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IBM自身のクラウドシフトや「Watson」事業の推進なども

2014年のIBMソフトウェアは「SMACS」など4つの重点領域

2014年02月05日 06時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 日本IBMは2月4日、2014年のソフトウェア事業戦略に関する説明会を開催した。出席した同社 専務執行役員 ソフトウェア事業本部長のヴィヴェック・マハジャン氏は、4つの重点領域を挙げて説明した。

日本IBM 専務執行役員 ソフトウェア事業本部長のヴィヴェック・マハジャン氏

 1つめの重点領域は「SMACSへのさらなる注力」。“SMACS(スマックス)”とは、ソーシャル、モバイル、アナリティクス/ビッグデータ、クラウド、セキュリティという5分野の頭文字を取ったものだ。「IBMソフトウェアの戦略を一言で言えば、このSMACSだ。すでに過去5年間、SMACSに注力してきたが、さらなる注力を図る」(マハジャン氏)。

 具体的にはあらゆるソフトウェア製品において、ソーシャル、モバイル、ビッグデータなどへの対応を強化していく。また近年、企業買収(Worklight、Trusteer、Urban Codeなど)や提携を通じてSMACS分野のポートフォリオを拡充しており、こうした動きも推進する。そしてSMACSをテーマとした教育研修を、IBM社員およびパートナーに対して実施するなど、人材育成にも注力する。

重点領域1「SMACSへのさらなる注力」。あらゆるソフトウェアでSMACS対応を進めていく

 2つめの重点領域は「IBMソフトウェア自身のクラウドシフト」。具体的には「PureSystems」とSoftLayerクラウドによるハイブリッドクラウドサービス、「PureApllication System」が備えるパターンテクノロジーのSoftLayerへの適用、BPaaS(Business Process as a Service)からSaaS、PaaS、IaaSまでの広範なパブリッククラウドメニューに基づくIBMソフトウェアの提供を挙げた。

 マハジャン氏は、特にPaaS領域が「日本の顧客が最も興味のある分野」であり「IBMがいちばん差別化できるポイントではないか」と語る。そのうえで、インメモリ技術を採用したDWH基盤「BLU Accelerator on Cloud」、DevOps実現のためのアプリケーションライフサイクル管理基盤「JazzHub」、オープンソースPaaS「Cloud Foundry」を活用したオープンクラウドアーキテクチャ実装「BlueMix」を紹介した。

重点領域2「IBM自身のクラウドシフト」。BPaaS(Business Process as a Service)からSaaS、PaaS、IaaSまで、広範なサービスをパブリッククラウドで提供

 次に挙げた重点領域は「Watson Foundations」だ。米IBMでは今年1月にWatson事業部門を設立して、「コグニティブコンピューティング(認知コンピューティング)」の事業化を推進している。すでに幾つかのソリューション群を発表しているが、Watson Foundationsはビッグデータ/アナリティクス基盤との組み合わせでWatsonを強化し、幅広いコグニティブコンピューティングソリューションの基盤をクラウドで提供する。

 マハジャン氏は、Watson事業自体がまだスタートしたばかりであるものの、すでに国内の顧客からも興味を持って受け止められていると述べ、Watson Foundationsへの期待を示した。

重点領域3「Watson Foundations」。ビッグデータ/アナリティクス基盤との組み合わせで、幅広いコグニティブコンピューティングソリューションの基盤となる

 マハジャン氏が最後に挙げた重点領域は「Systems of Interactionの実現」である。“Systems of Interaction(相互作用のシステム)”は、CRMやERP、データベースといった「Systems of Record(記録のシステム)」と、SNSやモバイルといった「Systems of Engagement(つながりのシステム)」、さらに「IoT(モノのインターネット)」の各領域を包括的に連携させる仕組みだと、マハジャン氏は説明した。

 マハジャン氏は「この分野ではミドルウェアが重要な役割を果たす」と述べ、メッセージング、トランザクション処理、連携/統合、アプライアンスといった、IBMがこれまで培ってきたテクノロジーが活用できる分野であると、強みを強調した。

重点領域4「Systems of Interactionの実現」。基幹システム、フロントシステム、IoTの3領域を包括的に連携させるための“相互作用のシステム”と説明された

IBMが培ってきたメッセージングやトランザクション処理、連携/統合などのテクノロジーを活用して“Systems of Interaction”を実現していくという

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