側面まで覆うデザインはアリかナシか?
Thermaltake「NiC C5」
「NiC C5」は、先に紹介したNiC F4の2ランク上、NiCシリーズの頂点に立つ製品だ。これまで紹介した製品は、比較的大人しいルックスの製品だけだったが、NiC C5はゲーミングマザーにも合う、メカメカしいルックスが特徴だ。
●対応ソケット:775/1150/1155/1156/1366/2011、AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2
●寸法/重量:150(W)×95(D)×160(H)/約811g
●ファン回転数:1000~2000rpm(VR制御)
●風量:最大99.1CFM
●ノイズ:5.3~28dBA
●実売価格:8000円前後
●製品情報URL:http://jp.thermaltake.com/products-model.aspx?id=C_00002029
NiC C5は、2基のファンを固定するブラケットがヒートシンク上面・側面をほぼ覆うように設計されている独特な外見。デュアルファン仕様なので設置時はヒートシンクが黒い塊のように見えるわけだ。ヒートシンクそのものの設計はNiC F4とほぼ同じ設計だが、ヒートパイプが5本に増えていることと、CPUと接触する部分が銅製プレートで覆われ、ヒートパイプとは直接接触しないなどの違いがある。
純粋なパーツとしてのボリュームはNiC F4と大差ないのだが、ファンブラケットが側面をほぼ完全に覆うため、完全装着時の横幅は約150mmと少々幅広だ。今回のパーツ構成ではビデオカードの装着に困ることはなかったが、一番上のx16スロットの位置とビデオカードの設計によっては、干渉するものも出てくるはずだ。
このNiC C5のファンは今どき珍しいVR制御を採用している。2基のファンの電源ケーブルの途中にはファンコンが付いており、これを調整することで1000~2000rpmの範囲で回転数を調整できる。そのため、マザー側のファン回転数制御の設定を「PWM」ではなく「DC(VR)」に変更しないとファンは常に全力回転になってしまうので注意したい。今回は最低速と最高速状態でそれぞれ計測した。
まずファンコンを最低速に絞った状態では、ファンの回転数は最大1100rpm程度で頭打ち。そのため4.6GHzの熱には耐えきれず、4.4GHzでテストを通過した。しかしファン最高速の状態では2100rpm以上に回転数が上がったことで4.6GHzを通過。ただし最高速設定時のファンノイズは50dBAをゆうに超え、今回エントリーした製品中最高を記録した。
どこで冷却と静音のバランスをとるかで結構遊べ(悩め)そうだが、実売8000円という価格を考えると、この性能はやや微妙なところだ。120mmファンを使いメモリーと干渉しにくいデザインを採用したためだが、もうちょっと静音設定でも冷えて欲しかったところだ。
ファン最低速 アイドル時 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
CPU温度 | チップセット温度 | メモリー温度 | VRM温度 | ファンノイズ | ファン回転数 | |
36.0 ℃ | 34.4 ℃ | 34.8 ℃ | 36.7 ℃ | 33.5 dBA | 1015 rpm | |
純正より | -6.0 ℃ | -6.0 ℃ | -4.9 ℃ | -10.0 ℃ | -0.5 dBA | -993 rpm |
ファン最低速 高負荷時 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
CPU温度 | チップセット温度 | メモリー温度 | VRM温度 | ファンノイズ | ファン回転数 | |
75.0 ℃ | 34.2 ℃ | 37.3 ℃ | 44.6 ℃ | 37.5 dBA | 1105 rpm | |
純正より | -4.0 ℃ | -9.2 ℃ | -13.4 ℃ | -8.1 ℃ | -5.0 dBA | -2562 rpm |
ファン最高速 アイドル時 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
CPU温度 | チップセット温度 | メモリー温度 | VRM温度 | ファンノイズ | ファン回転数 | |
35.0 ℃ | 34.5 ℃ | 30.1 ℃ | 32.1 ℃ | 47.4 dBA | 1436 rpm | |
純正より | -7.0 ℃ | -5.9 ℃ | -9.6 ℃ | -14.6 ℃ | +13.4 dBA | -572 rpm |
ファン最高速 高負荷時 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
CPU温度 | チップセット温度 | メモリー温度 | VRM温度 | ファンノイズ | ファン回転数 | |
76.0 ℃ | 32.5 ℃ | 34.6 ℃ | 36.0 ℃ | 57.2 dBA | 2114 rpm | |
純正より | -3.0 ℃ | -10.9 ℃ | -16.1 ℃ | -16.7 ℃ | +14.7 dBA | -1553 rpm |
トップフロー式もまだまだ健在
Thermaltake「BigTyp Revo.」
Thermaltakeからの最後のエントリーとなったのは、今回唯一のトップフロー式クーラー「BigTyp Revo.」だ。
●対応ソケット:775/1150/1155/1156/1366/2011、AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2
●寸法/重量:148(W)×130(D)×130(H)/約530g
●ファン回転数:800~1800rpm(PWM制御)
●風量:最大85.16CFM
●ノイズ:最大20dBA
●実売価格:6000円前後
●製品情報URL:http://jp.thermaltake.com/products-model.aspx?id=C_00001896
CPUに接触するベース部分とヒートシンク部が物理的に分割され、それをヒートパイプで連結するという高性能トップフロークーラー定番の構造を採用している。ヒートパイプは5本で、CPUと直接接触させることで熱の吸収効率を高めている。
ヒートシンクの断面は上向きの三日月のような形状をしており、三日月の凹みの部分に120mmファンがフタをする感じとなる。この湾曲すしているフィンのデザインはエアフローの最適化に貢献しているという。
ヒートシンクの一部は大きく切り欠かれているが、これは真上からドライバーを入れてヒートシンクをベースに固定するためのものだ。そのため比較的大型の製品にも関わらず取り扱いは楽だ。
ベースとヒートシンク部は大きくオフセットしているが、ヒートパイプの湾曲部をメモリー側にもっていくことで、バランスよく設定できるようだ(もちろんマザーの設計により最適な方向は変化する)。
BigTyp Revo.の性能はTDP 160W対応とされているが、4.6GHzおよび4.4GHzでの負荷テストは残念ながら失敗。最終的に4.3GHz(21.5倍)でようやく負荷テストを通過した。最終的なファンノイズは50dBA以上に上がったことも考えると、あまり強烈に冷えるわけではなく、むしろ定格で静音重視で使う方が活きてくる製品といえる。
今回のテストは前述した通り、ヒートシンク部がVRMを覆うように設置。そのためファンの気流が見事にVRMを直撃したことで、高負荷時でもVRMは30度未満(OC設定も微妙に低いので厳密な比較にはならないのだが)。ただファンの風が直接当たらないメモリーの温度はあまり下がらなかった。
サイドフロー式に比べトップフロー式は冷却性能では不利だが、高さに制約のあるパーツ構成では便利に使える製品だろう。
アイドル時 | ||||||
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CPU温度 | チップセット温度 | メモリー温度 | VRM温度 | ファンノイズ | ファン回転数 | |
32.0 ℃ | 35.5 ℃ | 34.6 ℃ | 28.8 ℃ | 34.3 dBA | 911 rpm | |
純正より | -10.0 ℃ | -4.9 ℃ | -5.1 ℃ | -17.9 ℃ | +0.3 dBA | -1097 rpm |
高負荷時 | ||||||
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CPU温度 | チップセット温度 | メモリー温度 | VRM温度 | ファンノイズ | ファン回転数 | |
77.0 ℃ | 34.7 ℃ | 43.7 ℃ | 32.3 ℃ | 50.9 dBA | 1828 rpm | |
純正より | -2.0 ℃ | -8.7 ℃ | -7.0 ℃ | +20.4 ℃ | +8.4 dBA | -1839 rpm |
次回は、Thermalright、ENERMAX、ZALMAN、Phanteks製CPUクーラーについて検証してみよう。
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