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T教授の「戦略的衝動買い」 第276回

曲がっていて悪いか!? 曲面スマホ「G Flex」を衝動買い

2014年01月08日 18時00分更新

文● T教授、撮影● T教授

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曲者のG Flexだが、持ち良い、使い良い、電池長持ち、格好良いを全部実現

 いずれコンピューターの画面が湾曲して自分の周囲を取り囲むような大きなディスプレーに変わる時代がやってくる。そしてバングルのようにベルトの周囲すべてが液晶表示装置のような腕時計も登場するだろう……といったお話は、TFT液晶が初めて出現した大昔からSF映画や夢物語の中ではよく語られてきたものだ。

 そんな夢の第一歩だとも思える“曲面”画面を搭載したスマートフォンが、昨年SamsungとLG Electonicsの両社から海外で発表、発売された。Samsungの「GALAXY Round」はY軸(垂直軸)を中心に左右が手前に湾曲した形状だ。一方、筆者が衝動買いしたLG Electonicsの「G Flex D958」(以降G Flex)はX軸(水平軸)を中心に上下が手前に湾曲した構造をしている。

ユニークでコストの高そうな凝ったパッケージで出荷される

トップに置かれたG Flexのディスプレー面と同じイメージで湾曲したフタが楽しい

 スマートフォンという“技術革新的な世界”に身を置いている技術者や企画者の中にも、今回の曲面ディスプレーの登場には“必然性が無い”といった否定的な意見を述べる人達が少なからずいる。その多くは実際には実物に自ら触れること無く、「スマホの画面は昔から平らなものだ」という単なる刷り込みから来ているに過ぎない。

 今回、ご紹介する筆者の衝動買いしたG Flexは、過去にも何度か購入実績のある香港のExpansysから購入したグローバル版のSIMロックフリーモデルだ。早速だが筆者が衝動買いしたG Flexの概要を見てみよう。

 G Flexは、曲面画面をシンボリックに表現した同じように湾曲したやけに凝った黒いパッケージに入って出荷されている。海外で販売されているAndroid版のSIMロックフリースマホを購入し、日本語化をした経験のある読者なら、ご存知とは思うが、メーカーや機種によって、最初の設定画面に“日本語”の選択画面が表示されない製品も多い。

香港からの買い物なので、別途日本国内用のUSB-ACプラグが同梱されている

最近のGALAXYシリーズなどと違い、初期起動後、すぐ設定画面で日本語環境を選択できるのはありがたい

 幸いにもG Flexは最初の設定画面から“日本国”と使用言語に“日本語”を選択できる。そして続いて、Wi-Fiの設定を行ない、Wi-Fi経由でGoogleのアカウント設定を終えればほとんどの基本的設定は終了だ。

Googleアカウントの設定さえしてしまえば、クラウドのバックアップファイルからほとんどのモノは自動的にリストアされて、以前のスマホと同じ環境を新しいスマホで、即刻利用できる。世の中は便利になった

プライバシーポリシーに同意すれば基本的な導入作業は終わりだ

 G Flexは、前述したようにディスプレーが、X軸(水平軸)を中心に上下が手前に湾曲した凹面構造をしている。手元の定規でごく簡単に計測してみたところ、もっとも高い(目に近い)上下の端と、最も低い(目から離れた)中央部では約4.5mm程度の落差があった。

なんの必要性があって曲がってる!? なんていう人が居るのも当然なくらい大きく湾曲している。適当に定規で計測したら中央と両端の画面の落差は約4.5mmくらいだった

 実際にG Flexを手に持ってもう一方の手で画面を上下にフリックすると、ありふれた平面的なスマホより遥かに操作性の感覚が素晴らしい。とにかく気持ちが良いのだ。画面側と反対側の背面は、自動的に凸面形状となりスマホを持つ手のひらに極めてソフトで握りやすい形状となっている。

 チタンシルバー色をしたG Flexのメタリックな背面は“セルフヒーリング”機能が特徴だ。金属ブラシなどでこすった細かな傷もほんの数分で自己修復するらしい。自分のG Flexで積極的に試すものでもないので、だれか知人がG Flexを購入したら、その時はしっかりと試してみたい。

チタン・シルバーカラーの背面は、積極的には試したくないが“セルフ・ヒーリング”と呼ばれる、傷を自分で修復する特殊なパネルが採用されている

パワースイッチは背面上部にある。LED点灯する真ん中の大きな角の丸いボタンがパワースイッチだ。パワースイッチの上下の小さな■マークは音量の大小スイッチ。シーソースイッチになっている。スクリーンショットはちょっと慣れるまで訓練が要るが、パワースイッチを押しながら音量小スイッチの方向に指を倒すことで片手の一本指でできる

 見た目のG Flexの残念なところは、製品を実際に使うことなく、その形状だけを見ると、曲がるディスプレーを最初に作ったことを誇示するための単なる技術デモンストレーションだと思われがちなことだ。しかし実際にG Flexを手に持ってたった半日でも触ってみれば、それが明らかに間違いであることは、よほどの偏屈者でもない限りすぐに気がつくだろう。

 既に多くのメディアにもG Flexのハードウエアスペックに関しては紹介されているが、ここでもその概略だけは簡単に紹介しておこう。表示装置には700Rの円弧曲線で湾曲した6インチPlastic OLED(P-OLED 720×1280ドット)を採用し、Snapdragon 800プロセッサ(2.26GHz クアッドコア MSM8974)、2GB RAM、32GB eMMCストレージ、USB 3.0対応ポート、1300万画素の背面カメラ、210万画素の前面カメラを内蔵している。

筆者の以前のスマホである“GALAXY Note 3”(上:5.6インチ)と6インチのG Flex。G Flexは手前にあるので大きく見えるが、持ってみるとさほど横幅差は感じない。高さは、ボディの湾曲が功を奏して6インチとしてはほんの少し短く見える

 WAN用のSIMスロットのほかにワイヤレスLANには802.11a/b/g/n/ac、Bluetooth 4.0、そして近距離無線通信のNFCをサポート。本体と同じく湾曲した3500mAhの大容量バッテリーを内蔵し長時間の駆動を実現している。なお、ユーザーによるバッテリー交換は不可能だ。そして、Android OSのバージョンは4.22。

画面解像度はGALAXY Note 3(左)の方がFullHD(5.6インチ1080×1920ドット)G Flex(右)はHD(6.0インチ720×1280ドット)

画面表示エリアはG Flex(右)がメニュー・HOME・戻るがオンスクリーンのために縦が少し短くなってしまうが、誤差の範囲だ


「戦略的衝動買い」とは?

 そもそも「衝動買い」という行動に「戦略」があるとは思えないが、多くの場合、人は衝動買いの理由を後付けで探す必要性に迫られることも多い。

 それは時に同居人に対する論理的な言い訳探しだったり、自分自身に対する説得工作であることもある。このコラムでは、筆者が思わず買ってしまったピンからキリまでの商品を読者の方々にご紹介し、読者の早まった行動を抑制したり、時には火に油を注ぐ結果になれば幸いである(連載目次はこちら)。

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