクラウド オールインワンネットワーク フレッツ・VPN ワイド版」だ。

活きたヤリイカをリーズナブルな価格で

 ジェイアンドジェイは九州の食材にこだわった居酒屋や活魚料理、回転寿司などを手がける外食チェーン会社だ。「十徳や」や「さかな市場」などの同社の店舗を訪れて最初に驚くのは、料亭でもないのに店内に「いけす」があること。コストパフォーマンスを追求するチェーン店では、まず考えられない。ジェイアンドジェイ 常務取締役兼管理本部長である平田 優氏は、「全国チェーンとコストパフォーマンスで戦うのは、なかなか難しい。そこで、九州の魚に特化した居酒屋をやろうという話になり、活魚やヤリイカを低価格で提供するようにしたのです」と、同社のビジネスのコンセプトについて語る。

ジェイアンドジェイ 常務取締役兼管理本部長 平田 優氏

 当初は九州の繁華街のみ店舗を出していたが、成長と共に郊外店を増やすとともに、中国地方の広島市にも進出する。「一匹でも墨を吐いたら全部ダメというデリケートなヤリイカを、港から生きたまま運べるのは広島までが限界。本当は東京や大阪にも出店したいのですけど、生きたまま運ぶのが難しいのです」(平田氏)とのことで、とにかく鮮度にこだわる。しかし、こうした“こだわり”の結果、広島でも大人気を博し、すでに9店舗を展開。ジェイアンドジェイ全体では、九州や中国地方を中心に約80店舗を展開しており、「地元の美味しい魚が食べられる店」として多くのファンに愛されている。

「俺が一人でしちょるけん」に隠れた負担と苦労

 こうしたジェイアンドジェイの基幹系・情報系システム全般を構築から運用まで一手に担っているのが、管理本部 システム課 課長の楠目明紀氏だ。楠目氏は既存のネットワークやシステムについて、「会社の立ち上げ当初は、モデム経由で店舗の売り上げデータを本部に送っていました。2003年にADSLを導入し、福岡のプロバイダーのIPアドレスを使ったインターネットVPNに切り替えました」と説明してくれた。

ジェイアンドジェイ 管理本部 システム課 課長 楠目明紀氏

 その後、2011年にはこれまでISDNやADSLなどが混在していたインターネット接続回線を「フレッツ光」に切り替えると共に、安価な通信コストを実現する「ひかり電話」を導入した。しかし、回線は光化が進んだものの、ルーター自体が老朽化したこともあり、各店舗でVPNの通信障害が目立ってきた。「店舗からデータが送信できなくなると、売り上げ管理ができなくなります。発注管理や社内イントラネットの通信もVPNを経由していたので、止まると仕事になりません」(楠目氏)。そのため、情報システムを1人で切り盛りする楠目氏は、自身が各店舗に出向いて、障害原因の特定や復旧をしなければならなかったという。

 楠目氏は、「通常であれば、ルーターの電源を入れ直せば元に戻ります。しかし、機器が劣化してくると、ハブの接触不良とか、通信自体の失敗が増えてきます。ですから、最終的には現地に行って確認しないと、原因がわからないのです」とその苦労を語る。わざわざ足を運んだものの、スイッチの入れ直しやLANケーブルの挿し直しだけで通信が戻るといった事態も多かった。一方で、何店舗かはルーターがまったく動かず、急いで代替機を調達する必要があったという。「業務用ルーターだったので、普通の量販店には売っていなかったのです。広島で障害が起こったときは、何店舗か在庫を問い合わせた結果、大型量販店の本社にまで電話かけ、本店まで取りに行ったこともありました」(楠目氏)という。

 10年に渡ってジェイアンドジェイの営業を担当しているNTT西日本 熊本支店 ビジネス営業部 営業部門 営業担当 課長の瀬川亮治氏は、こうした楠目氏の苦労に以前から胸を痛めていたという。「楠目課長に電話をかけると、ある時は大分、ある時は宮崎に行って、ルーターの故障に対応していたのです。課長は『俺が一人でしちょるけん』と笑っていらっしゃいましたが、本当に大変そうでした。1人何役もやっている感じだったので、なんとか楠目課長のお仕事を楽にできないかなと思っていました」と語る。

NTT西日本 熊本支店 ビジネス営業部 営業部門 営業担当 課長 瀬川亮治氏

 もちろん、瀬川氏にとっても、複数の業者が関わるVPNの障害対応は頭の痛い問題だった。「たとえNTT西日本の回線に問題がなくても、お客様の通信に障害が起こっているのは事実です。そのため、いろいろなところに連絡をするのですが、やはり大変な作業でした。一括で故障対応の手配ができたら、いいなと考えていました」と語る。

アウトソーシングへの懸念を払拭するワンストップの魅力

 こうした課題を解決すべく、ジェイアンドジェイが導入したのが「Bizひかりクラウド オールインワンネットワーク フレッツ・VPN ワイド版」(以下、オールインワンネットワーク)だ。オールインワンネットワークは、フレッツVPN ワイドを前提にアクセス回線やネットワーク、ルーター、遠隔監視、レポートまでパッケージ化されたサービスになる。本社でオールインワンネットワークを担当していたこともあった瀬川氏は、いち早くジェイアンドジェイに提案を持ちかけた。瀬川氏は、故障のたびに出張しなければならないコストの負担や、数多くの拠点で駆けつけが可能なNTT西日本の保守体制などを楠目氏や平田氏に説明したという。

熊本市内にある十徳やと同社の本社屋

 こうしたオールインワンネットワークの提案に関して、楠目氏は「今まで、回線がダメならNTT西日本さん、屋内は電設業者、インターネットはプロバイダーに問い合わせていました。こうした面倒な故障時の切り分けをNTT西日本さんで全部やってもらえるなら、それに越したことはないなと思いました」と語る。サービス選定を承認した常務取締役の平田氏も、「なにより日本一の会社ですし、徹底的につきあっていきたい。マイラインのときも200回線を一気に変えましたし、絶対的な信頼感を持っています」と言い切る。

 もう1つ選定に際して大きかったのは、ルーターレンタルの初期コストがかからないという点だ。店舗数が以前に比べて増えているので、全店舗でリプレースすると大きなコストがかかる。「試算してみると、当初の50店舗の導入コストに比べ、倍以上のコストがかかることがわかりました」(瀬川氏)とのことで、買い上げ時のコストは当初から懸念していた。その点、オールインワンネットワークは初期費用がかからないため、導入の敷居が低かったという。

本来の情報システム部の仕事に専念できる

 提案を受けて、ジェイアンドジェイはまず2店舗を直接VPNでつないで、アプリケーションの通信を検証。問題ないことを確認した同社は、2013年10月にはオールインワンネットワークの導入を決定。各店舗のリプレース作業を進め、2013年11月にはわずか1ヶ月間で約80店舗のリプレースを完了した。先行して、ADSLから光回線への移行を進めていたため、フレッツ光+フレッツVPN ワイドという現状もっとも安定したVPNの環境が実現したという。

ジェイアンドジェイの「Bizひかりクラウド オールインワンネットワーク フレッツ・VPN ワイド版」の導入

 オールインワンネットワークの導入からまだ1ヶ月だが、安定して稼働しており、通信品質や速度も向上したという。以前、使っていたインターネットVPNサービスでは、たまにDNSが見えなくなったり、障害やメンテナンスでつながらないこともあった。そのため、店舗からは、「遅い」とか、「つながらない」といったクレームが上がっていたが、「NTT西日本のVPNに切り替えてからは、そういった障害やクレームはまったくありません。通信速度もインターネットVPNだった以前に比べて速くなった気がします」(楠目氏)と語る。また、セキュリティという観点でも、フレッツVPN ワイドの場合、NTT西日本のネットワーク内での通信になるので、安心できたという。

アウトソーシングに必須といえる強固な信頼関係が両社で構築されている

 なによりワンストップで対応してもらえる安心感は大きい。楠目氏も、ルーターやネットワークの管理から開放されたことで、本来の情報システム部としての仕事に専念できるようになったようだ。「今はタブレットのような便利なモノも出ていますし、ここまでスマートフォンが普及しているなら、次は店舗のルーターもWi-Fi機能付きを入れたいです。また、サーバーも今は本部に置いていますが、今後はクラウド化を検討していきたいです」と語る楠目氏。平田氏も、「NTT西日本さんの力を借りて、われわれに足りないものを拡充していきたい。さまざまなソリューションの提案を期待しています」と語る。すでに2人とも次の「攻めのIT」を考えているようだ。

 次回は、オールインワンネットワークが提供する運用保守やワンストップ化のメリットについて考えていこう。

(提供:NTT西日本)

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