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Apple Geeks 第137回

「IRKit」—Arduinoがもたらす「草の根系デバイス」に注目

2014年01月17日 23時00分更新

文● 海上忍(@u_shinobu

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 本連載「Apple Geeks」は、Apple製ハードウェア/ソフトウェア、またこれらの中核をなすOS X/iOSに関する解説を、余すことなくお贈りする連載です(連載目次はこちら)。

 UNIX使い向けを始め、Apple関連テクノロジー情報を知りつくしたいユーザーに役立つ情報を提供します。

「スマート家電」の最適解は?

 一昨年前あたりから家電メーカー各社が展開を始めた「スマート家電」は、いろいろな意味でインパクトがあった。その主旨は、名称から連想されるとおり「スマートフォンと(白物)家電を連携させ従来にない使い方を提案」すること。エアコンや冷蔵庫、洗濯機に炊飯器などなど、それまで遠い位置にあると考えられていた製品群がスマートフォンとつながるというのだから、世間の耳目を集めるのも無理はない。

スマートフォンと家電を連携させることで従来にない使い方を実現する「スマート家電」(写真はイメージです)

 市場の「スマート家電」に対する反応は好意的なものばかりではなく、特にNFC関連機能(冷蔵庫にかざして扉の開閉回数を調べるなど)については懐疑的な意見が多く聞かれた。しかし、外出先からのエアコンのオン/オフはどうだろう。外出先から冷蔵庫の中を確認できたら? 製品に付加価値を付ける一方策として、近距離はともかく屋外からの操作/管理は大いにアリではなかろうか。

外出先から自宅のエアコンをオン/オフできれば、夏場はかなりうれしいはず

 状況も全般的には追い風だ。電源の遠隔操作は電気用品安全法技術基準に抵触するとして総務省から指導があり、一時サービス停止を余儀なくされるというミソはついたが、翌年には省令解釈が一部変更され、現在では外出先から電源をオン/オフできる環境が整っている。

 しかし、現在の「スマート家電」が最適解かといえば少々疑問だ。屋外から自宅のルータ/Wi-Fi APまでは通信事業者の回線を使うとして、ルータ/Wi-Fi APと家電の通信はTCP/IPでなくてもいいはず。コスト要件が厳しい家電のこと、安易にIPを付与して接続検証の組み合わせを増やすわけにもいかないだろう。

 そこで注目されるのが「赤外線」という枯れた通信規格。リモコンでの操作が可能な機器であれば赤外線で命令を受信できるので、複数のリモコンの機能を1つにまとめる「学習リモコン」的デバイスを用意すればいい、というわけだ。

「IRKit」は注目株

 先日発売された「IRKit」は、まさにその考え方でつくられた赤外線リモコンデバイス。無線LAN(IEEE 802.11b/g/n)に対応、App Storeで公開中のリモコンアプリ「IRKitシンプルリモコン」を使いiOSデバイスから家電を遠隔操作できる。IRKit対応をうたう市販製品は存在しないが、対応iOSアプリを開発するためのデベロッパーキット「IRKit iOS SDK」が公開されており、理屈のうえでは赤外線リモコンを備えた家電はiPhoneから遠隔操作できるということになる。価格が7500円と手ごろなこともポイントだ。

「IRKit」

IRKitの概念図。筆者も手に入れようとしたが……発売直後に売り切れ/再入荷未定となり、あいにく購入できなかった(画像は「IRKit」公式サイトから)

IRKitシンプルリモコンApp
価格無料 作者Masakazu Ohtsuka
バージョン1.1.0 ファイル容量1.7 MB
対応デバイスiPhone/iPad/iPod touch 対応OSiOS 7以降

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