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2013年CPUクーラー最強王座決定戦 第1回

最強の空冷はどれ? 2013年CPUクーラー王座決定戦【第1回】

2014年02月04日 17時00分更新

文● 加藤 勝明

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ヒートシンク改良で冷却性能確保
CoolerMaster「Hyper 212X」

 CoolerMaster製クーラーの中でも息の長い部類に入るのが、ここで紹介する「Hyper 212X」。本製品は前回エントリーした「Hyper 212 EVO」の後継モデルとなる。

●対応ソケット:775/1155/1156/1366/2011、AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2
●寸法/重量:120(W)×79(D)×158(H)/約610g
●ファン回転数:600~2000rpm±10%(PWM制御)
●風量:24.9~82.9CFM±10%
●ノイズ:9~36dBA
●実売価格:5800円前後
●製品情報URL:http://apac.coolermaster.com/jp/product/Detail/cooling/cpu-air-cooler/hyper-212x.html

 4本の銅製ヒートパイプをCPUにほとんど継ぎ目なく接触させる「Contimuous Direct Contact」の採用で効率良く熱を吸い上げる設計や、奥行き51mmと比較的コンパクトなヒートシンク、X字型の固定金具といった基本設計は先代EVOとまったく同じ。

 ただ今回のHyper 212Xでは、ヒートシンクとパイプの接触部にX字型の切り込みを入れることで、ヒートパイプ周辺の気流を増やす「X-Vents」、さらにヒートシンク中央部のV字型の突起でヒートパイプの後部に気流を誘導する「Air-Guide」など、さまざまな改善を盛り込んでいる。これらの要素は先のHyper 103にも採用されている。

 また、冷却ファンはブレード先端に溝をつけることで、渦を発生させノイズを抑える新形状のものが採用されているが、ファンの軸受けそのものも摩耗しにくい素材で作られており、MTBF(平均故障間隔)は16万時間という長寿命をうたっている。

 これだけの強力な要素を盛り込んだだけあって、4.6GHz試験をパスできる冷却性能を発揮。ヒートシンクの奥行きが短めにできている分ヘビー級CPUクーラーには負けているが、比較的安価で冷える製品と判断していいだろう。

 ファンノイズは最終的に45dBAを超えたが、今回の環境では71度までは非常に静かで、それ以上で一気にノイズが増加した。CPUの発熱を抑える運用にすれば、静音用としても十分使える。

アイドル時
  CPU温度 チップセット温度 メモリー温度 VRM温度 ファンノイズ ファン回転数
  36.0 ℃ 33.4 ℃ 33.8 ℃ 49.4 ℃ 33.1 dBA 849 rpm
純正より -6.0 ℃ -7.0 ℃ -5.9 ℃ +2.7 ℃ -0.9 dBA -1159 rpm
高負荷時
  CPU温度 チップセット温度 メモリー温度 VRM温度 ファンノイズ ファン回転数
  72.0 ℃ 33.8 ℃ 38.4 ℃ 46.2 ℃ 45.3 dBA 2132 rpm
純正より -7.0 ℃ -9.6 ℃ -12.3 ℃ -6.5 ℃ +2.8 dBA -1535 rpm

10分間の温度推移

ベイパーチャンバー採用の廉価版の実力は?
CoolerMaster「TPC 612」

 CoolerMaster製サイドフロー式CPUクーラーは、コストパフォーマンスを重視した「Hyper」シリーズ、SFぽい見た目のゴツい製品の多い「V」シリーズ、そしてCPUクーラーでは初めて“バーティカルベイパーチャンバー”を採用したハイエンド「TPC」シリーズの3種類がある。3製品めのCooler Master製品として紹介するのは「TPC 612」。昨年発売された「TPC 812」の下位モデルにあたる製品だ。

●対応ソケット:775/1155/1156/1366/2011、AM2/AM2+/AM3/AM3+/FM1/FM2
●寸法/重量:145(W)×97(D)×161.6(H)/約762g
●ファン回転数:600~2000rpm±10%(PWM制御)
●風量:24.9~82.9CFM±10%
●ノイズ:9~36dBA
●実売価格:7500円前後
●製品情報URL:http://apac.coolermaster.com/jp/product/Detail/cooling/cpu-air-cooler/tpc-612.html

 TPC812と612の相違点は、ヒートパイプ周りの仕様の差だ。TPC812はベイパーチャンバー×2本にヒートパイプ×6本という構成なのに対し、TPC612ではベイパーチャンバー×1本、ヒートパイプ×4本にすることでコストを抑えている。

 ヒートシンク自体の奥行きもTPC 812より9mm程増え表面積を大きくしているが、ヒートパイプ周りの変更がどう冷却に影響するかが見ものだ。

 取り付け金具などは最後発の製品だけあって、TPC 812やHyper 212Xよりも洗練されている印象を受ける。標準搭載のファンはプラスチック製のブラケットで簡単に取り外せる方式だが、ファンのユニットはHyper 212Xのような高耐久&溝入りブレードファンではなく、TPC 812と同タイプのものを採用している。TPC 812の取り回しを改善したタイプ、と考えるのがよさそうだ。

 さて冷却性能は……とテストを始めてみたが、意外なことに4.6GHz設定ではテストを完走せず、4.4GHzでの検証となってしまった。ヒートシンクの見た目の割に残念な結果となったが、CPUと接触するパーツとヒートパイプに多くの隙間を抱えており、それが冷却の妨げになっている。

 この点においては、Copper Direct Contactを採用しているHyper 212Xの方がずっと優れた設計であると言わざるを得ない。ただファン回転数が高負荷時でも1900rpm台なので、強烈な冷却性能より静音志向を重視した製品といえる。

アイドル時
  CPU温度 チップセット温度 メモリー温度 VRM温度 ファンノイズ ファン回転数
  37.0 ℃ 33.4 ℃ 34.4 ℃ 50.3 ℃ 33.4 dBA 847 rpm
純正より -5.0 ℃ -7.0 ℃ -5.3 ℃ +3.6 ℃ -0.6 dBA -1161 rpm
高負荷時
  CPU温度 チップセット温度 メモリー温度 VRM温度 ファンノイズ ファン回転数
  78.0 ℃ 33.4 ℃ 39.0 ℃ 48.3 ℃ 44.5 dBA 1963 rpm
純正より -1.0 ℃ -10.0 ℃ -11.7 ℃ -4.4 ℃ +2.0 dBA -1704 rpm

10分間の温度推移

 今回はここまで。次回は、サイズとThermaltake製CPUクーラーを調べていく。

※お詫びと訂正:記事初出時、異なる製品の画像を掲載しておりました。記事を訂正してお詫びいたします。(2014年2月4日)

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【機材協力】

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