NEDO(新エネルギー・産業技術開発機構)、単層CNT融合新材料開発機構(TASC) と産業技術総合研究所(産総研)は、単層カーボンナノチューブと銅の複合材料を用い、銅の100倍以上の電流を流すことができる微細配線技術を開発したと発表した。
これはNEDOの「低炭素社会を実現する革新的カーボンナノチューブ(CNT)複合材料開発プロジェクト」の成果で、リソグラフィー技術で形状加工したCNT配線に銅をめっきして微細配線を作成するもの。CNT、銅ともに導電性があるので立体配線(多段配線・架橋配線)などが可能。
CNTは銅よりも高い導電性を持つため高電流を流せるほか、CNT/銅複合材料はシリコン(Si)と同程度の熱膨張係数を持つのが大きな特長。アルミや銅による導電性金属材料はSiとの膨張係数差が大きく、高電流を流すと熱によるひずみによって断線などが起きやすく信頼性を低下させていた。CNT/銅複合材料による配線では熱ひずみ効果が抑制され信頼性を確立できるという。
半導体を小型化するには配線幅を小さくする必要があり、配線が細くなれば面積あたりの電流密度が上がって破断しやすくなるが、現在の半導体内配線の電流密度は銅や金の破断限界点に近づいているという。CNTは導電性が高く破断限界点も高いため、将来的な電子配線材料として期待され研究が行われてる。