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アニメファンならぜひ行きたい!聖地巡礼ツアー 第20回

これが「艦これ」提督的年末年始の過ごし方だ!

2014年01月25日 16時00分更新

文● 中村信博

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文字通り聖地巡礼のお伊勢参り!

 今年の初詣の社として選んだ、伊勢神宮。じつは「伊勢神宮」とは単一の神社を指す言葉ではなく、伊勢市を中心として三重県内に125社ある別宮、摂社、末社、所管社を含めた総称だったりする。それらの中心となるのが天照坐皇大御神(あまてらしますすめおおみかみ)を祀る皇大神宮(内宮)と、豊受大御神 (とようけのおおみかみ)を祀る豊受大神宮(外宮)の2社だ。

 日本書紀によれば、第11代垂仁天皇の第4皇女・倭姫命(やまとひめのみこと)が天照大神を祀る場所としてこの地に社を築いたのが起源とされ、以来この場所は日本全体の鎮守として多くの人々の崇敬を集めてきた。平安時代以降は民衆の間でも「お伊勢参り」が一種のレジャーとしてもてはやされ、諸街道が整備された江戸時代には全国的に伊勢参りがブームに。伊勢の町は多くの旅館や土産物店が軒を並べ、その賑わいは十返舎一九が記した「東海道中膝栗毛」など数々の作品で知ることができる。

 本来なら外宮→内宮の順番で参拝するのが正しい順番らしいのだが、両社は約6km離れていて徒歩50分。車で移動しようにも、初詣客で駐車場渋滞が起きはじめている現状では無理そうだ。今回は時間もないので、いきなり内宮に突撃だ。

内宮へと続く国道23号線南勢バイパスは、追い越し車線をシャトルバス用に区切り、我々一般車両は左側レーンで駐車場待ち。とろとろ進む車列に眠気がぶり返す……

さあ、いよいよ内宮へと向かおう。初詣客でいっぱいの参詣道を縫うように歩いていく。周囲の店から旨そうな匂いが漂ってきて、さっきから腹が鳴りまくりだ

 30分ほどの駐車場渋滞を抜け、初詣客でごった返す門前町で揉まれながら、やっとのことで内宮神域の入口である宇治橋に辿り着いた。この時点で筆者の体力は限界寸前、なにしろ前日のコミケからこっち、途中で1時間ほど仮眠しただけの身体なのだ。毎年のことながら、元日の朝が一番堪える!

ようやく宇治橋のたもとに到着。この橋を渡ると神域だ。ちなみに宇治橋の内と外のたもとには鳥居が建っているが、外側の鳥居は前回の式年遷宮で取り壊された外宮旧正殿の棟持柱が、内側のは内宮旧正殿の棟持柱が、それぞれ鳥居として再生されている

澄んだ水をたたえた五十鈴川を渡る。御裳濯川(みもすそがわ)の異名を持つ五十鈴川は流域約10km、古来より禊の場として用いられてきた聖なる川だ。そう、あの軽巡「五十鈴」さんの元ネタである

参道の玉砂利を踏みしめて奥へと進んでいく。今は庭園となっているが、明治中期まではこの辺りに神官たちの屋敷が建ち並んでいたという

 伊勢神宮では、20年に一度のスパンで正殿をはじめとする多くの建物を新しく造りかえる「式年遷宮」という行事がある。これは伊勢神宮でも最大の行事で、最も新しい第62回式年遷宮では2005年から準備が進められ、その最後を飾る正遷宮(神体を新しい正殿に移す行事)は昨年2013年に行なわれた。今年は式年遷宮から最初の正月とあって、新しい正殿で参拝しようと例年よりも多くの初詣客が訪れたようだ。

参拝の前に、参道から脇へそれて五十鈴川の御手洗場で手を清める。真冬の水は手が切れそうなほど冷たく透き通っていた。なお御手洗場の石畳は、1692年に徳川綱吉の生母・桂昌院が寄進したものとされている

約93ヘクタールの神宮神域は、この場所に天照大神が祀られてから一切伐採されていない禁伐林。さらに式年遷宮のための用材を確保する宮域林まで合わせると、約5500ヘクタールという広大な森を伊勢神宮は抱えている

いよいよ天照大神が鎮座する内宮正殿だ。昨年秋に新築されたばかりの白木の正殿が、緑の中でまぶしく見える。この石段から上では一切の撮影が許可されていない。カメラを置いてゆっくりお参りしよう

参拝を終え、参集殿の振る舞い甘酒でホッと一息つく。神域を出ると、来た時よりもさらに混雑していて進むのも大変な有様に。逃げるように「赤福」総本店に逃げ込んで、冬場のこの場所でしか味わえない赤福ぜんざいに箸をつけた。あー、疲れたけど満足……

 伊勢神宮での初詣を終えて、今年の年末年始取材をすべてコンプリート。お土産にお伊勢参りの名物「赤福餅」を大量に買い込んで、筆者は実家に向けて最後の道程を走っていった。まるまる2日間に渡った取材で走り回った距離は約600km。毎回やたらと無茶振りをしてしまう企画だが、今回も大変な取材だった……。

 今回は「艦隊これくしょん」つながりで「海」をテーマに置いて、東海道を股にかけた取材旅行となったが、横須賀のニューイヤー花火に伊勢湾海上の初日の出、それに古式ゆかしい伊勢神宮の初詣と、現代の日本の年越しの様子を存分に楽しむことができた。筆者と同じ行程をたどるのはちょっと大変だけど、ぜひ来年の年越しの参考にしてもらえれば幸いだ。

 今年も各地のアニメ・ゲームの聖地を訪問する旅を続けていこうと思っているので、皆様よろしくお願いいたします。

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