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“オフィスでインクジェット”ってどうなの?

HPのギネス認定複合機「Officejet Pro X576dw」を使い倒した!

2014年02月11日 14時00分更新

文● 貝塚怜/ASCII.jp編集部

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HPの複合機「Officejet Pro X576dw」は、「オフィス用デスクトッププリンターによる500ページ最速印刷」でギネス認定を受けている

 日本ヒューレット・パッカードのオフィス向けインクジェットプリンター「HP Officejet Pro X」シリーズは、「オフィス用デスクトッププリンターによる500ページ最速印刷」でギネス認定もされているという速さがウリだ。

大型プリントヘッドで70枚/分の速度を実現!

 インクジェット方式ながらレーザーに迫るスピード実現した秘密はプリントヘッドにある。一般的なインクジェットプリンターのヘッドは紙の端から端まで移動しながらインクを吹き付けていくが、Officejet Pro XシリーズはA4サイズ用紙と同等の幅を持つプリントヘッドを内蔵。「上下+左右」の動きで印刷する通常のインクジェットプリンターに対し、「上下」の動きのみで印刷できる機構を採用し、高速プリントを実現しているのだ。

表。ダークグレーで落ち着いた印象。寸法/重量は約幅517×奥行き399×高さ517mm/約24kg。A4のオフィス向け複合機としては大きめの筐体背面。LAN端子などをそなえる

 Officejet Pro Xはシリーズ全体の外観が非常にシックで、まさに「オフィス向け複合機」という印象だ。一見するとブラックに見えるが、実際はダークグレー。ところどころ丸みを帯びているので、シックながら無骨過ぎず、どのようなオフィスにもマッチしそうだ。

厚手の紙などは手差しトレー(容量:普通紙で50枚)からも給紙OK。通常は前面のメイン給紙トレー(容量:普通紙で約500枚)に給紙する。トレーは操作パネルから切り替えられる

 難点としては、A4サイズの割にはサイズが大きいことがあげられる。これは公称70枚/分の高速プリントを実現するためにプリントヘッドを大きくしたり、給紙・排紙機構に多数のギアを使っていたりと、性能に直結している部分なので致し方ない面もある。“業務用スペックゆえ”の重量なのだ。ただ、最近では家庭用A4複合機などがかなり小さくなってきていることもあり、「かなり大きい」という印象はやはりぬぐえない。したがってスペースに困っているような環境に導入する場合は、ある程度環境を整理する必要があるだろう。

側面が大きく開く。多数配置された歯車は、紙との設置面が小さい特殊な形状のもの。紙との設置面を小さくすることで、乾燥し切っていない紙も繰り出せる。これも印刷速度を高める工夫だ

 大きいだけあってスペックは最強レベル。前述しているが、インクジェット機で公称70枚/分というスピードは驚異的とも言える。オフィス向けだけあって、メンテナンス性にも配慮。右側面のカバーが大きく開き、紙詰まりが起きた際も迅速に対処できるよう設計している。

オフィスでインクジェットって実際のところどうなの? コストと品質から考察

 さて、オフィスに導入するとなれば、気になるのはランニングコストの部分だ。HP Officejet Pro X用インクの直販価格は黒が1万4070円、イエロー、シアン、マゼンタが各1万3965円。印刷可能枚数は黒が約9200枚で、イエロー、シアン、マゼンタが各6600枚。公称値となるが、A4カラー印刷が約7.5円/枚、モノクロ印刷が約1.5円/枚になる計算だ。

ちなみに……

HP Officejet Pro Xシリーズは、保守サービスとインクをセットにした「インク定額パック」も利用できる。契約期間中は同社の定める範囲でインクの追加注文に追加料金がかからなくなるほか、本体保証が付帯され、故障時の無償サポートも含まれるというものだ。タイプは以下の4種類。インク定額パックを利用すれば、印刷コストはさらに抑えられる。推奨月間枚数をきちんと使い切れば、という前提にはなるが、頻繁な出力が予想されるなら契約も視野に入れたいところだ。

  • 「1年ライトパック(12万6000円/上限10本)」
  • 「1年定額パック(22万500円/上限18本)」
  • 「2年定額パック(41万1600円/上限36本)」
  • 「3年定額パック(58万5900円/上限54本)」

※1/2/3年定額パックはX576dwおよびX551dwのみ加入できる。推奨月間印刷枚数は、X576dwおよびX551dwが4200枚、X476dwおよびX451dwが2000枚。

 レーザープリンターのトナーカートリッジはどうだろう? ヒューレット・パッカード製のカートリッジを例にあげると、黒のカートリッジが2万3940円で約11000枚、同ラインのカラーのカートリッジが2万6250円で約6000枚。もう少し容量の小さいものになると、黒のカートリッジが1万8375円で約6000枚、カラーのカートリッジが1万7157円で約4000枚といったところ。

 試しに、容量の小さい方のカートリッジでの印刷コスト計算してみる。カラーを「(18375+17157×3)÷4500※1」、モノクロを「18375÷6000」としてみると、大体A4カラーは約15円/枚、A4モノクロが約3円/枚という値になる。概算ではあるが、なんとおよそ半分だ! メーカーや容量、印刷品質、使用環境、条件などによってもレーザープリンターの印刷コストはまちまちだろうが、HP Officejet Pro Xシリーズの印刷コストは、割安感があると言えるのではないだろうか。

※1 (6000+4000+4000+4000)÷4

 また、比較的消費電力が小さいのもインクジェットプリンターの魅力。Officejet Pro X576dwは公称値で稼働時:70W、待機時:10Wという消費電力だ。一方、レーザープリンターはというと、ばらつきはあるものの、A4クラスでおおむね稼働時:400弱〜1400W、待機時:20〜160W程度。トナーを温める必要がない分、消費電力の低さはレーザーに比べれば圧倒的だ。毎日使うものとなれば、年間で結構な節約になるはず。

消費電力(W)の比較。構造上当たり前といえば当たり前だが、インクジェットとレーザーの消費電力に大きな差があることは確かだ。なお「A4クラスレーザー」の項目は稼働時、待機時ともに(HP「LaserJet Pro 400 Color M451dn」+ キヤノン「MF8570cdw」 + エプソン「LP-S820」 + ブラザー「MFC-9340CDW」)÷4で算出。あくまで参考値として受け止めて欲しい。※キヤノン MF8570cdwは消費電力を最大値で公表しているため、半分の600Wとした

 じゃあ、どうしてレーザープリンターがオフィス向けの複合機として幅を利かせているのかといえば、「大量に出力した場合に印刷速度が速い」だったり、「水に濡れても文字が滲みにくい」だったり、何かとビジネスパーソンの欲求を満たすポイントが多いからだと思われるが、Officejet Pro Xシリーズは前述の通りレーザーと遜色ない印刷速度そなえているし、インクが染料でなく顔料系なので濡れても比較的滲みにくい。

Officejet Pro X576dwで印刷したASCII.jpのロゴに、水を垂らしてこすってみた。多少インクが“落ちる”感じはあるが、多くのインクジェットプリンターのようにじわっと滲むことはない。顔料系のインクを採用しているためだ

 総合的に見て、Officejet Pro X576dwは「レーザープリンターの中で、どれにするか?」状態だったオフィス向け複合機市場に、「インクジェットだけどビジネス利用にも耐えられるぞ!」と一石を投じた新世代の複合機ではないだろうか?

 今回、シリーズの中から最上位モデルの「HP Officejet Pro X576dw」をASCII.jp編集部員たちで1ヵ月間、徹底的に使い倒してみた。主に使っていた2人に感想をきいてみよう。

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