1~2年先の状況を予測しながら
基地局を建設する
───ネットワーク構築で最も難しい部分はどういったところでしょう。やはり都市部でのスループット確保でしょうか。
平本 そうですね、そこがいちばん難しいです。例えば駅周辺に関しては、新しい基地局を建てたくても場所の確保が容易ではないので、非常に苦労しています。また、基地局を建てるといっても、工事には半年から1年ほどの期間がかかります。そういった間に急激にトラフィックの状況が変わっても、すぐに対応するのが難しいという点もあります。
今は、現在のトラフィックに加えて、ドコモの新サービスやアプリケーションの動向などを見つつ、この先1~2年先にトラフィックがどのように変わっていくのかを予測しつつ、基地局の建設計画を立てています。ただ、あくまでも予測ですのでブレがありますし、建設が予定に間に合わない場合もあります。そういったときに、どのように対処するかも難しいところですね。
───なるほど。他社では、都心部を中心として、ピコセルなどの小型の基地局を活用したネットワーク構築を行なっていますが、ドコモの都市部でのネットワーク構築の考え方はどういったものなのでしょうか。
平本 ドコモでもピコセルなど小型のセルを使っているところはあります。例えばFOMAのネットワークでは全国で7万を超える場所を確保して、大きいセルから小さいセルまで使って品質をあげています。その基盤となるFOMAのネットワークの上に、LTEを併設して積み上げているところです。
ドコモは基盤となるFOMAのネットワークをベースに、そこに新しい1.5GHz帯域を追加したり、効率のいいLTEに置き換えていくことによって、容量を上げていくという考え方で構築しているところです。
───800MHz、1.7GHz、2GHz帯域では帯域の一部がFOMAからXiへ切り替わっていると思います。スマートフォンの普及でFOMA利用者は徐々に減っているとは思いますが、FOMAの帯域が減って特に問題は出ていませんでしょうか。
平本 そこはもちろん気にしながら取り組んでいます。リアルタイムでユーザーのトラフィックデータが時間ごとに取れていますので、そのデータを見ながら、問題ない範囲内で3GからLTEへの切り替えを行なっています。まだ全体の2/3ほどのお客様は3Gを使われていますので、ご迷惑をおかけしないように進めています。
───Xiのネットワークはエリアも広がってきてかなり順調に構築が進んでいると思いますが、現在のXiネットワークの課題はどういった部分にあるとお考えでしょうか?
平本 もちろん、まだまだ途中の段階だと思います。Xiの基地局は2014年3月末までに5万局に増やす計画ですが、FOMAは11万局あります。エリアに関してももっと拡げたいと思っていますし、容量に関してもまだまだトラフィックは伸びている状況ですので、まだ道半ばだと思っています。無線の状況はその時々で変化することがありますので、品質面もチェックしながら、たゆまずエリアを拡げたり容量を上げる努力はしていきたいと考えています。
スマートフォンが出始めた頃は、端末やアプリケーションの動作がフィーチャーフォンとは大きく異なっていたために苦労した部分もありました。しかし、現在はスマートフォンに関してのノウハウが蓄積されましたので、状況はかなり把握できるようになっています。あとは我々の計画通りに着実に基地局を展開していきたいですね。