番外編:注目の新興メーカー
“CRYORIG”の製品を試す
以上でエントリーした製品の紹介と検証をすべて終えたわけだが、今回は今注目を集めているCRYORIG社の最新ハイエンドクーラー「R1 Ultimate」も紹介しておきたい。
CRYORIG社とは、ThermalrightやProlimatech、Phanteksといった著名なCPUクーラーメーカーで開発に携わってきたメンバーが中心となって設立された会社。その第1弾となるR1 Ultimateは発売前から注目され、入荷しても即完売状態。この注目クーラーを今回番外編として紹介することにした。なお、番外編としたのは、この製品が発売されたのが2014年だからだ。
●対応ソケット:775/1150/1155/1156/1366/2011、AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2
●寸法/重量:140(W)×142.4(D)×163.8(H)/約1282g
●ファン回転数:700~1300±10%(PWM制御)
●風量:最大76CFM
●ノイズ:19~23dBA
●実売価格:1万3000円前後
●製品情報URL:http://www.cryorig.com/r1-ultimate.php
R1 Ultimateの構造は7本のヒートパイプで2分割されたヒートシンクに熱を移送し、140mmファン2基で冷却するというもの。ファン配置は1基をメモリー側、もう1基をヒートシンクの間に置くスタイルで、必要とあらばもう1基ファンを外側に追加することもできる。
R1 Ultimateがおもしろいのはここからだ。1枚のヒートシンクの構造は黒いものと銀色のものでヒートパイプを挟むような構造をしているが、さらによく観察すると黒い方がわずかに間隔が狭い(銀2.4mm/黒1.8mm)。気流は幅の広い方から入って狭いほうに抜けるが、狭い方に入る際に気流は速くなる。これをCRYORIGは「Jet Fin Acceration System」と呼んでおり、熱い空気を素早くフィンから脱出させることで、冷却効果を高めると主張している。
冷却効果の要となるベースとヒートパイプの処理も独特だ。CPUとヒートパイプが直接接触せず、銅製ベースを介して熱を吸収する設計だが、ヒートパイプが全部同じ高さでベースに入っているのではなく、中央のパイプが一番CPUに近く、外のパイプになるにつれ高い位置を通過する。つまり凹レンズ型の配置にすることで、狭い空間を最大限活用する設計だ。ベースとパイプの隙間の処理もしっかりしており、非常に好感が持てる。
最後発のメーカーだけあって、ベース部分は指だけで設置・解体できるよう工夫されている。ただヒートシンクとベースの合体に使われるネジはバネが強いためネジ穴に一発で入れるのは結構難しい。ネジ留め作業も本体が大きいため、最後の固定作業はやや面倒なのが残念なところだ。
では性能の検証に入ろう。さすがにこれだけの要素を詰め込んだだけあって、4.6GHzのテストは見事にクリア。ファンノイズはアイドル時で39dBAと決して静かではないが、CPU温度は高負荷時でもわずか64度と、これまで紹介したどの製品よりも低い温度を記録した。R1 Ultimateは実売1万4000円近い超高級クーラーだが、値段は決してハッタリではない、ということがわかった。
アイドル時 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
CPU温度 | チップセット温度 | メモリー温度 | VRM温度 | ファンノイズ | ファン回転数 | |
47.0 ℃ | 36.5 ℃ | 35.5 ℃ | 48.3 ℃ | 33.4 dBA | 490 rpm | |
純正より | +5.0 ℃ | -3.9 ℃ | -4.2 ℃ | +1.6 ℃ | -0.6 dBA | -1518 rpm |
高負荷時 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
CPU温度 | チップセット温度 | メモリー温度 | VRM温度 | ファンノイズ | ファン回転数 | |
69.0 ℃ | 35.6 ℃ | 40.2 ℃ | 51.6 ℃ | 38.5 dBA | 1250 rpm | |
純正より | -10.0 ℃ | -7.8 ℃ | -10.5 ℃ | -1.1 ℃ | -4.0 dBA | -2417 rpm |
すべての検証が終わったところで、次回はいよいよ2013年のCPUクーラー最強王座を決定させよう。
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